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2023年8月

緊急の、学校現場に課せられる重要なテーマ(3)~荒れたクラスがどのレベルにあるか~


 まず、荒れたクラスの担任をしたときに、学級の崩れの状況がどのレベルにあるのかを把握しなければならない。

 私は、その荒れの段階をレベル1からレベル4まで指摘したことがある(『困難な現場を生き抜く教師の仕事術』学事出版)。
 20年前の本である。
 だから、この指摘も時代に合わなくなっているのかもしれない。
 
 とりあえず、指摘してみる。

 <レベル1> ほころびの状態
 1 机を隣の子と離す
 2 チャイムがなっても、学習の用意ができていない
 3 ノートに落書きが目立つ
 4 朝自習ができない
 5 学級文庫や靴箱が乱れている
 6 給食の残りが多い
 
 <レベル2> すでに崩れかかっている状態
 1 1週間友だちから話しかけられない子がいる
 2 朝礼時に遅れる子どもが、3人以上いる。また、朝礼時に私語があったり、
   列が乱れていたりすることが多い
 3 掃除をさぼるものが多く、教師がいない所では真面目に掃除をしない
 4 教師の指示に対して、反応が遅く、行動がとても緩慢になる
 5 教室にゴミが落ちていて、いかにも雑然としているのに誰も片づけようと
しない

  <レベル3> 荒れてしまっている状態
 1 特定の子に触れた後、○○菌と他の子にタッチを回すことが平気で行われる
 2 集合時刻にすごく遅れても平気である
 3 前に禁止したはずのルールが、いくつも破られる
 4 授業中、私語が絶えず、指示が通らない
 5 休み時間などに窓から物を次々に落とす
 
 <レベル4> 騒乱状態
 1 特定の子へのいやがらせや命令が隠れたところでなく、白昼堂々と行われる
 2 チャイムがなっても、外で平気で遊んでいる
 3 誰が注意しても、冷笑、口答えが返ってくる
 4 参観日でもぐちゃぐちゃで授業にならない
 5 教室の備品が、次々に壊され、なくなったりする

 修正していく必要があろう。
 受け持ったクラスが、どの段階のレベルにあるか、判断しなければならない。
 
 レベル1,2の段階だと、組織論1をきちんとやっていけば回復は早い。
 レベル3,4の段階だと、本腰を入れて対応をしなくては回復はむずかしい。
 その場合、組織論1,2,3を実践するのは、当たり前のことだが、組織論2を重点的に適用しなくてはならない。
(つづく)

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緊急の、学校現場に課せられる重要なテーマ(2)~3つの組織論~

 荒れたクラスを担任したときの処方箋とはどんなものなのか。

 私は、組織論で対抗する以外にないと考えている。
 学校現場には、こうした考えはほとんどない。
対症療法でしか対応できない。
 うまくいくはずはない。

 学級も1つの組織体である。
 だから、壊れた組織を回復する手法は、組織論を適用するのである。
 
 学級組織論。
 「学級を軌道に乗せるために行う組織運営の方法論」ということになる。

 なぜ組織論か?
 組織には、特別な習性がある。
その特徴は、もちろんメリットもデメリットを含み混んでいる。
 一人一人と関係をつくるということにはない、組織としてのダイナミズムが存在する。
 それを利用しようということになる。

「そんなものがあるのですか?」
 と言われそうである。
 もちろん、ある。
 
ただ、その組織論を知ったからといって、「どうすればいいか?」という具体を導き出せなくては絵に描いた餅にしかすぎない。
 だから、大変なのである。
 
 3つの組織論がある。
 
 1つ目は、組織立ち上げの論になる。
 
 クラスを立ち上げるときに必要な組織論がある。
 これは、私たちが明らかにしてきた組織論である。
 学級をつくるときに必要な「学級づくり」、子供たちとの関係をつくる「関係づくり」、学級のルールづくりをする「集団づくり」がある。
 そして、学級をつくるときにどうしても外せない1ヶ月(4月)の法則がある。
 私は、「3・7・30の法則」として20年前に明らかにしている。
 
 2つ目は、2割の法則である。
 パレートの法則(2:8の法則)を具体的な組織論として応用した「2:6:2の法則」がある。
 その組織体の8割の成果は、2割の要素(あるいは人たち)によってもたらされるという法則である。
 この法則を学級組織の方法論として適用していきたい。
 
