緊急の、学校現場に課せられる重要なテーマ(7)~超やんちゃな子への対応~
荒れているクラスを受け持ったときに、最初に目をつくのは、逸脱行動をしている超やんちゃな子供たちである。
「この子たちがクラスを荒らしている!」と当然考えられる。
もちろん、クラスの荒れのキッカケをつくっている。
子供たちは、特に、このマイナス行動に引き寄せられる習性がある。
だから、中間派の何人かは、この子等と同一行動をとる場合が出てくる。
最初は、2、3人の逸脱行動が、「魔の6月」になったころには7,8人に増えているということはよくあることである。
1 超やんちゃな子は、目的をもって行動する!
この超やんちゃな子たちは、一体何者なのか?
また、どのような対応法をとるべきことなのか?
組織論2の対応をとっているとしても、この課題は残される。
目の前につねに突きつけられるからである。
このことについて、「アドラー心理学」で有名なアドラーが、問題行動を起こす子供の行動原理として「5つの作戦」というのを提起している。
問題行動を起こす子供は、「目的をもって行動する」。
その目的が満たされない場合は、5つの作戦を実行する、と。
①褒められよう(褒めてください)
②目立とう(見て見て)
③悪さを前面に出そう(悪い子だぞ)
④復讐してやろう
⑤諦めよう
このアドラーの主張は、確かに今までの担任経験からすると納得する。
「目的をもって行動している」。
ほとんどの超やんちゃな子は、②が多かった。
③の行動をとっている子は、学級崩壊をしている場合の子供の行動と一致する。
彼らの目的とは、何か?
それは、自分の「存在」を認めてもらいたいという一心。
だから、私が成功したやんちゃの包み込み(クラスに包み込んでいくこと)は、最初に「つながり感」(この先生は自分を分かってくれる)をもち、そして「所属感」(クラスのみんなから認めてもらえる)をもたせることであった。
この実践については、『困難な現場を生き抜く やんちゃな子のいるクラスのまとめかた』(学陽書房)に明らかにしている。
2 快・不快の価値観で動いていく
アドラーがこのように5つの作戦を提起してから多くのときを経ている。
子供の存在そのものも、大きく変わっている。
最近は、自分が「やりたいようにしたい!」という目的をもち、それをかなえてくれない担任に対して反発をし、授業妨害を繰り返している子供がいることも事実である。
集団に所属するときには、自分の思い通りにはならないということが認識できない未発達の子供である。家庭教育が、このような子供を育てている。増えている。
彼らは、ものごとにたいして、「善悪の価値観」で行動するというより、「快・不快の価値観」で行動する。「良いか悪いか」ではなく、「快いか不快か」で判断する。
いじめが典型的である。
これほどいじめはだめだと言われているが、減ることはない。
年々増えていっている。
これは、善悪の価値観よりも、快・不快の価値観が優先するからである。
いじめは、快感である。
しかし、学校は、「善悪の価値観」で成立している。
「快・不快の価値観」とは、根本から違っている。
だから、担任は、大変である。
こういう子供を、これから学校教育は、どうしていくかが大きく問われることになる。
3 彼らの土俵に下りてはならない!
問題行動をとっていく子供に対して、彼らの5つの作戦には絶対乗ってはいけない。
これが、鉄則である。
私は、「彼らの土俵に下りてはならない!」とくり返し主張してきた。
どうするか?
私の主張は、次の通りである。
これについては、脳科学者平山諭氏の『満足脳にしてあげればだれもが育つ』(ほうずき書籍)に書かれていることを参考にした。
①最初の「関係づくり」をする
問題行動を起こしてくる子供に対して、対応する方法は、2つの言葉かけである。
○さまざまな問題行動が起こったとき、最初「ど」の言葉で対応する。
「どうしたの?」、「どうですか?」、「どれどれ」……など
○その言葉に、反発の言葉が返ってきたときは、「そ」の言葉で対応する(反発の言葉とは、「うるせえ~」、「めんどくせえ~」、「うぜえ~」など)。
「そ~なの」、「そうなんだ」、「そうか」、「そうだよね」……など
この「ど」は、その子の今の状態を問う言葉。また、「そ」は、その状態を認める言葉。
「そんな甘い対応でいいのか?」という反論がある。
今までの土俵に下りる対応は、すでに「関係づくり」として破綻している。認識しなければならない。
ここから「関係づくり」を始める。
②彼らの「不適切な行動」には、必要な対応だけをとる。
○しょっちゅう叱っていくことは止める。ますます反発が返ってくる。
○ただし、人としてやってはいけない行動や、いじめをやったときなどは強く
叱る(事前に子供たちに宣言しておくことが必要)。
○授業妨害などの行動をするような場合は、管理職などと相談し、
別教室などでの学習をさせる(これができない学校が増えている。空きの教員がいないのである)。
③彼らの「適切な行動」には、いち早く反応し、ほめる、認めるなどの言葉かけをする。 ○短い言葉でほめる
いいね、すばらしい、わかるよ、すごい、さすがだねなど
○名前をつけて、特定化する
「すてきだね、○○さん」、「ばっちだよ、○○さん」など
○達成や成長を伝える
「できるようになったね」、「やったじゃない」など
(つづく)
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