カリフォルニアとのオンライン
太平洋をはさんで、遠くカリフォルニア州のサンノゼ市 三育学院サンタクララ校のT教頭先生とオンラインで話をした。
この学校は、キリスト系の私立日本語補習校で、シリコンバレーで知育、徳育、体育のバランスの取れた教育を30年以上提供している。
その学校に、私もかつて2回訪れたことがある。
それぞれ1週間滞在し、先生たちの授業を見たり、私が授業をしたりする日々であった。
また、さまざまな場所への観光にも連れて行ってもらった。
夢のような時間であったことを思い出す。
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午前10時のオンライン。向こうは、午後6時。夕方である。
こちらは寒さで、まだ上着を着ているのだが、向こうはティーシャツの子供たち。
ここは、地中海性気候なので、1年中ティーシャツで過ごせる。
授業の様子も少し見せてもらう。
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興味深い話がたくさん出る。
この学校は、幼・小・中の生徒たちがいる。
昼間は、現地校に通学し、pm3:45~6:45 という時間帯で授業が行われる。
小1,2年が、国、算、理、生、小3,4年が、国、算、理、社、中学が国、数、理、社の教科を教えている。
「先生たちは、授業に派手さはないが、きちんと教えられている」とT先生は言われている。
この学校の先生たちは、午後の4時頃からの授業(3時間?)なので、午前中たっぷり教材研究の時間がとれる。うらやましい限りの時間。
テストの丸付けや、プリントの印刷などは、他の先生たちにやってもらえる。
日本の先生方にとっては、理想的な環境だと憧れるところである。
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ただ、教えるべき学習内容は、日本の学習指導要領に従って、教科書を使って行われているが、日本ほどに授業時間がない。
だから、かなり急いでの授業になってしまう、と。
ところが、この学校では、自学ができる生徒がかなり育っているとT先生から教えてもらう。
教科書があれば、それを読んで自分で学習を進めていける生徒たちである。
そのため、学習のあとのテストは、ほとんどよくできる状態だと言われる。
この学校では、かなりの宿題が出される。現地校での宿題もある中で、それをしっかりとやってくるという。
もちろん、家庭での助力は強力であろう。
なにせ、シリコンバレーで勤務されている家庭の子供たちである。
送り迎えは、すべて親によってなされている。
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とても興味深いことは、読書についての話であった。
ある時期に、年長(4,5歳)さんの子供たちに、100冊の絵本を読むという課題を強制的に課したことがあったという(それまではお勧めとなっていた)。クラスに100種類の本を常備したという。
その効果は、小1の子供たちに表れた、と。
ある年に、T先生が受け持った小1の子供たちは、問題を読み解くなどのことが大変で苦労したという。
ところが、100冊を読んできた子供たちは、そんな苦労はほとんどなく、すんなりと通過することができた、と。
「絵本100冊の威力は大変なものでした!」と。
それ以降、この効果は、子供たちの中に浸透していき、自学ができる子供たちが数多く育ってくる基盤になっている、とT先生は語っておられた。
共にオンラインで講座をもっている秦先生から聞いたことであるが、指導している2年生担任の初任者が音読を強調して学習を進めたところ、ものすごい結果(国語のテスト全員が100点取る、算数テストの成績が常時90点以上など)を出した、と。
これは共通する話である。
私たちは、あまりにも先走りをしすぎたのではないだろうか。
今は、小学校の低学年から、話し合いの授業ばかりを優先している。
そのために、発問、読解指導などに奔走している。
課題はもっと手前にあるのに、それを忘れてしまっている。
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本来ならば、自分で課題を設け、自分で課題に挑戦して、自学できる子供たちを育てていくことを狙っているはずではないか。
とくに、このコロナ禍でもっとも望まれたのは、この自学できる子供たちの育成であったはずである。できたのだろうか?
三育学院で自学できる子供たちが数多く出ているという事実に、もっと耳を傾ける必要があるなと思ったオンラインであった。
来年の1月5日に、三育学院の先生たちへのオンライン研修が決まりそうである。
太平洋を間において、日本とカリフォルニアでこうした研修ができること。こんな時代がくるなんて思ってもいなかったわけである。
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