 3つ目は、組織再建の法則である。
 森信三先生が明らかにされた組織再建の方法論がある。
 「時を守り、場を清め、礼を正す」
森先生は、再建の方法論として提起されているが、最初からこの3つを意識して学級をつくっていけば、学級の骨格はきちんと整うことになる。
  
 これらの組織論を具体化しながら、学級経営をしていくのである。
 
 くりかえし、くりかえし、粘り強く取り組まなくてはならない。
 問題は、担任が、その粘り強さに耐えられるか、その一事にかかっている。 
 次回から具体論に入っていきたい。             (つづく)

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つれづれなるままに~人生、そんなにうまくいかない~

 
●座骨神経痛の痛みは、順調に回復してきている。
 普通に歩けるようになっている。
 
 心配だった21日の講座も、無事終わった。

 問題は、これが慢性化してたびたび痛みが出てくることである。
 これを避けるために、どのような対応があるのか研究中である。

 今まで長いこと生きてきた中で、私なりに人生訓を持っていた。

 人生、そんなにうまくいくことはない。
 だけど、粘っておけば、
 そのうちに必ず何とかなる。

 「楽観的悲観主義者」だ、と。

 まさに、今回の事態がそのとおりなのである。

 健康には自信をもっていたわけである。
 ところが、その自信がもろくも今回の事態で崩れ去っている。
 「そんなにうまくいかなかった」わけである。

 さて、ここでどれだけ粘れるかが勝負になる。

 さまざまな友人から「大丈夫か?」という連絡を受けた。
 おかげさまで何とかなっている。

 ご心配ありがとうございました。
 
●もう義務教育の体をなしていない!
 
 全国学力テストは全国の小学6年生と中学3年生を対象に、今年4月に行われたもので、島根県の丸山知事は8月22日の定例会見で小学生の算数の問題に触れた。

 触れたのは、「椅子4脚の重さが合計7キロあった場合のこの椅子48脚分の重さ」を問う問題。全国の正答率は、55.5%。この正答率に島根県の丸山知事は…。

「日本の45パーセントの小学生が解けてない。これに危機感は覚えませんか。我が国の義務教育は、もうあの義務教育の体をなしてない可能性があるってことをこの数字は示している」

 指摘されるとおりである。
 このような基本的な問題を半分近くの子供が間違っていくということは、深刻な状態である。

 今新しい教育ということで、個別最適な学び、協働的な学びが叫ばれている。
 私は、大丈夫かなと思う。
 丸山知事ではないが、こんな算数の基本的な問題ができないで土台を失っているのである。
 きちんとした土台の上に、新しい学びが乗っかってくるはずである。
砂上の楼閣みたいになろうとしている学校に、どんな新しい教育が乗れるのだろうか?

● 76歳の誕生日を迎えた。
 8月26日のことである。
 父は、73歳で亡くなっているので、それよりも長生きしている。
 これは親孝行なことである。
 母は、100歳で亡くなったが、そんな歳まで行けるはずはない。

 8月は、突然の座骨神経痛でびっくりしたが、何とか誕生日までに普通に歩けるように回復している。
 整骨院では、その痛みの回復には、2,3ヶ月かかりますと言われたが、何のことはない、2週間でほとんど治っている。

 医者の言うことは、そこそこに聞くようにしている。
 問題は、自分でどう治していけるかどうかなのである。
 

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山中太先生の書評です!

 長崎の佐世保の山中太先生から、今回の新刊の書評をいただいた。
先生のブログに掲載されている。

 野中信行先生の新刊「ここだけはおさえたい!教師1年目の授業づくり」(学陽書房)を読みました。
 タイトルにあるように,若手教師向けの本です。
 しかし,ベテラン教師もやっていない,知らない(だろう),教師のとしての基礎基本が具体例をあげて紹介されています。

 野中先生が「はじめに」でも書かれていますが,まずは,「土台づくり」が大切なのです。土台である学級が安定していないと,授業はうまくいかないのです。

全国学力調査の結果が発表されると,現場教師は大変忙しくなります。(特に,国語,数学,英語教師)
分析と対策をまとめ,研修が開催され,研究授業を行い,研究協議を行うからです。
これを毎年繰り返しています。

さて,学力は向上しているのでしょうか。
残念ながら,本市の結果は思わしくありません。
その理由は,授業改善のみに注目しているからだと思います。
大切なのは,「土台づくり」なのです。
集団づくりと関係づくりを学び,実践していくことが大切なのです。

野口芳宏先生もこう言われています。
「東日本大震災後に被災地を訪れて気づいたことがあった。津波で多くの家屋が流され倒壊していたが,残っているものがあった。それは,建物の「基礎」だ。家の柱を立てる石やセメントの「基礎」は流されずにすべて残っていた。」

