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緊急の、学校現場に課せられた重要なテーマ(5)~なぜ、早く学級をつくることなのか~

1 なぜ組織論1は効果的だったのか?
 組織論1は、端的に言うと「学期の最初に早く学級をつくってしまう(1ヶ月)」という方法論である。
 なぜ、「早く学級をつくる」ことなのか?

 「3・7・30の法則」で1ヶ月を構造的に組み立てることを考えたのは、「最初の1ヶ月が大切だよ!」と先輩たちから教えられてきたことからである。
 それでもどのように1ヶ月を大切にするのかは、全く明らかになっていなかった。
 そこで、私が、その1ヶ月をカタチにしてきたわけである。

 なぜ1ヶ月だったのか?
 これは経験的に伝えられたことだった。
 だが、教師たちの多くが、この1ヶ月を意識していたかというと、ほとんどありえなかったのではないか。
 それは、「学級づくり」ということがほとんど意識されていなかったことにある。
 しかし、確実に、この1ヶ月の「学級づくり」が1年間を決定していくのは、私の担任経験からはっきりと言うことができた。

 このことについて、『世界最高の学級経営』(ハリー・ウォン/ローズマリー・ウォン著 東洋館出版社)では、次のことが書かれている。

 ★ ★ ★
 1年の終わりに子どもがどれだけ学びを達成できるかは、新年度の最初の1週間に、教師が「どれだけきちんとクラスをまとめられるか」にかかっているのです。

 成果を上げる教師は、最初の1週間でクラスをまとめます。とはいえ、これは子どもたちを脅して怖がらせるということではありません。①教師の役割、②クラスの手順の確立、③仕事しての教師の責任、の3つをきちんと把握する、ということです。教師が自分の役割をわかっていると、子どもは安心するものです。
 最初の2,3週間がその後1年間の子どもの学びの達成度を左右することは、多くの例からわかっています。新年度が始まるまでに、あらゆる準備を整えておかなければなりません。
1年間を成功させるためには、最初が肝心です。
 ★ ★ ★

 最初の1週間で、クラスをまとめ、そしてその後の2,3週間でそれを徹底していくことが決め手であると書かれている。
 
 このハリーとローズマリーの実践は、私の「3・7・30の法則」とほとんど同じ実践である。
 
 私の実践では、最初の1週間は、「仕組みづくり」になる。「勝負の1週間!」と名付けて、その1週間を「1週間のシナリオ」としてモデルの時間を提示している。
 
なぜ、1週間なのか?

 ★ ★ ★
 最初の1週間で最も大切なことは、「一貫性」を確立することです。なぜなら子どもたちは、何か行われて、どういう結果になるのかを、はっきりと知っておきたいからです。予想外のことや、秩序だっていないことは嫌がります。一貫性をもって接していれば、
「先生、今日は何をするんですか?」などと聞かれることもありません。
 子どもたちは、何を行うかを予測できる、安心できる学びの場を求めています。つまり、一貫性のある環境です。学級経営が上手になされていれば、子どもたちは怒鳴られることもなく、学習に集中できます。成果を上げる教師は、最初の2週間をかけて、一貫性のあるクラスの環境をつくり、その中で子どもたちに自分の行動に責任を持つことを教えるのです。
 成果を上げる教師は、一貫性が生まれるよう、学級経営をしています。すると子どもたちは互いに思いやり、刺激を受け、やりがいを持ち、高いレベルで学びを達成できるようになります。きちんとした学級経営は、学びの基本です。
 ★ ★ ★  

 なぜ、1週間なのか?
 はっきりした答えはない。
 それでも、まとめてみると、次のようになる。

 ①子供たちは、一貫性のある秩序だった環境を求めている。
 ②その環境が早くできれば、子どもたちは怒鳴られることなく、学習に集中
  できる。 

 
 ここにあるキーワードは、次のことではないか。
 
  安心感のある学級
 
 これを早く学級につくってくれることを、子供たちは何よりも願っているのである。

 私は、長年のクラス担任の経験から、子供たちの多くが、クラスに安心感と同時に、毅然として自分たちを管理指導してくれる担任を求めていることを感じることができた。  クラスにきちんとしたシステムをつくりあげ、明確なルールをつくって、子供たちが安心感と居心地の良さを感じられるようにすることが大切である。

 初任者が学級づくりに失敗するのは、ここにあることが長年の経験から分かってきた。
 子供たちから好かれたいと思うあまりに、甘すぎる態度で接してしまう。子供たちは最初そういう態度を好むが、そのうちにだんだんと離れていく。

2 組織論1を身に付けたい!
 組織論1について書いてきた。
 くり返しになるが、組織論1は、端的に言うと「学期の最初に早く学級をつくってしまう(1ヶ月)」という方法論である。

 このことの重要性は、学校現場では認識されていない。
 相変わらず、「授業、授業」という認識しかない。
 だからこそ、異動して荒れたクラスを受け持ったときの対処法が出てこようがないのである。

 だが、この組織論1を実践すれば、初任者のクラスでも、順調な学級経営が行われていくことになる。

 最後に、この組織論1は、具体的にどんなものなのかということについて書いておきたい。
 ①『教師1年目の教科書』(拙著 学陽書房)
  初任者向けに書いたものだが、これを読めば組織論1が十分に分かってくる。

 ②『必ずクラスを立て直す 教師の回復術!』(拙著 学陽書房)
  荒れたクラスを立て直すために書いた本である。
 
この①②を読んでもらえば、十分に組織論1の内容が分かってくる。

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