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勝負の1ヶ月が終わろうとしている(1)

 あと1週間で、「勝負の1ヶ月」が終わってしまう。
 
 さまざまに初任者の様子が伝わってくる。
 問題なのは、初任者ではなく、初任者指導の方になる。
 困ったことである。

 初任者指導の先生たちは、最初から授業の指導をさかんに行う。
 初任者が、まだ学級をつくり得ていないのに、授業だけを事細かく指導しようとする。

 指導の先生は、授業さえうまくできるようにさせれば、学級はうまく軌道に乗っていくと信じて疑っていない。
 自分の初任時代は確かにそうだったのである。
しかし、授業だけはそう簡単にうまくなるはずはない。
 さまざまな試行錯誤が必要である。

 それよりも、「学級をつくる」のが先なのに、そこにまったく考えがいかない。
 そこをちゃんとしないと、今はすぐに学級が崩れていくのに、そこが分かっていない。授業、授業しか頭にない。
 ★
 「学級をつくる」とは、子供たちが、自分たちでクラスを動かしていくようにすることなのである。
 担任は、どんどん後ろへ下がっていって、子供たちがクラスの今日一日を動かしていくのである。

 たとえば、朝自習の時間。
 担任は、まだ教室に来ていないことが多い。
 時間になったら、日直が、教室の前に立って、「朝自習を始めてください!」と呼びかける。そこで、全員は、静かに朝自習を始める。10分間。
 そのうちに、担任は、教室へくる。

 朝自習が終わったら、朝の会になる。
 また、日直が、前に立って「朝の会を始めます!」と声をかける。
 プログラムに沿って、日直からどんどん指示が出る。

 担任は座っていて、最後に日直から「先生、今日の予定をお願いします!」という呼びかけでやっと担任の登場。今日一日の予定を話していく。
 …………

 私が初任者指導で指導した4年生のクラスは、5月からこのようなことがきちんとできるようになっていた。
 4月いっぱいは、マニュアルを作成してやり方を徹底して教えていくのである。

 もうこの時期には、クラス全員に役割(一人一役)が決まっていて、どんどん仕事が進行していく。
 担任は、その仕事具合を見ているだけになる。
 ★
 どうだろうか。
 このように学級は動いているのだろうか。

 ところが、初任者のクラスはこうなっていない。
 
 担任が教室へ行くと、教室中で子供たちが遊んでいる。
 朝自習の時間なのに、机についているのは、2割ぐらいの子供。

 担任は、「朝自習の時間でしょう!何をやっているの!」と叱りつける。

 朝の会になる。
 「ほら、日直さん、前に出てきて朝の会を始めるのでしょう!」と毎日声をかけないと日直は動かない。

 …………
 すべてのことが、担任のかけ声でしか、日直も、子供たちも動かない。
 さらに、日直などを設けていないクラスもあって、担任が日直代わりにすべてをしきっているところもある。
 担任が、教室に仕組みをつくっていないからである。
 
 仕組みとは、子供たちが自分たちで教室を動かしていくシステムなのである。
 ★
 このような仕組みづくりを指導の先生は、最初に初任者と一緒につくらなければならないのに、そんなことをしないで最初から授業、授業で行ってしまう。
 授業の発問とか、単元構成とか、……そんなことばかり指導する。
 初任者の方も、授業をやっておけば良いと考えている。
  
 ひどい指導教官になると、その日の指導案までつくらせる。
 1時間1時間である。

 初任者は、子供たちへの対応で精一杯なのに、そんなひどいことを指導する。
 自分でも初任者の頃にはやったことがないはずである。
 それを初任者に強いる。
 初任者は睡眠をけずって仕上げる。ふらふらになって授業をする。
 1教科で1時間はかかる。指導書にかかりっきりになってパソコンに向かう。
 
 指導教官は善意なのだ。授業さえうまくいけばクラスは大丈夫だと確信している。
 もはや、そんな時代はとっくに過ぎ去っているのに分かっていない。

 こんな指導をされた初任者で、学級崩壊になり、休職に追い込まれた事例を何人も知っている。ひどいことである。
 
 かえって指導教官が、初任者がきちんと育っていくのを阻害しているのである。
 いない方がどれほど良いのにと思ってしまう。
 ★
 なぜ、「学級をつくる」が先なのか?
 
 今子供たちの多くが、学級に求めているのは、「安心感」なのだ。
 学級に来て、安心して机に座っておられるというのが一番良い状態なのである。
 これは担任にしかできない。
 これが最も求められることになっている。 

 安心感がない教室は、担任がいない時には無秩序状態になる。
 やんちゃな子たちが、教室の「空気」を支配する。
 そのうちに、学級崩壊が始まり、弱肉強食の状態になる。
ひどい「いじめ」がはびこり、子供たちは自分がそのターゲットになることを恐れる。

 そうならないために、どうしても「安心感のある学級づくり」が優先される必要がある。

 1週間で、学級の仕組みをつくり、それが機能するように残りの日々で繰り返し徹底する。また、クラスのルールをつくり、そのルールが機能するように動かしていく。

 5月の連休明けには、もう教室は、子供たちが動かしていく。
 そうなっているだろうか。
(つづく)


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