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2022年9月

クラスが軌道に乗っているかどうかを判断する目安は?

 夏休みの講座で、ある先生から質問をもらった。
 「学級経営でクラスがうまく軌道に乗っているかどうかをすぐに判断できる物差しがないでしょうか?」と。

 確かに初任の先生などは、自分のクラスがうまく行っているかどうか分からない場合は多いのである。
 ★
 その時私が答えたことは次のことである。

 「クラスが軌道に乗っているかどうかは、クラスの子供たちが教師が話し出したらシ~ンとして聞いたり、教師の指示にサッと動き出したり
したら、間違いなく乗っています」

「反対に教師の話し出しても、ザワザワしたり、教師に指示にダラダラ、ノロノロと動き出したりしたら、うまく軌道に乗っていません」

「 『ザワザワ、ダラダラ』→『シ~ン、サッ』とすることが軌道に乗るということなのです」
 
 この簡単な目安で、クラスを判断したらどうだろうかと答えたわけである。

 ★
 これは、学級経営の1丁目1番地なのである。
 
 だから、教師の話に「シ~ン」となる状態を最初につくれるどうかであり、教師に指示に「サッ」と動ける子供たちを最初につくれるかどうか、なのである。
 そのための指導原則がある。

 初任の先生は、こんなことを知らないので、クラスがザワザワ、ダラダラとなってしまう。

私が最初の初任者指導で初任者に教えていくことはこんなことからである。

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つれづれなるままに~励ましのコメントをもらった~

●明治図書から『国語授業の「発問」術』という本が出された。
 雑誌に書かれた、さまざまな発問についての論考を1冊にまとめられたものである。

 私の原稿も載せられている。
 「発問を鍛える!達人のテクニック」の中にある。
 達人である(笑)。
 
 国語の専門でもなんでもない。
 国語教育に載った、たまたまの原稿なのだが、この本に再録されている。
 よくぞ取り上げられたものである。
 もう二度とないので、記念になる原稿である。 


● 次のようなコメントをいただいた。

 ★ ★ ★
野中先生、お誕生日おめでとうございます!初任者の頃から先生の理論を学び、何とか教師を続けられています。ただ最近、児童も保護者も、社会も、また大きく変化していると思います。先生の理論、実践はその中でも宝物ですが、できればTwitterで、先生が最近思うことや、変化していくお考えなど、手軽に情報を得られて交流できれば幸いに思います。ブログ中心になっておられますが、返信にはなかなか敷居が高いです。ぜひ、ブログに書かれておられることをTwitterで発信してほしいと思います。どうかよろしくお願いします。
★ ★ ★

 私は、次のようにコメントを書いた。
 
 ★ ★ ★
核家族教師先生、コメントありがとうございました。わざわざ誕生日のことについて触れていただき、感謝します。また、私の本を読んでいただいているようでありがとうございます。 確かに私はブログ中心で書いております。この他に発信していることはありません。ブログも、今では時々のものになっています。 Twitterで発信してほしいということですが、なかなか気持ちが動きません。せっかくコメントで書いてもらったのですが、ほんとに申し訳ないです。
★ ★ ★

 それに対して、次のようなコメントをいただいた。

★ ★ ★
 野中先生、お返事ありがとうございます。わたしは岡山県笠岡市で初任者の頃、2度先生の研修を受けさせてもらった者です。その後2冊本を購入しました。それまで教師の感覚と言われていた正解の行動を、先生は理論で説明してくださり、以降、ブログを読ませていただいております。初任者向けのオンライン研修にもできることなら参加したいと思うほどです。Twitterの件は残念ですが、ぜひブログでも発信し続けてください。幸い講師歴も含め、15年間一度も学級崩壊はありませんが、それは先生のお陰ですし、周りの困っている若手にも、真っ先に野中先生の本をすすめていますし、管理職面談でもお話させてもらっています。お会いできることは中々難しいと思いますが、これからもブログでよろしくお願いいたします。
★ ★ ★

 私の研修を受けたり、私の本を読んで、こうして「15年間一度も学級崩壊はありません」と言ってもらえる。ありがたいことである。
 
 もう1つは、最近の私のブログが長く更新されていなくて、もう少し書いてくださいという励ましの意味もあったと思われる。これもありがたいことである。

 確かにブログの更新をしていない。
 もうさんざん書いてきて、もはや書いていくことはないのではないかと思う日々である。
 だから、「つれづれなるままに」ということで日頃のことが数多くなる(笑)。

 もう一度、何のためにブログを出しているのかを問わなければならないのであろう。

●土曜日は、いつも6:30からBSで寅さんを見る。
 この寅さんシリーズは、二度目である。
 だから、今見ている寅さんのシリーズは、二度目になる。
 何度見てもおもしろい。
 というより、映画によっては、覚えているところがあまりなくて、初めて見るような感じになる場合がある。
 
