『策略 ブラック授業技術』(明治図書)が出た!
『策略 ブラック授業技術』(明治図書)が出た。 中村健一先生が書かれたものである。
今まで出されてきたブラックシリーズの10冊目となる本。
この本の中で強調されているのは、授業の技術としての「フリーオチーフォロー」である。
この技術をぜひとも若い先生方へ残したい、と。
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「フリーオチーフォロー」とは何か?
もともとは、これは「お笑い」の技術である。
健一先生は、これを次のように紹介されている。
「『お笑い』は『フリ』『オチ』『フォロー』から成る。
かなり古いが『コント55号』が分かりやすい例である。
欽ちゃんが『これやってみて』と二郎さんに課題を出す。これが『フリ』。
二郎さんは挑戦するが、うまくできない。これが『オチ』。
それを欽ちゃんがツッコんで笑いに変える。これが『フォロー』である。
授業も実は『フリ』『オチ』『フォロー』の積み重ねから成る。
『写真を見て気づいたことを箇条書きにしなさい』
『○○くん、発表して』
と教師が子どもにさせることは、すべて『フリ』である。
それに一生懸命取り組む子どもが『オチ』担当。
それをほめるのが、教師の『ふぉろー』である」
かつて中村先生は、共著で『学級担任に絶対必要な「フォロー」の技術』(黎明書房)を出された中に以上のような説明があった。
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私は、「この本は授業についての画期的な本だ!」と実感した。
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フォローについて、中村先生は次のように提案されている。
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教師は、「フリ」の技術に、目が行きがちである。優れた指示や発問が、多く研究されてきた。分かりやすい指示、考えやすい発問ができる教師は多い。
その一方で、「フォロー」は、軽視されてきた。というか、意識すらされてこなかった。しかし、私は、断言する。
子供たちを動かすのは、「フォロー」である。
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子供たちのがんばりは(註 オチ)、きちんと評価しないといけない。これが「フォロー」だ。私は、この「フォロー」の大切さを、ずっと言い続けてきた。
教師が「フリ」をした以上は、必ず、「フォロー」する。
まずは、忘れずに「フォロー」することが、一番大切な技術である。
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健一先生は、「フォロー」の大切さをこのように指摘されている。
子供たちは、いつも自分の発言や活動が確かなものなのかどうかを気にしている。
子供たちは、自分に何を期待されているかを知りたがっている。
これは私が37年間の担任生活から得た確かな教訓である。
だから、「フォロー」を子供たちに伝えていくことは必須のことなのである。
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初任者指導をしている先生から聞くことがある。
「野中先生、フォローを授業で入れていく初任者のクラスはとてもクラスがまとまっていくのですよ!」と。
なぜうまくいくのか。
子供は、担任が、フォローを入れて自分を認めてくれるので、先生が好きになるのである。
先生が好きになったら、一生懸命クラスや担任のために努力する子供になるのである。 こんな子供たちが増えていくのであるから、クラスがうまくいくのは当然である。
意識さえすれば、初任者でも簡単に授業を変えることができる。
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「この本は授業についての画期的な本だ!」と先に書いた。
それは、今までさまざまな研究の発想を根本的に変えていく提案だと思ったからであ る。
今まで教師は、教卓のこちら側で「フリ」(発問、指示など)の研究をずっとしてきたのである。
また、今でも全国の学校現場で、教卓のこちら側で「オチ」(話し合いなど)の研究 をしている。
ずっと子供たちの「現実」を踏まえないで、こちら側でばかり研究を進めてきたので ある。
問題なのは、「フリーオチーフォロー」の一連の指導の追究なのである。
この本『策略 ブラック授業技術』を読んでもらえば、この本がどれほど画期的なものかどうか分かってもらえると私は考えている。
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