« つれづれなるままに~77歳の喜寿を迎える~ | トップページ

これでブログは終了させてもらいます。ありがとうございました。

 対話形式で進める。

客 ブログから卒業するということじゃないか。何か病気でもしたのかな?

主 いやいや、いたって元気だよ。

客 それじゃあ、どうしたの?

主 このブログは、もう20年以上続けてきたからね。
  始めた理由は、最初は現場からの報告みたいなものだったけど、退職してからは現場に寄り添って、教師の立場から発信してきたからね。
  それで、最近は、近況報告ばかり(つれづれなるままに)になってしまっていて、その役割がもうとっくに終わっていたことに気づいたん
だよ。

客 その近況報告で、ブログはいいじゃないの?そんなブログはいっぱいあることだし……。

主 いやいや、けじめがあるよ。自分なりの役割が終わったら、もうひきあげなくてはならないよ。元気なうちにやらなくてはと思ってね。

客 それにしても、今日時点(9/12)でアクセスが「3945306」ということだから、今まですごい数のアクセスがあったことになる
ね。

主 ありがたいね。ほんとうに感謝したい。

客 残念だね。さびしい気持ちにならないの?

主 そうだね。私は今までこのブログを基点にして、さまざまな情報発信をしてきたから、それがなくなるからさびしくなるね。
でも、それは仕方ないことだよ。始めがあれば、必ず終わりがあるから。
  始めは、勢いで始められるけど、終わりは大変だよ。

客 そうか、引き際はそんなに大変なんだ。
  でも、教育界で、あんたの歳(77歳)で講演をやったり、本を書いたりしている人は、もういないんだから、さまざまなことから手を引
いていくのは必然だね。

主 そうだね。野口芳宏先生は、米寿を迎えても元気に飛び回っておられるから、お前もがんばれという励ましは受けたけど、あんな偉大な野
口先生と比べられても、こっちが困ってしまうね(笑)。

客 それで、あんたは、これからどうしていくの?
  もう発信していく場はないんではないの?
ライフワークとして取り組んできた初任者指導の仕事も、まだまだどうにもならない段階だし、課題はかなりあるね。

主 課題は常にあるから、終わりはないよ。
  でも、初任者指導については、自分の中ではずいぶん見通しが出てきているよ。
客 どういうこと?

主 初任者は、今まで初めの担任だから、うまくいかないのが当たり前だと思われていて、
  クラスが賑やかになり、うまく軌道に乗らないということを続けてきたはずだ。
だけど、初任者でも、きちんとした取り組みをやれば、クラスは軌道に乗ることが分かってきたんだよ。

客 それは貴重なことだね。
  これから、どんどんクラスは荒れていくことは分かりきっているからね。

主 そう、そう。「多様化した子供たち」に学校は対応できなくなっていくからね。先日も、親しい知り合いの孫の学校だけど、3年から6年
生までの学年で1人ずつ先生が休職することで、学校は学年3クラスを2クラスにするなどの措置をしていると聞いたね。

客 欠員が出ても、今は誰も補充の先生はこないから、大変だ。
  これからいっぱいこんな状況が出てくることははっきりしている。
  そんな状況で、このブログを止めていくのは、心残りがあるだろうね。

主 もう77歳の喜寿を迎えたんだよ。そんなに長くやれるはずないよ。

客 これからどうするんだい?

主 それは、もう普通の老人としての生活をしていくだけだよ。
  まだまだ元気だから、家事をこなしていくことだね。
  家族を大切にするというのが、私の最大の目標だから、それに従っていくということになるよ。
  共に生きてきた人をしあわせにするというのは、もっとも大切だ。
  もちろん、今までやってきた仕事もまとめなくてはならないけど……。

