初任者のクラスが大変です!
親しい先生から初任者のことで電話相談を受けた。
今、その先生は学年主任をされている。
内容を付け加えて、再現してみよう。
主(私)久しぶりですね。元気ですか。
客(相談者)元気でやっています。今日は、学年の初任者のことで相談があ って電話しました。
今、1年生の担任をしていて、1年生は3クラスあります。そのうちの1 クラスが初任の女性のクラスです。大学出て初めて担任をされていて、と ても真面目です。真面目すぎるぐらいの先生です。
ところが、その先生のクラスが、荒れていて、大変なんです。
私は今まで初任者指導の先生や初任者指導担当の先生に遠慮して、そんな に関わっていなかったのですが、どんどん悪くなっていて、ちょっと心配 で相談させてもらいました。
主 今、どんな様子でしょうか。
客 4人の男の子たちが、落ち着かなくて、うろうろしたり、おしゃべりを したりしています。この前は、板書している初任の先生の後ろで、そのま ねをしてふざけていました。もうクラス全体が落ち着かないです。
主 困りましたね。見ている段階は過ぎていますよ。
初任の先生は、もう退職する一歩手前じゃないでしょうか。
どうしていいかわからない段階です。
もっと先生が入り込んでいかなきゃどうにもなりません。
客 そうですね。やっと給食が始まって、それも大変なことになっている状態です。
主 今回は、分散登校という変則的な形で始まって、初任の先生たちにとっては大変なことでした。それに加えて、管理職から「授業をやれ、授業 をやれ」と言われて、そうせざるを得なかったはずです。このことがさらに危険な事態を招いているはずです。
学級をつくらないままに、授業、授業と突っ込んでいったのですから。
客 そうです、そうです。もう一人の初任の先生がいますが、その先生も学級はうまくいっていないみたいです。
主 そうでしょう。日本全国の初任者が、とても危険な状態になっていると恐れているんですよ。
客 これからどういう指導をしていったらいいですか?
主 もっと先生が関わった方がいいですよ。そして、すぐに校長にとても危険だということを伝えて、補助の先生をつけなくてはならないです。
その4人のやんちゃな子の面倒を見てくれる先生です。
客 児童専任の先生がおられますから、その先生にお願いするということですね。
主 もう初任の先生は、4人もうろうろしているのですから、対応できません。その子たちをその専任の先生に任せて、他の子供たちに授業をして いくという形をとらなければなりません。
客 早速月曜日に校長先生に頼みます。
その初任の先生には、どのような指導がいいのでしょうか。
主 もうそんな事態になっているのですから、大変です。
でも、6月からの分散登校から1ヶ月がやっと過ぎている頃ですね。
何がだめで、そんなクラスになっているかというと、子供たちとの「関係づくり」に失敗しているのですよ。
多分、「仲良し友達先生」で関係を結んでいったのではないでしょうか。
客 私は、関係づくりで縦糸と横糸のことを話したのですが、それがうまくとれていなかったのですね。
主 多分、「縦糸を張る」という概念がなければ、それはできません。
今から教えることは、黄色の本『初任者指導の教科書』(明治図書)のp12,13に書いたことですが、それを見てくださいね。
指示ー確認ーフォローです。
指示ー確認が「縦糸を張る」ことで、「フォロー」が「横糸を張る」ことなのですが、これを教えなくてはなりません。
客 それですね。わかりました。
主 知り合いの初任者指導をしている先生によれば、指示ー確認はすぐにできるようになるが、フォローがむずかしいと言われていました。フォローは認めたり、褒めたりすることですから、フォローの言葉がなければすぐに出てこないのです。
だから、最初は指示ー確認から始めるべきです。
客 それはどういうことですか。
主 子供たちとの関係づくりのほとんどは、教師の「言葉」なのです。
初任の先生は、この言葉で失敗しています。
だから、原則に立ち返って、まず子供たちに指示を出したら、できているかどうか確認をする。できていなかったら、「○○さん、ノートをしまうのですよ」と注意をしてあげればいいのです。
ほとんどの教師の指示言葉が、言葉の中心ですから、まずこれからです。
客 他にありますか。
主 スピード・テンポです。
クラスが荒れてくると、クラスにスピード感がなくなります。
必ずです。そうすると、ゲームなどでスピード感に浸されている子供たちは、それを不快に思うわけです。無意識に体がそう反応します。
不快に感じたら、だらだら、まったりしたりするのですよ。
客 そう、そう、そうなっています。
何でも遅くなっていて、もたもたしています。
主 一番だめなことは、「空白の時間」をいっぱいつくることです。
もめごとがあったり、叱ったりしていたら、それで空白の時間ができてしまいます。
これをつくらないで、すっ~~と進めていくことを心がけることです。
客 わかりました。指導します。
他に4人の子供たちへの指導については、どのようにしたらいいでしょうか。先日、1人のやんちゃが泣いていて、先生はちっとも僕のことを聞いてくれないと言っていました。
私が、その4人に注意したら、「はい、はい」ってとぼけたように生意気に言うのですよ。
主 もう関係がだめになっていますから、そうなっています。
彼らとの対応は、「ど」のつく言葉、「そ」のつく言葉での対応がいいです。
最初は、「どうしたの?」「どうですか?」などで言葉かけ、そして「うるせ~」「めんどくせ~」などの言葉がとんできたら、「そうなの!」「そう、そう」などの言葉で対応するわけです。
どちらも、不安を受け入れる、事実を認めていく言葉ですから、反発が返ってきません。その言葉で対応しながら、包み込んでいけばいいわけです。私は「包み込み話法」と言っています。
客 ありがとうございました。早速、月曜日から指導します。
また、経過を報告しますから。
このような対応になった。
やはり、日本全国の初任の先生のことを思う。
普通でも大変なのに、今年は変則的なことで始まっている。
それでのリスクは大きいはずである。
あ夏休みまでの時間をなんとかしなくてはならない。
初任の先生に必要なのは、そばで支えてくる先生がいるかどうかなのである。
ぜひ周りの先生たち、がんばってほしいと願うばかりである。
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コメント
まさに、私は今、学級崩壊を起こしています。取り返しのつかない事態に、毎日ドキドキが止まらず、悪循環しています。とにかく、なんとか打開したく、こちらのブログにたどり着きました。まさに、例に挙げられている学級崩壊同様です。恥ずかしい話、もう10年以上教師をしています。一年目の教科書と立て直しの本を今注文しました。四連休中に読んで、ラスト1週間持ちこたえて、夏休み明けからまた作ります。心折れてますが、そんなことも言ってられず、やるしかないです。ヒントをありがとうございます。
投稿: り | 2020年7月23日 (木) 17時55分