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「現実」を乗り越える実践を!

 ブログで、先に全国学力テストの成績を上げている実例を2つ紹介してきた。
 
 私は、全国学力テストについて賛成しているわけではない。
 こんなものを何十億のお金をかけて、実施する必要はないと考えている。

 もし日本の子供たちの学力について調べたいのであれば、抽出すれば十分である。
 そうすれば、惨めな学力競争などはなくなっていく。

 今はそうなっていない。
 過去問の練習に明け暮れて、学力向上争いを自治体ごと、学校ごとに行っている。

 あるところでは、春休みに教育委員会が過去問集をつくって、宿題にするようにしている。
 また、あるところでは、始業式の次の日から学力テストの実施日まで過去問の練習を毎日行っている。
 およそ、教育とは無縁の行為である。
 それを教育委員会が指示して行っている。

 それでも、全国の自治体で、おそらく過去問の練習をしていないところは少ないのではないだろうか。
 それをやると、効果があることが分かっているからである。

 私があるテストの上位県に講演でいったとき、そこの校長先生に言われたことがある。
「野中先生、実はテストの上位県だということで学校訪問があって困っているのです。先生に授業を見てもらったら、普通の授業をしているはずです。どこでもが行っている授業なのです。特別に変わったことはやっていません。ところが、訪問があるために何か特別なことをやっているように提供しなければならないのです。そこが困ったことです」と。

 ここの県は、子供たちが特別で、他のところより宿題を2,3倍出されても十分に対応していける我慢強さがあると言われている。

 要するに、これらの上位県であるA県やH県や、今回1位のI県などが特別な授業をしているわけではないはずである。
 子供たちの自宅学習や宿題への対応が違うというのが大きな特徴であろう。

 しかし、これらの上位県は、必ず過去問をきちんと日常的に練習しているはずである。
 ★
 私の最後の勤務校は、困難校と言われていたところである。
 家庭環境がひどくて、家庭訪問しても家の中がぐちゃぐちゃで足の踏み場のない家庭が必ず数軒はあった。家の中に入れないのだ。
 もう子供の学習どころではなかったところである。
 だから、学力向上などはとんでもないことであった。
 市の学力テストは、ほぼ市の平均より10点以下が常時のことであり、全国学力テストになれば、おそらく市の最底辺のレベルになっていたところであろう。

 ところが、ある時、ある学年が市の学力テストの事前に過去問の練習をさせたことがあった。
 そうすると、その学年だけが市の平均点に並んだのである。
 それを聞いて、びっくりしたのである。

 要するに、過去問の練習をさせれば得点は上がるということ。
 受験指導の傾向と対策と同じである。

 日頃、学力テストに出てくる問題などはやっていない。
 だから、急に長々しい文章の問題を出されたら、アレルギーを起こしたりして最初からギブアップする子供が出てくるのは必然である。
 だから、学力テストはそういう問題が出るよと最初から分かっていたら、心の準備ができるわけである。
 ★
 私の学力論は、繰り返しになるが、次の通りになる。
 
  ①どのテストにも通用する学力はない。
   「ほんとうの学力」「正しい学力」などというものはない。
  ②だから、最初に学力を考えるためには、どのテストの学力を
   上げたいのかという発想をしなければならない。

 こういう考え方をもっていたら、最後の勤務校でも、市の平均並みの成績を上げることは可能だったはずである。いや、それ以上の成績をあげたかもしれない。

 今回の2つの学校の全国学力テストの結果で、はっきり分かったことがある。
 
 全国学力テストなどの学力テストを上げるためには、基礎学力の定着が必須条件であることになる。

 M県のH小学校では、それまでやっていた自学を廃止して、基礎学力を定着、向上させるプリント学習を宿題として取り組んでいる。

 M先生の学年では、「算数学力向上メソッド」で教科書に沿った指導を繰り返している。
 
要するに、基盤となる学力が揃わなければ、付け焼き刃でその場を取り繕っても意味がないわけである。
  ★
 全国学力テストの成績を上げられなくて(上がらなくて)悩んでいる自治体は多い。
 そんなところでは、議会で「うちの県がどうして47都道府県で下にいるのだ?」と追求されるらしい。
 そこで付け焼き刃的な対応をする。
 しかし、うまくいかない。

 学力テストの成績を上げるということなら、もう方向ははっきりしている。
 M県のH小学校の取組に学べば必ず上がる。

 でも、間違ってはならないのは、それが目的にならないことである。
 
 私たちが学力テストの成績を上げるのは、「現実」を踏まえるためである。
 理想論を振りかざして、「学力テストなんか問題にしないのだ、私たちはもっと本当の学力を子供たちに身に付けさせるために授業をしている!」と言う先生たちがいる。
 
 それはそれで結構なことだが、「現実」を無視してそんな主張をしても、自己満足にしか過ぎない。

 現実に、目の前の子供たちに理想論を振りかざしても、日頃のテストで10,20,30点をとる子供がぞろぞろいたら、学習に対する子供たちの意欲や自信、あるいは保護者たちへの信頼性など育ちようがないではないか。

 「現実」を無視した主張をしてもだめである。
 「現実」を乗り越える主張でなければならない。

 
 M先生は、算数学力向上メソッドで「アウトプット学習」を徹底して、クラスの低学力児を引き上げている。
 
 1年間の最低点の平均が70点になるという実践。
 通信表では、算数にCと付ける子供がいなくなっている。

 しかも、全国学力テストでは、4クラスの学年が、トップの石川県を越える高得点を上げている。
 
きっと子供たちは、「私たちはやればできるんだ!」という自信をもったはずである。
 保護者たちは、先生たちのがんばりに熱い支援を向けているはずである。

 「現実」を乗り越える実践の1つは、こんなことであろう。

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