 ★
 これで終わりである。

今朝は、早起きで、5時起床。
 部屋の気温は、29℃。ぬるったい暖気がたちこめている。
 季節は、まだまだ暑さが続いていて、秋の兆候はどこにもない。
 
外にでてみる。
 太陽が輝きだして、真っ青な空が続いている。
座り込んで、その「青さ」を見つめる。

 終わったんだ、と思う。
 ふしぎな風が頬をなでてゆく。
 それはとてもふしぎな、心をそよがせる風である。

 そういえば、この風は、退職のときにも吹いたことがある。
 3月31日の完全退職の日、大雨でできたみずたまりの道を避けながら歩いた帰り道。
 そのときも、吹いた風なのだ。
 「終わったなあ!」という心にしみわたる風だった。
 
 ふと、谷川俊太郎さんの「手紙」という詩をおもいだす。

手紙
  電話のすぐあとで手紙が着いた
  あなたは電話ではふざけていて
  手紙では生真面目だった
  <サバンナに棲む鹿だったらよかったのに>
  唐突に手紙はそう結ばれていた

  あくる日の金曜日<気温三十一度C>
  地下街の噴水のそばでぼくらは会った
  あなたは白いハンドバックをくるくる廻し
  ぼくはチャップリンの真似をし
  それからふたりでピザを食べた

  鹿のことは何ひとつ話さなかった
  手紙でしか言えないことがある
  そして口をつぐむしかない問いかけも
  もし生きつづけようと思ったら
  星々と靴ずれのまじりあうこの世で
 
 
 ブログでしか言えないことを生真面目に書き連ねてきたのだろうか。
 うまく伝わったのだろうか。
 ありがとうございました。
                           (完)

|

« つれづれなるままに~77歳の喜寿を迎える~ | トップページ

コメント

野中先生
お疲れさまでした。先生からは、講座や本やブログから本当に多くのことを学ばさせていただきました。ブログが終わるのは残念でなりません。ししかし、終わらせなければ始まりません。また、新たな形で発信されると思いますので、そちらで学び続けます。どうぞお体にご留意されてください。私もボチボチとどうやって終わるか考えています。

投稿: 山中太 | 2024年9月15日 (日) 16時23分

野中先生のブログが終わってしまうのが、とても残念です。しかしながら、最後のブログを読んで、先生らしいと納得がいきました。今まで、このブログにどれだけ助けられたから分かりません。
そして、私も今年度から、初任者指導教員として、頑張っています。
これからも野中先生の指導方法を大いに参考にさせていただきながら頑張ります。
ブログ本当にありがとうございました。お疲れ様でした。

投稿: しげちゃん | 2024年9月15日 (日) 16時55分

 自分自身の視野が狭くなったなと感じた時、このブログを読みながら、自分自身をメンテナンスしてきたように思います。ブログの閉鎖、とても残念ですが、野中先生のお考え自体はとてもよく分かり、自分が「自立」しなければいけないのだなと思いました。
 私自身もそうですが、野中先生のおかげで救われた方々はとても多いと思います。(最近も野中先生のご著書を紹介しました)
 これまでのご発信ありがとうございました。今後も充実した毎日を送られることをお祈り申し上げます。

投稿: 松下崇 | 2024年9月16日 (月) 09時57分

野中先生
すっかりご無沙汰して居ります。

喜寿を迎えられたとの事、誠におめでとうございます。
久しぶりに連絡する機会がブログ最終回とは、何とも言葉にならない想いです。

私が前職時代には、若手教師の救世主の様に何回も御登壇を企画し、もう新人研修はやらないと仰るのを強引なまでにお願いして仕舞い、その節は大変失礼いたしました。

もう本当に最後だという時に、先生から頂戴した焼酎の味は忘れられません。御礼を申し上げるのは私の方なのに…あの甕は…今でもテレビの横に置いて居ります。

今後はご家族との時間をお過ごしください。
今まで誠に有難うございました!
余川拝

投稿: 余川亘 | 2024年9月16日 (月) 10時55分

野中伸行先生,長い間,私たちに現実的な気づきを提供し続けてくださり,ありがとうございました.
私は10年前に先生とお会いし,たいへん興奮したのを覚えております.
http://horitan.cocolog-nifty.com/nime/2014/02/218-0eba.html
当時(今も?),ICT活用はややもすると飛び道具を使った「ごちそう」だという思い込みが人々にあったことに対して,野中先生の「味噌汁・ご飯」授業に共感していた私は,ICT活用でこれを日常的に実現したいと取り組んでおりました.先生のおかげです.
一言御礼を申し上げたくコメントさせていただきました.

