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全員参加の授業が、こうして実現している(2)~中学校の社会科授業~

 パソコンが故障して、結局パソコンを替えなくてはならず、13日間もパソコンが使えない状態が続きました。
 やっとなんとかなりました。
 山中先生の続編も中途になっていました。
 再開します。
 ★
ぜひとも、くわしく知りたくなったので、山中先生に「もう少し教えてください」と連絡をした。
すぐに連絡が返ってきた。
このような授業をつくられたきっかけが書かれていた。
「教職15年ぐらいで荒れた学校に勤務していた時に、授業を大きく変えなければだめだと実感しました。
まずは、生徒を授業中イスに座らせるためにはどうすればいいかを考えました。生徒を全員参加させるためにはどうすればいいかを考えました。」
そこで考え出されたことは次のこと。
「1 楽しくしたら、まずは授業に参加するだろう
2 50分間は無理なので、10分間ぐらいは集中するだろう
3 やんちゃな生徒も実はほめられたいのではないか
4 やんちゃな生徒も認められたいのではないか
5 ほめることと認めることを見える化するためにはどうすればいいか
6 ほめられたことを見える化して、それがどんどんたまっていけば
うれしいのではないか
7 じっと座っていないのであれば、短い時間だけでも活動を取り入れ
たらいいんじゃないか 」

 毎時間楽しくするという課題は、小学校の教師にとってはむずかしいことである。中学校の先生は、1教科を教えればいいので、教材研究ができれば
この工夫ができる。
「ほめる」「認める」の見える化はおもしろい。
やんちゃな生徒でも、ほめられたい、認められたいというのは当たり前のことである。
活動を入れるというのも、「味噌汁・ご飯」授業と合致する。


山中先生が、その結果、考え出された授業が次のようなもの。
1 説明を面白く分かりやすくなるようにした。
2 教科書を使って探す、考えさせるような全員ができる課題を出すよ うに
した。
3 50分間の中で、1回は逆転現象が起きるような発問をした。社会
的な思考を促す発問。どうなると思う、どうしてかな、なぜだろうなど。
註(野中)
これはレベルが高い技量である。若い先生たちは、この技量を
最初は持てない。
それでも、「教科書を使って探す、考えさせる課題」というのは
いい。さまざまな資料を使って課題を考えさせるようにすると、
学習遅進児は、ついていけない。

4 10分間に1回課題を出して、机間巡視をしながら生徒がノートに書い た答え
をチェックしていく、その時に、一人一人にシールをあげる。
5 このシールは色分けをして、社会科の評価の4観点とリンクしている。
6 社会的思考の問題は、金シールや銀シールなど評価を差別化している。 こうす
ることで、勉強が苦手な生徒でも金シールをもらえるチャンスが生 まれる。
7 生徒はもらったシールを自分もシールカードに張り替えていく。
8 宿題は、だれでもいつでもできる課題をプリントにしていく。
9 家庭学習は、授業中に疑問を投げかけて調べ学習のヒントを与えている。
最近では、「日本語を公用語として使っているパラオという国について調 べよ
う」
10 全員が参加できるように、社会科クイズを必ずする。「解体新書」を何年 かか
って書き上げたでしょうか。A 2年 B 4年 C 6年 など3択 です。
11 宿題も自学ノートも提出すれば、シールをもらえる。努力によって金シ ールが
何枚ももらえる。
12 このシールカードを評価の材料にしている。
註 これが「ほめる」「認める」の見える化である。
このために、色分けのシールを使われている。
ここが工夫されていることになる。
「シールで生徒をつっている」「ごほうびをあげて生徒を引き付けるのはよく
ない」などの批判を受けたこともあり、そんな先生には、次のような質問をし
てきたということである。
「先生の社会科授業では、生徒は全員参加しているのですよね」「その方法を
具体的に教えてください」と。
具体的な授業を提案されている。そのための批判をするためには、代わり
に具体的な授業を提案しなければならない。それが現場で生きるということ で
ある。
教育にとって、ベストの方法はない。つねに、ベターの方法である。
目の前の生徒、しかも荒れている生徒たちを含めて全員参加させるために

は、どのような方法があるのか、その課題に対して考え出された方法である。

13 課題が難しければ、3 分程度の交流をさせて仲間から教えてもらう時間
を設ける。
14 ノートは左側にプリントを貼り、右側には板書をうつさせている。
15 教科書中心の授業づくりだが、短い動画資料や写真資料を使う。
16 フリータイムという自分の考えをどんどん言わせる時間を設けている。 3
分程度。
17 地名探しや色塗りなど誰でもできる課題を出す。
18 プリントは、授業中は「ステップ1 」だけをやり、余裕がある生徒は「ス テッ
プ2」「3」「4」と進める。
19 定期テストも教科書とノートと学習プリントからしか出題しない。こう する
ことでテスト勉強がしやすくなる。
20 1つの単元が終わると、「3問テスト」をする。前時の学習用語を確認 する
テストである。私が問題を読み上げて、生徒はノートの上のほうに 答えを3つ書
く。出題する前に「ダウトカード」をやっている。5 ~6 枚程度のカードに学習用
語を書いている。そのカードを見せながら読み 上げさせる。中にはわざと間違っ
たカードが入っているので、その時は、 生徒は「ダウト」と叫ぶ。まあ、フラッシュ
カードみたいなもの。導入 を楽しくする、授業にテンポをつくる工夫。

註 さまざまな工夫がなされている。
全てが全員参加のための工夫である。
それに小刻みに課題が提出されていくので、生徒たちにとっては暇な
時間がないわけである。
定期テストが、教科書とノートと学習プリントから出されるというのもとて
も分かりやすいことである。教科書をマスターしていれば1 0 0 点ということ
である。
「教えられたこと」から出題されるわけであるから、生徒たちは何を勉強す
ればいいかが分かるということになる。

実際には、「社会科授業心得」や子供のノート、シールなどもっとくわしく載ってい
るプリントが送られてきている。
ここで山中先生の授業を、特に紹介したいと思ったのはわけがある。

1 中学校の社会科の先生なのである。
 不遜な言い方だが、私が抱いていた中学校の先生たちに対する思いは、
「授業」にそんなに比重をかけられていないのではないかということ。
(そうではない先生たちもいっぱいいるのだが)
 部活や行事などへの比重が多いのではないかと思っていたわけである。
ところが、山中先生は、荒れた学校での経験から、このような授業を 生み出され
ている。

2 小学校で、荒れた学校経験をしている先生たちはいっぱいいるのだが、 「子
供が大変だ!」「親が大変だ!」と愚痴が並べられる。それはいい。 だが、1時間
から6時間まである授業をどう変えていくかが工夫されて いるのかということに
なる。
確かに教材研究の時間は、中学校よりもない。
でも、世界で一番労働時間が多い、日本の中学校の先生がこうした工 夫をされているというのは注目に値するはずである。

3 私が最初に注目したのは、繰り返しになるが、「味噌汁・ご飯」授業 と実践が似ていることであった。どこが似ているのか。
①すべてが「日常授業」としてなされていること。
②全員参加の方法が取られていること。
③教科書を中心として扱われていること。
④授業の課題は、小刻みで、活動を加えながら、スピード・テンポ
を大事にされていること。
結局、「日常授業」をどのように改善していくかとなると、こうなっていくはずである。その具体化が示されている。

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