「小刻み学習法」での授業
「おしゃべり授業」をどのように克服していくのかは、大きな課題と考えている。
「おしゃべり授業」とは、授業のほとんどを教師のおしゃべりで通され、時々発問がなされて、いつもの4,5人が発言し、大半が傍観者であるという授業。
多分、コロナ禍では、ほとんどの先生がこの授業をされていたのではないか、と。
ただ、多くの先生たちには、自分がこんな「おしゃべり授業」をしているとはほとんど意識されていない。
そこが一番の問題なのだが……。
私は、この克服のために「小刻み学習法」を開発している。
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なぜ、克服なのか?
それは、この「おしゃべり授業」が学級崩壊の原因の1つになっていると考えているためである。
この「おしゃべり授業」は、子供たちに「つまんない」「退屈」「あきらめ」「意欲なし」という気持ちを誘発する。
今まで、子供たちは「授業とはそんなものだ!」と我慢してきたのである。 ところが、どっぷりと消費感覚に浸された一部の子供たちは、もはや我慢の限界になっている。
「つまんねえ~」と学級崩壊を引き起こしている。
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神奈川県の伊勢原市立伊勢原小学校に呼んでもらった。
4年生のクラスで、授業までさせてもらった。
もちろん、授業は「小刻み学習法」で行う。
いつもの国語の詩の授業。
この授業が、「小刻み学習法」を提起するにはもってこいである。
今までは、こんな飛び込み授業は、名人教師による模範授業(「ごちそう授業」)であるというのが通例であった。
私のような普通の授業者が、そんなことはできない。
ところが、下手な授業でも、テーマをもって授業をすればいいのだということに気づいたのである(笑)。
だから、指導主事の先生たちにも、「もう口舌だけで伝えていく時代は終わっているのですよ。訴えたいことは、テーマがある授業をして伝えなければならないですよ。授業をしましょう!」と伝える。
嫌みな言い方になる(笑)。苦い顔をされるのだが……。
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元気なクラスだった。
私は、授業の事前に自己紹介として笑わせる時間を5分間だけ取る。
子供たちの緊張を和らげるためである。
ところが、このクラスはそんな自己紹介は必要ないほどに最初から和らいでいた。
自己紹介で、何人かのやんちゃな子供たちをさらに誘発した恐れがあった(笑)。
「じゅぎょう 楽しかったです。
こわい話をしたときに、おむつみたいなものをはいてくるのに大笑いしました。おもしろかったです。ぜひまたきてください。そしたらこわい話をしてください。」
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「小刻み学習法」とは、要するに「インプット」と「アウトプット」を小刻みに繰り返していくだけの授業法である。
そこに、全員参加とフォローを付け加えていく。 これだけ。
実にシンプルな授業法になる。
これを授業に取り入れるためには、慣れるまでちょっと苦労する。
でも、慣れたら簡単。
インプットは、教師の話。30秒を超えないようにする。
そして、アウトプットをさせる。
音読させたり、発表させたり、復唱したり、ペアで相談したり、そして書かせたり、……。さまざまなアウトプットがある。
脳科学の法則では、次のようなことになる。
「インプットしたら、その知識をアウトプットする。実際に、知識を『使う』ことで脳は『重要な情報』ととらえ、初めて長期記憶として保存し、現実にいかすことができます。これが脳科学の法則です」 (『アウトプット大全』樺島紫苑著)
長期記憶とは、要するに、学力のことである。
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楽しいクラスだった。授業をすることの楽しみは格別である。
「今度来るときには、こわい話をするからね」と。
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コメント
先日はありがとうございました。今回の先生のブログ内容を本校の職員にも紹介して、学びの続きとしたい思います。これからもよろしくお願いいたします。
投稿: 遠藤芳郎 | 2021年11月13日 (土) 03時48分