また、また、うれしい報告である。
算数学力向上メソッドの共同研究をやっていたM先生より、全国学力テストの結果の報告がある。
具体的な点数は明らかにできないが、全国1位の石川県の算数の平均が74 点であるので、それよりも数点上である。80点に近い点数になる。
今、M先生は、6年生の担任で、4クラスの学年。
その4クラスの、平均得点である、
M先生は、4年生のときより3年間(6年生は今担任中だが)この学年を担任している。
子供たちは1年ごとに学級編成がなされている。
M先生は、学年の先生たちに働きかけて、算数学力向上メソッドをずっとやってきている。
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算数学力向上メソッドとは、私が作成して、各先生方に実践をお願いして3年間共同研究として続けてきたものである。
このメソッドの目標は、2つ。
①クラスの低学力児のテストの成績を、10,20,30点から60,70,80点に
上げていく。
②クラスの平均を90点以上に上げていく。
大変な実践をするわけではない。
教科書通りに授業(「味噌汁・ご飯」授業)をして、そのあとに宿題を出し、翌日の算数の授業の最初を、復習テスト(5分)をするというシステムである。
「授業―宿題―復習テスト」を毎日続けていくシステム。
宿題と復習テストを私が作成し、授業を含めてその先生たちに実践してもらうシステム。
ただ、これだけのもの。
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この学年は、担任が定まらない時期を3年間経験して、落ち着かない状態を過ごしたということらしい。自己肯定感がない子供が多かったという。
もちろん、学力などは二の次の学年であったはずである。
そこでM先生は、「味噌汁・ご飯」授業で「算数学力向上メソッド」を使い出したということになる。
この学年は、2年間算数学力向上メソッドで算数の実践をしている。
その実践により、M先生のクラスでは、単元テストでは、低学力児がいなくなるという事実をつくりだすことができている。
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その低学力児が今回の学力テストで、どのくらいの成績を上げたのか、M先生に問い合わせる。
5年生のときの低学力児である。7人いる。
この低学力児とは、日頃の算数テスト(市販テスト)で50点以下の点数を常時とっている子供たちになる。
そのままの点数を載せられない。
結果は、次の通り。
80点以上……2人
60点以上……2人
50点以上……2人
50点以下……1人
80点以上の2人は、もはや高レベルに上がっている。
50点以下の1人は、残念な結果である。
あとの子供たちは、とても健闘している。
日頃の市販テストではなく、全国学力テストなのである。
「算数学力向上メソッド」の威力は、ものすごいのである。
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私の学力論は、次のような考えである。
①どのテストにも通用する学力はない。
「ほんとうの学力」「正しい学力」などというものはない。
②だから、最初に学力を考えるためには、どのテストの学力を
上げたいのかという発想をしなければならない。
前回のブログに上げたH小学校のN先生の実践は、標準学力テストや全国学力テストの成績を上げるというのをまずターゲットにされている。
この「算数学力向上メソッド」は、日頃の単元テストの成績を上げることをターゲットにしている。
だが、今回のM先生の学年の結果は、単元テストの学力を上げるということ以上に全国学力テストの学力さえも上げている。
本来ならば、こんなにうまくいくことはない、と私は考えている。
全国学力テストの学力を上げるためには、どうしても「領域固有性」の問題を克服しなければならないので、事前に過去問の問題で、その解き方などを教えなければならない。
そうしなければ、実際に子供たちは、初めて目にする、あの難しい問題を解いていくことは困難である。
しかし、結果は算数学力向上メソッドだけで、十分に対応できている。
この学年は、過去問について練習したことはないということ。
このことをどう考えればいいのか。
①算数学力向上メソッドで、基盤となる基礎学力の向上を図っている。
②教科書の問題を解くと同時に、宿題でさまざまな問題を解くという
「アウトプット学習」を徹底している。
③何よりも子供たちに(特に低学力児に対して)、算数への意欲と自信を
育てている。
④クラスには、学習塾に通っている子供が多数いるために、過去問などの
問題はその学習塾で習熟している。
こういう原因が考えられる。
一番大きい原因は、③であると、私は考えている。
③のために、①と②があるのであるから。
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この「算数学力向上メソッド」は、新著『困難な現場を生き抜く!やんちゃな子がいるクラスのまとめかた』(学陽書房)で紹介しているので、問い合わせがある。
興味がある方は、ブログのコメント欄にコメントを寄せてほしい。
詳しい内容についてお知らせできる。
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