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若者たちに心の変化が起こっているのか~愛知中3刺殺事件~

 ずっとトゲが刺さった状態のままである。
 もはや報道もされなくなっている。

 愛知中3刺殺事件のこと。
 事件当日、現場になった中学校では、1時間目の授業が始まる直前の、加害少年Aは、殺害された伊藤くんを呼び出して、刃渡り20㎝の柳刃包丁で腹部を一突きしている。

 この学校は、愛知県弥富市立十四山中学校。
 この弥富市には、かつて教育委員会から講演の依頼があり、一度訪れていることから他人ごとのようには思えなかった。
 
 田園地帯が広がり、静かな田舎町なのである。
 ここで事件は起きている。
 ★
 流れてきている情報は、ほとんどどこも同じである。

 「県警は加害少年のスマホを押収して捜査を続けていますが、現時点でSNSを巡る仲間外れなどのトラブルは確認されていないそうです。むしろ逮捕された少年は、死亡した被害者について『伊藤くんが生徒会選挙に出た際、応援演説を頼まれたことが嫌だった』、『伊藤くんが給食当番の時、すぐに箸を渡してくれなかった』、『仲の良い友だちとの会話に割って入ってこられた』という趣旨の供述をしているようです」
 
 「逮捕された男子生徒が『今思えば悪いことをした』と供述していることが、新たに分かりました」

 「男子生徒は、事件前、『人の殺し方』についてインターネットで検索していたということです」

 「加害少年は学校から禁止されていたスマホを旅行に持参していたのですが、それを他の生徒に見つかり告げ口され、教師に叱られて没収されました。それまでも学校で嫌な出来事が重なって、『どうでもよくなった』と感じるようになり、伊藤君の殺害を決意したと供述しているといいます」

 「Aくんはオンラインゲームが好きな大人しい子でした。部活はバレー部に所属。小学校時代はサッカー部で、伊藤くんと一緒のチームでした。対して伊藤くんはクラスのリーダー的存在。大の阪神タイガースファンで、中学校から入った野球部で活躍していました」

 「家族関係は良かったと聞いていますよ。兄が一人に、両親、祖父母、さらに曾祖母という7人家族です。お祖父さん、お祖母さんも元市役所職員。父親は4年前まで地元の自治会長を務めていました。近所ではちょっとした名家でしたよ」

 こんなところである。

 <考察>
 加害者と被害者は、小規模の小学校でずっと一緒に過ごしてきた関係にあった。小学校のサッカー部でも一緒だった。
 しかし、タイプの違いからどうしても被害者の少年とAは上下の関係になっていることが分かる。被害者の少年は、いつもの調子で、ずかずかとAに関係をつけたり、嫌なことを平気でしたりということがあったと思われる。
 生徒会の選挙の応援演説の頼みも、そういう関係から生まれているはずである。
 だが、嫌だったら断れたはずだし、そうしなければならなかったはずである(それができなかった関係だったということも言えるが……)。

 要するに、出てきている報道の数々は、なんということもない、ありふれた男の子たちの関係である。
 全国の学校現場では、どこにでも転がっていること。

 私たちは、そのありふれた原因で、短絡的に相手を「殺す」というにつながっていることに戸惑うわけである。

 ★
 一方、学校側の対応である。
 最初は、校長がトラブルは確認していないと公式発表をしていた。
 ところが、昨年の2月のアンケートでは、いじめを受けたことがあるということに○をつけていたことが判明。
 そのことを学校側が委員会に報告していなかったということが問題視されていた。

 報道によると、次のようなことになる。

 「学校はアンケートを受け、今回の事件の加害者生徒から聞き取りを行った後、担任から今回の事件の被害者生徒に話をしました」

 「事件があった中学校の校長、今回の事件の被害者生徒は反省し、『分かりました』と答えました。(3月初旬)その後は『大丈夫か』と今回の事件の加害者生徒に連絡したところ、『今は落ち着いています。大丈夫です』と答えた」

 <考察>
 学校側は、このいじめについてはほとんど問題視していないと予測される。どこにでもある、普通の諍いであり、指導しておけば収まることだという判断だったと思われる。
 そんなことよりも大変なことはいっぱいあるからである。
 私は、学校側は、普通の指導をしたのだと判断できる。
 たいしたことだと思っていないのである。

 だから、こんな諍いで殺人事件が起こってしまうこと自体が、学校側にとっては晴天の霹靂である。
 また、全国の学校現場の先生方にとっても、同じ思いであろう。

 私たちが目にしている報道によると、こんなことになる。

だが、ここで立ち止まる。
 一体、何が起こっているのだろうか、と。

 私は先日のブログで、19歳の甲府殺人事件や24歳の京王線事件を次のように書いた。
 ★ ★ ★
 19歳と24歳。若者である。
 私がもっとも注目したのは、「飛躍する」ということ。

 山梨の事件の犯人は、「長女に好意を寄せていて、それがダメになった」ことで長女の親2人を殺傷し、その後に放火まで起こしている。

 京王線の24歳は、仕事がうまくいかず、友人関係もうまくいかず、2人ぐらい殺して死刑になりたいということで事件を起こしている。

 驚くことは、山梨の19歳に起こったことも、京王線の24歳に起こったことも、ありふれた、誰にでも起こる(実際に起こってもいるであろう)ことで、残虐な事件につながっていることである。

 普通の人に起こる、ありふれたこと→人を殺す
 一本線の、とてもシンプルな構図。

 ここには、ものすごい飛躍がある。
★ ★ ★

 また、同じ事件が起こったということになる。
 普通の人に起こる、ありふれたことが、殺人事件に結びついている。

 3人に共通しているのは、最後に自暴自棄になっていることである。

 私は、ここには大きな飛躍がある、と思ってしまう。

 殺人事件を起こした犯人たちには、自分なりの、切羽詰まった思いがあったのだろうが、それを受け取る私たちは、「そんなありふれたことで殺人事件を起こせるのか?」「そんな簡単な思いで、殺人事件を起こせるのか?」ということになる。
 たとえば、私たち団塊世代ならば、ほとんどの男たちが殺人を犯していることになる。

 どうだろうか!
 子供たち,
若者たちの思いが、大きく変わっていっているのか、ということを危惧する。
 私たち大人がとても理解できない心の変化が子供たちや若者たちに起こっているのか、ということを想像してしまう。

 

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