新しく管理職になる先生方へ
親しい知り合いの先生たちが、管理職へ登用されている。
私は、管理職へなっていないので、えらそうなことは言えない。
私でも、親友から「野中を一度校長にさせたかったなあ!」と言われたことがあった。
しかし、私が管理職へなっていたら、結局マネジメント能力でうまくいかなかったのではないかと、今ならはっきり言うことができる。
昔なら管理職は名誉職であった。
誰でもが順番にその職につくことができた。
校長は、ただ居るだけで、あとは教頭や教務が学校を動かしてくれた。
今はそうなっていない。
管理職は大変な仕事になっている。
ビジョンと方法論をもっていない(マネジメント能力)校長は、どんなに熱意があったとしても、管理職の仕事は務まらない。ただ居るだけの存在となる。
教師の仕事と、管理職の仕事は、別の仕事なのである。
そのことが分かっていなくてはならない。
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いま管理職にどうしても必要なビジョンは、「先生たちを元気にすること」なのである。
子供たちをどうするかとか、学校の重点研究をどうするかとか、……は二次的なこと。
もうそんなことが第1の課題になる時代が過ぎようとしていると、私は認識している。
ただ、現在の現場の忙しさは半端ではない。
ブラック労働と言われるごとく、目の前のハエを追うごとくに先生たちは振り回されている。
だから、ビジョンを具体的に実現することは大変なことなのである。
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私から管理職へなろうとする先生たちへのエールは、2つのこと。
1つは、法律にくわしくなることである。
たとえば、『部活動の断り方』(西川純著 東洋館出版社)という本がある。
これは、管理職とは真逆の本なのだが、ここで紹介されている法律ぐらいは、きちんと読み込んでおかねばならないものである。
手元には、『教育小六法』(学陽書房)は常においておかねばならない。
2つ目は、やはり『マネジメント能力』である。
学校を動かしていくビジョンと方法を身に付けなくてはならない。
このためには、ぜひとも『決定版 「任せ方」の教科書』(出口治明著 角川新書)を読んでほしい。
ただ、出口さんは、「マネジメント能力の限界を知ることがいい上司への第一歩です」と書かれている。
もう1冊は、『元気な学校づくりの秘訣』(横藤雅人著 さくら社)。
校長として学校を動かしていくための本として、これ以上の本は今までないはずである。
横藤先生は、校長として「荒れた学校」を3年間で落ち着いた学校へと変えていく実践も、『学力向上プロジェクト』(明治図書)に紹介されている。
この本は、かつて斎藤喜博校長が、『学校づくりの記』として出された以来の本だと、私は評価している。
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