 見ていて、やはり満男(吉岡秀隆)が大人になって出てくるようになって、この映画の深みが出てきているなと思ってしまう。

 寅さんシリーズは、28年かけて48作を世に送っている。
 
 山田洋次さんは、朝日新聞の「REライフ」で次のように書いている。
★ ★ ★
 肝臓の病と闘いながら48作目を作り終えた翌年の8月、暑い盛りに彼は世を去りました。「誰も気づかないうちに、消えるようにこの世を去りたい。野辺の送りは親戚も呼ばず、家族だけでひっそりやってほしい」という遺言を奥さんは守られたけど、僕たちスタッフは奥さんにお願いしてお別れの集まりをさせてもらった。大船撮影所に大道具さん、小道具さんたちが工夫を凝らして祭壇をつくり、ファンにも呼びかけて蓋をあけたら、東京駅から東海道線で1時間かかるのに、3万5千人がお別れに来てくれた。炎天下、大船駅から撮影所まで約1キロの道に長蛇の列。
 1日が終わり、静かになったスタジオの遺影の前にスタッフが並び、僕が代表して「渥美さん、さようなら」と言ったら急に悲しみがこみ上げて来て言葉が詰まり、みんな声をあげて泣きました。1996年8月13日のことです。
 ★ ★ ★
次の回がいよいよ最終回になる。

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今多くの先生たちが悩んでいること

 こんな事例がある。
★ ★ ★
担任が4人もいない。病休と退職。
教務、教頭が担任。
校長が教頭の仕事をしつつ、クラスから逃げ出す子どもを追いかけるが、複数のクラスから複数人数いるため対応不可能。
そんななか4学級が崩壊。
★ ★ ★
 学級崩壊どころではなく、学校崩壊状態である。
 どうにもならない。地方都市でこういう状況が進んでいる。

 ★
 8月22日に神奈川県藤沢市に研修講座に行った。
 3時間の講座である。
 私も大変であるが、聞く先生たちも大変(笑)。
 講座を第1、第2、第3に分けて、間で10分休憩とすることにした。
テーマが「学級を軌道に乗せる学級経営の基礎基本」。
 ★
 第1講座は、「今、多くの先生たちが悩んでいること」。
 冒頭の事例などを2,3紹介する。

 なぜ、今学校がこのようになっていっているのか?
 私なりの答えを紹介する。

「子供たちが変わっているのだ!」と。

 こんなことは、今までも盛んに言われてきたことだし、珍しいことではない。
 また、「子供は変わっていない、変わったのは周りの社会だし、親たちだ!」と言われ続けてきた。

 私は端的に「子供たちが変わっている」と指摘する。
 どのように変わっているのか?

  「善悪の価値観から快・不快の価値観へ変わっている」と。

 30年、40年前は、「善悪の価値観」を持っている子供たちが多数派であった。
 「やって良いこと、悪いこと」が分かっていた。
 それで行動ができた。

 もちろん、学校は今でも「善悪の価値観」で成立している。当たり前である。
 ★
 この価値観が変わり始めたのが、1980年代の中頃だろうか。
 「おやっ」と思う子供が出てきた。

 私は37年間担任として生活してきたので、子供たちの変容がどのあたりから起こったのかよく分かっている。

 今では、「快・不快」の価値観で行動する子供たちが、学級で必ずいる。
 いわゆるやんちゃと言われる子供たち。一部の子供たちである。

 この子供たちが、学級崩壊などの中心になる。

 行動の基準を、「快・不快」においている。
 彼らにとっては、学級で行う学習などが一々不快に感じる。
 「うざぃ」「めんどくさい」「つまんない」と発する。
 思うようにならないからである。

 当然である。学校で行うことはおもしろく、楽しいことはほとんどない。
 つまんなくても、毎日我慢してやらなければできないし、分からない。

 どうしてこんな子供たちが登場してきたのだろうか。
 家庭が変容したのである。
 親たちもやはり変わったのである。
 だから、子供は、その中で育てられるのであるから、当然変わってくる。

 そこで「快・不快」の価値観を身に付ける。
 この価値観は、幼児のものでもある。
 だから、「快・不快」は、「幼時がえり」をしていることになる。

 どうして、どのように身に付けるのか?
 長年考え続けてきたが、「消費感覚」というものではないかと思いついた。

今では、子供たちは、金さえあれば、自分の欲しいものはコンビニに行けばすぐ手に入る。お菓子を食べたければすぐ買えるし、マンガを読みたければすぐ買える。消費社会なのだ。
 このように自分の欲しいものはすぐに手に入れる「消費感覚」を身に付けてきたのである。
 我慢することもないし、親にねだれば、だいたいが手に入るのである。
 忙しい親たちは、お金をあげて、子供たちに自分で消費させる方法を身に付けさせてきたことになる(こんな親たちばかりではないが)。

 今どきの子供たちが「快・不快」の価値観で行動するというのは、いじめによく表れている。
 これほどいじめをやってはいけないとキャンペーンがなされるが、一向に減らない。増えている。
 
 もはや善悪の価値観だけで、問題の子供たちに対応しようとしても空振りに終わることは明らかなことである。
 それでいて、善悪の価値観をなくしたら、もはや学校は成り立たない。
 そのジレンマが突きつけられる。
 生徒指導(児童指導)を大きく変えなければならないのは明らかだが、それをどうしていくのか戸惑うばかりになっていくであろう。

 

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