教育も同じなのです。
「基礎」がしっかりしている教師になることなのです。
つまり,「基礎」=「土台」です。
「基礎」(土台)がぐらつき安定していない教師の授業に生徒がのってくるはずがありません。一生懸命に取り組むはずがありません。
教師としての「基礎」を身につけることで,自信ができます。自信をもって生徒の前に立つことで,生徒は安心して信頼して授業を受けることができるのです。
そういった意味でも,この本は若手教師に限らず,ベテラン教師にも是非読んで欲しいと思います。


今回も多くの学びを得ました。これからもどうぞよろしくお願いします。

 ★
 山中先生は、道徳教育で有名な先生である。中学校の先生。
 今年退職されている。
 
 学年経営、学級経営のスペシャリストで、早くから中学校でも学級経営を重点的に追究することを強調されてきた。
 この書評でも、「土台づくり」として集団づくり、関係づくりの必要を強調されている。
 この土台がしっかりしなければ、授業もうまく軌道に乗らないことを長年の経験から分かっておられるのである。

 私たちのこの本は、初任の先生がまず授業を進めていくときにどんなことに気をつければいいかという基礎・基本を書いている。
 さっと読んでいけば「なあんだ!分かっているよ!」という本である。

 私たちは、最初から「ごちそう授業をどのようにするか?」などを問題にしていない。
 人の生命線が、三度の食事にあるように、学校や教師の生命線は、「日常授業」にあるのである。
 その「日常授業」をきちんと成立させるためには、学級の土台と授業の土台が必要になることを強調している。
 そこを山中先生は読み込んでいただいている。ありがとうございました。

 

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緊急の、学校現場に課せられる重要なテーマ(1)

神奈川県藤沢市の講座が無事終わった。
 座骨神経痛の痛みで、行けるのかなと心配したのだが、講座中もきちんと立って提案ができたのでほっとしたところである。

 この講座で重要な提案をしたことになる。
 私は、8月の26日で76歳の誕生日を迎える。
 もうとっくに後期高齢者なのである(笑)。
 この歳で講演なんかやっている人は、ほとんどいない。
 
 だから、こうして講演に呼んでいただけるところへは、充分な準備をして、臨むことにしている。ありがたいことである。
 何か遺言を伝えている気持ちになるのである(笑)。

 ★
 さて、その重要な提案とは、荒れている学年や、学級の立て直しのテーマについてである。
 最近とくに感じるのは、異動していく先生たちのこと。
 異動先の学校で、大変な学年や学級を持たされることである。
 とくに、こちらの学校で重要な役割についていた先生や、高学年を担任していた先生は、必ずといっていいほど、大変な学年や学級をもたされる。
異動先の学校の先生たちは、その大変な学年や学級の担任希望を出さないから、困った校長が異動してくる先生をその役割に当てていくことになる。

 私の知り合いの中には、そのいう学級を担任して、うまくいかず鬱病になり、休職するという事態になった先生が何人もいる。
 こちらの学校では、学級崩壊立て直し人みたいな役割を担っていたのに、異動先の学級ではうまくいかないのである。
 その先生たちは、自信があったのである。
 だが、うまくいかず、その自信がもろくも崩れ去っていく。
 その自信とは何だったのか、今までの自分の力量とは何だったのか、と問うことになる。
 
昔は、こんなことはなかった。
 異動してくる先生たちに高学年担任をさせることは、普通はなかった。
 3,4年を担任させて、学校に慣れてもらうというのが普通の学校の、普通の倫理的約束みたいなものだったと思う。
 それがまったくなくなったのが現在である。

 この課題は、緊急の、学校現場に課せられる重要なテーマになっている。

 ★
 前置きが長くなってしまった。
 その提案については、次回から何回かに分けて書いていきたい。

とにかく、異動先の学校で荒れているクラスを受け持ったら、どういう手立てがあるのかというのを提案したい。

 

