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『小学校社会科 子どもの思考をゆさぶる発問・指示テクニック』(明治図書)のお勧め

 「社会科は、人気がない教科です。『教えにくい』などの理由で、教師にとって教えることが苦手な教科に選ばれるという不名誉な事実もあります」
 と、この本『小学校社会科 子どもの思考をゆさぶる発問・指示テクニック』の著者松森靖行先生は、「はじめに」で書かれている。
 
 私も現役の頃は、確かに一番社会科が苦手であった。
 現役最後の6年生担任の時、ある女の子たちから「社会の歴史は何のために勉強するのか分からないのですが……」と問われたことがあった。
 恥ずかしいことに、それに私はうまく答えられなかったことを思い出す。
今から考えても冷や汗ものである。

 松森先生は、これらの問いかけに果敢に挑戦されている。
 学ぶところが数多い本であった。

 先のブログで書いたことである。
 ★ ★ ★
 経営コンサルタントの神田昌典さんから学んだことがある。
 神田さんは、「想像もできなかったほどの変化を起こすためには、2つの重要なことがある」と。

 1 センターピン
ボーリングのピンを倒すには、真ん中の1本を当てなければ全部を倒すことはできない。
あなたが望む変化を達成するためには、突破すべき重要な「ひとつ」を見つけなければならない。

2 毎日の儀式を行う
センターピンを倒すために、毎日少しずつ行うべき小さな行動を考えなければならない。

 まず「センターピン」を倒すための「ひとつ」を見つけ、そしてその「ひとつ」を毎日少しずつ行わなければならない。
 これが大きな変化を起こしていく。
 ★ ★ ★

 松森先生は、社会科で「子供たちに社会科好きを増やしていく」ための「センターピン」を2つ上げられている。

 1つは、発問・指示。

 2つ目は、全員参加授業。

 発問・指示は、今まで授業研究の中で大切なこととして言われ続けてきた歴史がある。
 だが、こうして具体的に提起されるとなるほどと感心してしまう。

 問題は、「全員参加授業」の方である。
 私は退職してから2000人以上の先生の授業を見てきたが、8割以上の先生たちが「挙手指名型授業」をされていた。
 挙手している子供だけが指名されて授業が進んでいく授業である。
 全員参加の授業になっていない。
 大半が傍観者になっているのである。

 松森先生は、全員参加の授業を次のように指摘されている。
 ★ ★ ★
 「全員参加」とは「学習量」を保障することです。「学習量」は、ノートに何かを書く、問題を解くことばかりではありません。「なぜなんだろう」「どちらなんだろう」という教師のゆさぶりに対して考えたり、友達と対話をしたり、○か×か手で表現したり、そして、じっくりと友達の考えを聞いていたりすることも「学習量」の確保、「全員参加」になります。「全員参加」の状態にし、「学習量」を確保するためにすることが、「発問」・「指示」の開発になります。
 ★ ★ ★ 
 ここにセンターピンへの答えがはっきりと表明されている。

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コメント

「学力向上」をうたい文句にして,形式的な授業をするようになってきています。特に,「めあて」と「まとめ」を必ず書きなさい,話し合い活動をさせなさいなどです。こんなことをしても,全員参加させることはできません。まずは,楽しいと感じる授業をつくることです。これが学びのモチベーションを高めると考えています。

投稿: 山中太 | 2022年11月22日 (火) 20時33分

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