学校は大切な何かを忘れている!
算数の共同研究を進めている。
3年目になっている。
今は、算数学力向上メソッドを全単元DVDにしている(東京書籍だけだが)。
共同研をやっている先生方は、それぞれに単元の終了後に単元テストをして、その結果を送ってもらえる。
着々とその研究の結果が積み重なっている。
たとえば、一人の先生は、今算数専科として5年生のクラスへ入っている。
「味噌汁・ご飯」授業で授業をされている。
専科だから算数学力向上メソッドをそのまま実践することはできない。
それでも試みとしてさまざまに工夫されている。
9月を過ぎて、低学力児の中から、「ここ分からないので教えてください」という問いかけがなされたという。
それは良いということで、給食の配膳時間を「分からないところを教える時間」にするということで、毎日駆けつけることにしたという。
ほんの10分ぐらいの時間になる。
それでも、分からない子供が駆けつけてくる。
この積み重ねは大きい。
「分数のたしざん、ひきざん」という難しい単元で、低学力児は、知識・技能、思考・判断・表現が次のような点数になったという。
<知識・技能><思考・判断・表現>
A児……65 76
B児……96 70
C児……80 80
D児……68 60
E児……80 40
F児……71 60
G児……33 76
S児……75 88
知識・技能(テストの表)では、G児だけが50点を下回っているが、あとの子供たちは何とかがんばっている。
通分、約分があるので、これは大変なことである。
日本全国の普通の5年生のクラスが、低学力児でこれだけの結果を果たして出されているのだろうか。
この8人は、最初は50点以下の子供たちだったわけである。
学校の休校、分散登校などがあって不安定な学習を経てきた今でも、何とかこれだけの状態に仕上げてきている。
10分だけの給食配膳時間に、分からないところを先生に教えてもらうということで、低学力児はみごとに先生の取り組みに応えているわけである。
実際に、それが点数となって表れている。
★
長崎の中学校のY先生が、フェイスブックで以下のようにつぶやかれている。
「 青空です。
風は冷たいですが,外に出ると心地よいです。空を眺めながら,教育の現状についてふと考えます。
コロナ対策,学力調査の結果,読解力,タブレット活用,アクティブラーニング,働き方改革などで躍起になっている現場。
最近,学校は何か大切なことを忘れているのではないかと思うようになりました。」
「学校は大切な何かを忘れている」と。
私なら、それは「目の前の子供たち」への「手ごたえ」だと言い切りたいと思っています。
先ほどの先生は、みごとにそれに対応しておられるのではないか。
「やればできるんだな!」「分かるようになってうれしいな!」という子供を専科という立場で育てておられる。
いわゆる教育の原点に立っておられる。
むずかしいことでも何でもない。
ここを多くの先生たちは、忙しさに紛れて忘れ去っていこうとされている。
その先生の算数の結果で、12月末に出した通知票は、Cの子供がいなかったという(算数テストの結果だけで出したと言われる)。
こういう結果が、表れてくるわけである。
ちなみに、そのあとの単元「平均」の低学力児の点数は、以下の通りである。
<知識・技能> <思考・判断・表現>
A児…… 100 80
B児…… 100 100
C児…… 100 100
D児…… 100 78
E児…… 100 90
F児…… 100 80
G児…… 100 90
S児…… 96 80
学年の意向に合わせて、電卓を使っての計算なので成績は計算間違いが少なかったという分ぐんとあがっている、と。
学級の平均は、知識・技能98.27 思考・判断・表現91.31になる。
A児からS児までの8人が、テストをもらって大喜びする姿が目に浮かんでくる。
「おれっ(わたし)、算数好きになってきたな!」と。
こんな「手ごたえ」が先生たちの中からなくなっていことしている。
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