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つれづれなるままに~回復している~

 
●座骨神経痛の痛みは、順調に回復してきている。
 普通に歩けるようになっている。
 
 心配だった21日の講座も、これならばできると自信を回復する。

 問題は、これが慢性化してたびたび痛みが出てくることである。
 これを避けるために、どのような対応があるのか研究中である。

 今まで長いこと生きてきた中で、私なりに人生訓を持っていた。

 人生、そんなにうまくいくことはない。
 だけど、粘っておけば、
 そのうちに必ず何とかなる。

 「楽観的悲観主義者」だ、と。

 まさに、今回の事態がそのとおりなのである。

 健康には自信をもっていたわけである。
 ところが、その自信がもろくも今回の事態で崩れ去っている。
 「そんなにうまくいかなかった」わけである。

 さて、ここでどれだけ粘れるかが勝負になる。

 友人たちから「大丈夫か?」という連絡を受けた。
 おかげさまで何とかなっている。

 ご心配ありがとうございました。
 

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『ここだけはおさえたい!教師1年目の授業づくり』(野中信行編著 学陽書房)が8月20日に発売されます。

 
 『ここだけはおさえたい!教師1年目の授業づくり』(野中信行編著 学陽書房)が8月20日に発売されます。
 この本は、『新卒時代を乗り切る!教師1年目の教科書』(学陽書房)の姉妹版として企画され、今回出版することができました。

  この本は、今オンラインで始めている「初任講座」のスタッフ4人で書き上げました(オンラインは、2月から7月まで月1回で2年目が終わりました)。

 この本を読んでもらって、「たいした内容ではないな!」と思われるかもしれません。
 確かに、たいした内容ではありません(笑)。 
 もともと「ごちそう授業」を提起しようと思っておりませんから。

今、初任の先生たちは、忙しさに忙殺され、疲弊しています。
 毎日の授業も成り立たせるのに苦労しています。

私たちは、何を頼りにこの状況下を乗り切ればいいかと考える中で、まず手をつけることは、「日常授業」の改善であるという結論でいます。

 「日常授業」が先生たちの生命線です。
 人の生命線が三度の食事で成り立っているように、学校、教師の生命線は、「日常授業」で成り立っていると考えます。

 だからこそ、ここに初任の先生たちが、目を向けてほしいと願って、この本を書きました。

もしよろしければ、まわりの若い先生方に推薦してもらえばありがたいです。

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つれづれなるままに~腰部脊柱管狭窄症と診断される~

●それは突然起きた。
 7月の終わり頃から右のお尻の後ろが痛くなった。
 そのうちに良くなるだろうと思っていた。
 ところが、8月1日に右足のふくらはぎが痛くなり、歩くのが困難になった。
 これは大変だと整形外科に行く。

 レントゲンなどの診断の結果、腰部脊柱管狭窄症で右足の痛みは座骨神経痛が起こっているということであった。
 「おい、おい」ということである。

 今まで健康には自信をもっていたわけである。
 そのための手立ても十分に打ってきたわけである。

 それがもろくも崩れ去る。

 ただ急性であるので、慢性にならないようにしなければならない。
 ★
 右足の痛みを何とかしなくてはならない。
 そこで評判の整骨院に行く。
 簡単な姿勢チェックと、さまざまに足を動かす検査。
 それから1時間にわたるレクチャー。
 それで診断は、股関節の堅さで、そこからの問題が起こっている、と。
脊柱管狭窄症と座骨神経痛の症状を否定する。

 だから、何度もぶり返すことを防ぐためには、4,5ヶ月に渡って週3日の手立てをしなくてはならない、と。
 そして、4,5ヶ月の料金コースを示される。15万から20万になる。

 「先生、私はここの痛みをなくしてほしいと思ってきたのですが……」
「そこの痛みは、2,3ヶ月かかります!」と。

 何か詐欺にひっかかっている感じがする。
 さっさと引き上げる。

 これは、もう自分で治す以外にないと自覚する。 
 ★
 13日から娘も含めて3人で郷里の佐賀へ帰ることになっていた。
 キャンセルにする。
私が歩けないのなら、どうすることもできないわけである。
 ★
 ホテルのキャンセルはすぐにできたが、航空機のキャンセルは大変であった。
 電話でのキャンセルをしようと何度かけるがつながらない。
電話が混んでいるから、またおかけくださいという案内。
朝一番の8時にかけてもすぐに混んでいるという案内。

 これではどうしようもない。2日間がんばったわけである。

 ホームページを確認して、ネットでキャンセルできることが分かる。
 急いで作業をする。それでキャンセルできる。
 「早く教えてくれよ!」と。
 ★
 8月13日現在、少し痛みがひいている。
 家の中は歩けるようになる。
 近くのドラッグストアーに買い物に行けるぐらいに回復している。
 ただ、夜になると痛みが出てくる。一進一退である。

 8月21日に神奈川県藤沢市教育センターでの講座が決まっている。
 ここに間に合わせなければならない。
 
 
 

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