何で数学を勉強するのか?(2)~算数は基礎トレ~
「味噌汁・ご飯」授業として算数をいろいろと検討していると、思わぬことに気づかされてきた。
それまで、算数については、毎日のように授業をしてきたが、本格的に勉強をしたことがなかった。
退職してやっと勉強をし始めたことになる(あまりにも遅すぎる<笑>)。
まず、算数と数学の違いから勉強を始めたわけである。
これについては、冒頭のような結果に気づかされた。
算数は、「思考力」をつける云々が強調されているが、そんなことが目標ではないんだ!
いかに日常的な計算力をつけていくかが大きな目標。
これは東大の西成先生の言われるとおり。
だから、算数が大きな目標とするのは、2つ。
①いろいろな公式や解法を覚えて使えるようにすること。
②定義を暗記して、それが使える練習をすること。
こんなことだったのである。
算数では、教えることはきちんと教えて、身につけさせ、そして、ほんとの勝負の場である「数学」へ向かわせなければならないという課題があったのである。
数学で、本格的に「論理的思考力」を追究するわけである。
算数で教科書を使い、きちんと基礎的なことを教え、数学で思考力を身につけさせようというつながりである。
そう考えていけば、さまざまに出されている算数本とは、これは何なのだろうか、「思考力、思考力」と叫んでいる授業とは、何なのだろうか、と。
★
このつながりをはっきりと書いてくれた本がある。
『細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!』(小学館)の本。
細野真宏先生というのは、受験数学で名をはせた人である。
★ ★ ★
小学校の算数というのは、いわゆる「基礎トレーニング」なのです。
例えば、部活において野球部に入ったら、いきなりゲームを楽しめるわけではなくて、まずは最低限必要な基礎体力を身に付けるために、走ったり腹筋運動をしたりと「基礎トレ」をしなければなりません。そして、さらに素振りやキャッチボールなどの基礎的な練習をしっかりとこなします。
そして、それらを十分にこなした後で、やっと楽しいゲームにたどり着くことができるのです。
★ ★ ★
算数は、「基礎トレ」であるという考え方。
細野先生は、小学校の段階で「基礎トレ」をきちんとやっておかなければ、「数学の楽しさ」を味わうことができないばかりか、実生活で生きていく上での強力な武器になる「数学的思考力」を訓練するチャンスさえも逃していくのだと、強調されている。
算数の目標は、はっきりしているのである。
★
私は、今7人の先生たちと「算数学力向上メソッド」を使った共同研究をやっている。
大きな目標の1つが、低学力児を引き上げていくこと。
テストの点数で50点以下を毎回取っている子供たちを、60点、70点、80点にしていく試みである。
点数が上がらなければ、低学力児は、算数が好きになれない。
点数が上がってくると、算数に対する意欲や自信がついてくるのである。
この「基礎トレ」をやって、中学校の数学へつなげていきたいと願っているのである。
| 固定リンク
コメント
前任校で「問いを引き出す算数授業」をテーマにした校内研究を行っていたのですが、全くその価値を見出せないまま異動しました。
今は、「学ぶ必然性を見出す算数授業」を個人的なテーマとして授業をしてます。
具体的には、味噌汁・ご飯授業と『学び合い』のハイブリッドです。
一見、相反するようですが、実はこの2つはすごく相性がいいんじゃないかと数年前から思っています。
投稿: kawamu | 2020年9月23日 (水) 00時11分
お久しぶりです。
今春より江戸川区から中央区に異動しました。
2年生を担任し、算数では教科書「を」教えることを意識して授業づくりしています(味噌汁・ご飯授業)。
テストの平均点はいつも80台後半で、教科書をきちんと指導することがいかに大切か実感しています。
投稿: シン | 2020年9月28日 (月) 23時13分