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最初の「学級づくり」が決め手になる~ある初任者の話③~

 その初任の男の先生は、2年生の担任。2クラス。
 昨年1年生のクラスが学級崩壊になっていて、アスペルガーが疑わしい中心の男の子を学年主任に受け持ってもらい、その他のやんちゃな男の子5人がその先生のクラスであった。
 そのために、落ち着かない状況が最初から続いていた。

 その先生の実力は十分。大変力のある初任の先生であった。
 前年度は非常勤で勤めていて、今年担任になったわけである。
 ただ、クラスが落ち着かないために、どうしても叱りつけてしまい、その状態が続いていた。
 こんな場合、やんちゃな子供に目が行ってしまう。当然そうなる。
 
 私は、初任者指導として「学級づくり」を早速始めるように勧めたが、
 「学年主任の先生との打ち合わせで、そういう仕組みづくりは後にして授業を軌道に乗せるようにしようという話になったのでそうしたいと思います」という話になって『学級づくり』は後回しということになった。
学年の打ち合わせが優先なので、私はしばらく様子を見ることにする。
 ★
 落ち着かない状況は、4月いっぱい続いていた。
 だから、しょっちゅう叱りつけることも続いていて、その場は何とかなるということを繰り返していた。

 こんなとき、落ち着かない状況は、当然目立っている5人のやんちゃがつくっていることは誰が見てもそうなる。
 確かに、落ち着かないきっかけは、だいたいやんちゃな子供たちがつくっていく。

 そのために、ほとんどの先生がやんちゃな子供をどうにかしないといけないと、しょっちゅう叱りつけたりして何とかしようとする。
 ここで間違う。

 学級崩壊などの学級の荒れの原因を、やんちゃな子供たちだと思い込んでいるのである。
 だから、やんちゃ対応をさかんにしようとする。
 
 くり返しになるが、確かにやんちゃな子供たちが、荒れのきっかけはつくっていくが、学級崩壊の主体は、やんちゃな子供ではない。
 ここに大きな勘違いが起こっているのである。
 
 「えっ、そんなこと!」と驚かれるかもしれない。
 私も現役の頃は、このように思い込んでいたわけであるが……。

 その2年生のクラスは、一向に良くなる傾向を示さなかった。
 「やんちゃ対応」と「授業ばかり」に熱心に対応しているわけである。
 その対応が間違っていると、私は判断していた。

 いよいよ5月になって、その先生から相談があった。
 「先生、クラスが思うようになりません。あのやんちゃな子たちを叱ったらその場は何とかなりますが、元の木阿弥で繰り返しています。何とかなる方法はありますか?」

 私は、「ありますよ!」と答えた。
 そこで目標達成法の低学年版「個人目標達成法」を紹介した。

 これは、学級に守るべき共通のルールを確立しようという試みである。
 このクラスは、おおまかな学校のルールによって成り立ってはいても、その学級独自のルールがないために多くの子供たちが動いていないのである。
 そのため、勝手に動いていくやんちゃな子供が目立っているのである。
 ★
 私は、勝手に「確かにやんちゃな子供たちが、荒れのきっかけはつくっていくが、学級崩壊の主体は、やんちゃな子供ではない」と言っているわけではない。
 ちゃんとした根拠をもっている。

 組織の法則として「2:6:2の法則」がある。
 これは、パレートの法則から派生したものだと言われている。
 パレートの法則とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが生み出したもので、「上位2割が全体の8割を生み出す」という考え方になる。
 
 この考え方から言うと、学級という組織も、最初の2割の真面目派の子供たちがクラス全体のほとんどの状況を決定していくことになる。

 だから、学級崩壊の主体は、最後の2割のやんちゃな子供ではなく、最初の2割の真面目派の子供たちなのである。
 この子供たちが、学級を引っ張っていくことを放棄する(あきらめる)ことによって学級の荒れはひどくなる。
 2割の真面目派は、担任に対する不信感が増して「やってられないよ!」と学級を動かしていくことを止めていく。それが原因なのである。

 この2年生のクラスは、「学級づくり」をしていないために、2割の真面目派がちゃんと動いていけないようになっていたわけである。
 「学級づくり」は、2割の真面目派が学級で教室を動かしていく「環境」をつくりあげていくことになる。
 学級の仕組みづくり、ルールづくりなどがそのためのものである。
 ★
 その初任の先生は、私の提言を素直に聞いて(半信半疑ではあったが)、「個人目標達成法」を実践された(註この実践は、『新卒教師時代を生き抜く 学級づくり3原則』(明治図書)に紹介している)。

 5月1ヶ月の実践によって、6月には、みごとにクラスは回復した。
 その先生は、ほとんど子供たちを叱ることもなくなった。

 校長も、びっくりして「野中先生!一体何があったのですか?」と聞いてくるほどであった。
 だが、その当人の初任の先生自体が一番びっくりしたはずである。

 やんちゃ5人も、クラスに紛れていってほとんど目立つこともなくなっていった。
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 結局何をしたのか、ということになる。
 
 学級で一番困っていた事態を5つルールにして、そのルールを守る処方を2割の真面目派が率先したのである。
 そのために、6割の中間派が引き寄せられて一緒に活動していくようになった。
 クラスの8割がそのルールづくり(はかせ方式とネーミングしたのだが)にがんばったことになる。
 それで一気にクラスは落ち着いていった。
 
 最初に「学級づくり」をすることが大きな決め手になることは、このクラスの場合も明らかであった。

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 いよいよオンライン講座が今週の土曜日から始まる。
 参加いただけることをお願いしたい。

 https://peatix.com/event/3840673
 

 

 

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