戦い終えて日が暮れて
日本中を歓喜の渦に巻き込んだ日本サッカーの躍進は、もう何度もテレビで取り上げられている。
クロアチアにはPKで負けてしまったが、今回の活躍はすばらしいものであった。
今回のドイツ、スペインの逆転勝ちの筋道は、専門家の説明で分かってきた。
前半を守備で耐えて、後半を攻撃型の堂安、三苫等を入れて勝負に出るという作戦だった、と。
前半では、確かに1点しか取られていない。
それで良しという作戦だったのである。
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今回のサッカーを見ながら、印象に残ったことが2つあった。
1つ目は、やはり海外に出て行かねばならないということ。
2つ目は、少年サッカーチームに夢を与えたこと。
1つ目は、今回のチームは、ほとんどが海外組の選手で構成されている。
選手たちが海外へ行くことにより、海外のチームでもまれていく。
そのことが日本サッカーのレベルを確実に上げている。
はっきりしたのは、野球でもサッカーでも陸上でも、世界で通用するようになるには、やはり海外へ行かねば強くならないということである。
2つ目の夢のあること。
マスコミでは、田中選手と三苫選手のことが話題になっている。
2人とも川崎市の少年サッカーチーム「さぎぬまSC」からJ1川崎フロンターレの下部組織に入り、歩みを共にした。
そのことで「僕たちも少年サッカーチームでがんばればあんな選手になれるんだ!」という夢を持たせている。
これは夢にしか過ぎないが、こうして憧れをもてるというのはすごいことである。
子供の時に、夢中になる何かを持てることは、後々の人生に確実に生きてくるからである。
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しかし、その夢は、あくまでも夢にしか過ぎない。
確かな情報ではないが、野球でプロになる選手は、野球をやっている人の9万人に1人と。
サッカーでプロになる選手は、サッカーをやっている選手の7万人に1人だとかつて聞いてことがある。真偽は、分からない。
確かだとすると、途方もないことである。
そうしてプロになったとしても成功するとは限らない。
確かな数字では、野球では、2021年度の高校3年硬式野球部員は43968人で、ドラフト会議で支配下選手として指名されたのは30人だった、と。
まあ、そこらあたりの野球チームやサッカーチームでやっている子供たちが、プロに這い上がっていくのはありえないと思った方がいい。
身も蓋もない言い方だが、子供たちは「プロになりたい!」と夢を持つが親の方は冷静でなくてはならない。
そんな冷静さをもたないで、親の方が夢中になってしまって、子供の人生を潰してしまうことが往々にしてあるからである。
そんな親を何人も見てきた。
「野球さえやっておけばいい」「サッカーさえやっておけばいい」
こんな考えを子供に持たせてはならない。
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強くなるためには、海外へいかねばならないと書いた。
日本の中で「お山の大将」になっているうちは、もうそれまでである。
経営学者の楠木建さんは、次のように書いている。
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日本を代表する経営コンサルタントの大前研一さんから教わった名言に
「人間が変わる方法は、時間配分を変える、住む場所を変える、付き合う人を変える、この3つしかない。もっとも意味がないのが『決意を新たにすること』だ」というのがあります。(『三位一体の経営』ダイヤモンド社)
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要するに、自分の環境を変え、自分の時間を変えていくことである。
海外へ行った選手たちは、これを行ったわけである。
大前研一さんの言葉は極めて示唆的である。
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