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魔の6月がやってくる!

 もうすぐ「魔の6月」がやってくる。
 クラスの荒れが表面化する時期である。

 かつて北海道へ行ったとき、ある初任者から聞いたことがある。
「私のクラスが荒れていることを私自身が分かっていなくて、周りの先生から『あなたのクラスは大変だよ!』と教えてもらって、そこで初めて自分のクラスが荒れているのに気づいたんですよ」と。

 こんなこともある。
 それくらいに初任の先生たちは、もう自分のクラスだけに集中して授業をしているので、クラスの状況がどのようになっているのか、分からなくなることもある。

1 担任や周りの先生たちに勘違いが起こっている恐れ

 
 荒れていくクラスの特徴は、まずクラスにいる「超やんちゃな子」(2,3人)に手を焼いていくことから始まる。
 何とかしようとさまざまに試行錯誤しながら、毎日その子たちに対応する。
うまくいかなくて、6月頃には、超やんちゃな子と行動を共にする子供たちが7,8人に膨れ上がっていく。
 騒乱状態の一歩手前。学級崩壊が起ころうとしている。
 
 原因は何か。

 子供たちへの対応で、担任や、周りの先生方に勘違いが起こっている恐れがある。
 
2 組織の法則を間違ってとらえている

 組織の法則として「2:6:2の法則」がある。
 この法則をクラスに当てはめてみると、クラスには、だいたい2割の真面目派、6割の中間派、2割のやんちゃ派の子供たちがいる、ということになる。
 普通のクラスは、だいたいそんな感じになる。

 担任や周りの先生たちの勘違いは、この法則での「決め手」を、2割のやんちゃ派(実際には2,3人の超やんちゃな子供)だと思っていることである。
 
 でも、これを決め手であるとするのは、よく分かる。
 実際に、目立ってうろうろしたり、おしゃべりしたりしているからである。
だから、この子たちを落ち着かせれば何とかなると思い、しょっちゅうその子たちの指導に奔走するわけである。

 それ以外の普通の子供たちは、担任が超やんちゃな子にかかりきりになっている間、常に「空白の時間」が生まれる。
 この「空白の時間」が積み重なると、ますますクラスは荒れていくことになる。
 
 3 決め手は、2割の真面目派
 
 この法則の「決め手」は、2割の真面目派なのである。
 この法則は、常に最初の「2割」がポイントなのである。

 この子供たちは、担任とともにクラスを主導していく存在。
 担任の指示に従って動き、周りの子供たちにも呼びかけて一緒に行動していく。

 最初は、上のようにクラスは動いていたはずである。
 このときには、クラスは荒れているわけではない。超やんちゃな子も、周りがそのように動いているので暴走をしていない。

 ところが、担任は、今まで出していた指示と違う指示を出していく。
 真面目派は、「えっ」と思うが、とりあえずそれに従っていく。

 ところが、ところがである。
 担任は、またまた指示を変えてしまう。ころころ指示を変えてしまう。

 超やんちゃな子に言われて、その思いを大切にしようと思い、指示を変えていくことが多いのである。
その結果、方針がぶれてしまう。
 一貫した方針がとれないのである。

 ついに真面目派の子供たちは、「もうやってられない!」と担任に不信感を感じて、動かなくなる。
 「担任を見限る」という状況である。
 
4 担任の方針が間違っている!
 
 今まで真面目派が中心で動いていたので、それに従っていた普通の子供たちが、真面目派が担任を見限ることで、安心して担任の指示に反する行動をとることになる。
 これが学級崩壊という状況である。

 真面目派だって、学級崩壊が自分たちに不利であることは充分に承知している。
 ふつうの子供たちだって、学級崩壊が不利であることは理解している。

 それでもこうした行動に駆り立てていくのは、担任のぶれる方針の結果である。
 
5 学級崩壊からの回復

学級崩壊からの回復は、大変である。
 対応には、学級担任を替えるか、他の先生たちを投入して(T・Tの形で)凌いでいくかなどが考えられる。

 先日のオンラインで提起された対応は、その初任のクラスの授業を教科担任みたいに様々な先生に割り振っていって、初任は限られた授業だけにしていくという方法である。
実際にそういう対応をして、凌いでいったということ。

 組織の法則から対応策を考えれば、方法は1つ。
 
 ○担任を見限っている真面目派の2割を復活させること

 「学級崩壊立て直し人」としてさまざまに取り上げられる先生がいるが、学級崩壊からの回復は、そんなにむずかしいことではない。
 要するに、真面目派の子供たちを復活させればいいのである。

 それでも、これが大変になる。
 問題は、担任がめげて、もはや気持ち的に動かなくなっていることになる。

 回復させるには、「一貫した方針で、一貫した指導」を回復することである。

 ①子供たちの前ではきぜんとした姿勢を保つ。
 ②「叱る」ときはきちんと叱る。それでも、しょっちゅう叱ることは控えていく。
 ③授業を妨害するやんちゃな子供は、校長に相談をして他の先生で対応してもらう。
 ④子供たちが「空白」になる時間をできる限りなくしていく。
 ⑤授業その他が時間通り進んでいくようにがんばる。なかなかスムーズには進まないが  それでも時間通り終わっていく。 
⑥教室は、いつもさっぱりときれいにするように努める。

 具体的には、こういう対応がとりあえず必要になる。

 小山進氏は、『丁寧を武器にする』(祥伝社)の中で、次のように提起されている。

 「たとえば―
  どんなにつらいことがあっても、
  自分の思うとおりにならなくても、
  失敗をしてしまっても、
  そんなときこそ『丁寧』に仕事をしよう。
  『丁寧』が武器になるほど、心をこめて、力を注ごう。
  大丈夫。僕がそうだった。
  『丁寧な力』は、必ず自分を助けてくれる。」

 丁寧に、丁寧に、取り組んでいくことである。
 そのうちに、道は開ける。

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