投稿: 堀田龍也 | 2024年9月16日 (月) 11時00分

長い間、お世話になりました。私は今年いっぱいで退職しますが、しばらくは発信をしたいと願っています。やがて先生のように止めると思います。

投稿: 西川純 | 2024年9月16日 (月) 17時39分

なんか寂しいけど、野中先生の生き方、かっこいいです。同じ時代を過ごせたことに感謝です。

投稿: 清水秀峰 | 2024年9月17日 (火) 20時42分

野中です。多くの方からのコメントありがとうございます。
 ブログ終了にすぐに反応いただき、ありがとうございました。

ブログにも書きましたが、ほんとに引き際は大変です。
 自分で自分の人生を折り畳むことのむずかしさですね。

 先生たちのこれからの活躍を願っております。
 ありがとうございました。

投稿: 野中 信行 | 2024年9月18日 (水) 09時26分

このブログがおしまいになると知って寂しい思いです。
野中先生には、教員としてだけではなく、人生の師匠として、私に大きな影響を与えていただきました。
野中先生とご一緒させていただいた10年間は、私にとって実りある日々でした。

投稿: 水谷陽一 | 2024年9月22日 (日) 15時59分

 京都「明日の教室」の糸井先生から、最後の講演を明日の教室で行わないかという連絡があり、了承しました。日程は、12月7日(土)13:30~17:00と決まりました。
 テーマは、「新しい時代だからこそ考えたい学級経営のあり方」~最後にどうしても伝えておきたいこと~ です。
 こういう舞台を設定していただいた糸井先生に感謝、感謝です。

投稿: 野中 信行 | 2024年9月23日 (月) 16時25分

このブログが終わりと聞いて、驚いているとともに、これまで本当にお世話になり感謝しております。

異動して教員として1番苦しい時期に、野中先生をはじめ、このブログを通して全国の先生方に励まされて何とか今も教員を続けられています。

このブログから、そして野中先生から教わってきたことを、次の世代につなげていきます。

そして、いつの日か教員の魅力を復活させてもう一度、教員を人気の職業にしていきます。

野中先生、これまで本当におつかれさまでした。そして、本当にありがとうございました。

投稿: 久保田昭彦 | 2024年9月23日 (月) 19時26分

初めまして。
先生の「やんちゃな子がいるクラスのまとめかた」を読み、勉強させて頂いています。
そこに書かれていた「算数学力向上メソッド」が気になり、ブログを訪問しました。もうブログを更新されないとのことですが、もし見ていただけたなら連絡いただけると嬉しいです。

投稿: 佐藤みよ | 2024年9月25日 (水) 10時29分

佐藤先生、野中です。「算数学力向上メソッド」については、メールに連絡をしました。それを見て下さい。よろしくお願いします。

投稿: 野中 信行 | 2024年9月27日 (金) 14時26分

 ブログが最終とのこと、さびしいです。

 野中先生の知見には同意することばかりでした。自分ではあいまいにしていた課題を、明確に論理づけていただいたように思います。考えさせられるが多かったです。
 
 名古屋で、玉置先生たちと一緒に食事をさせていただいたこと、津で私の同僚と一緒に食事をさせていただいたこと、忘れることはありません。

 でも、きっと野中先生のことです。形を変えて発信していただけることと確信しています。野中先生を教育界はまだ必要としています。

 健康第一でお過ごしください。

 感謝することばかりです。ありがとうございました。

投稿: 中林則孝 | 2024年9月28日 (土) 10時44分

野中先生
いつも気づきをありがとうございます。
役割を終えたブログ、ということですが野中先生らしい幕引きと感じました。
人生二度なし、今日という日もまたそうなのでしょうね。
私も時間に比重を置いた暮らしに徐々に転じています。
まだまだ学ばせていただきます。

投稿: 清水 | 2024年10月 2日 (水) 10時35分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« つれづれなるままに~77歳の喜寿を迎える~ | トップページ