漢字テストの結果が悲惨です!
「漢字テストの結果が悲惨です」
「味噌汁・ご飯」授業研究会の秦安彦先生からのFB(フェイスブック)である。
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課題はもっと手前にある。
⭕緊急提言
分散登校→全員登校→通常授業 のステップで日常授業に戻そうとしている学校が多いと思います。
研究会のメンバーに聞き取りをしたところ。複数の学校で、つぎのようにカリキュラム・マネジメントをすることがわかりました。
●(系統性の強い)算数は極力指導時数を削らない。できれば4月分からやり直す。
●漢字指導を含む重要言語事項指導は、4月分からやり直す、あるいは、未履修部分を徹底復習する。
非常に先進的な取り組みをしている学校の先生からも次のような報告がありました。ワークシート学習&オンライン学習を行っている学校です。
分散登校中 学年代表が「これは売り物になるレベル」と絶賛したワークシートが完成したのでそれを家庭学習の課題として使用したそう。課題の提出も徹底させ、もれなく確認したとのこと。
なのに、テストをしたところ、「やはり、学校の、授業は大切だった」と再確認しているとのことです。
どうやら、●部分に書いたことには注意する必要がありそうだというのが「緊急提言」です。家庭で学ばせているから、そこは削っても大丈夫・・・とはならないことに十分留意する必要があるということです。そこだけ新幹線授業は危険だということです。
初任者からは、特に「漢字テストの結果が悲惨です」との報告が複数寄せられました。
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「やはりなあ、そうなるのだ!」と思う。
ワークシート学習やオンライン学習が、実際のテストではふるわなかったという結果である。
また、「漢字テストの結果が悲惨です」という結果。
これは何であろうか。
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脳科学では、つぎのような指摘がある。
「ドイツの心理学者、エビングハウスが行った記憶実験によると、記憶した20分後には42%を忘れ、1時間後には56%を忘れ、1日後には74%を忘れることが明らかにされました。記憶というのは、時間とともに猛烈なスピードで忘却されていくのです。これを防ぐ方法が『復習』です。」(『覚えない記憶術』樺沢紫苑著サンマーク出版)
有名な記憶実験である。
これによれば、今日勉強したことは、次の日には74%も忘れるということである。
それを防いでいくのは、「復習」しかないというのである。
「だいたいの目安としては、情報の入力から2週間で3回のアウトプットをすると、長期記憶として残りやすくなるといいます。」(『アウトプット大全』樺島紫苑著 サンクチュアリ出版)
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ワークシート学習&オンライン授業がどんな様子だったか、分からないのでくわしく分析できない。
ただ、「漢字テストが悲惨」というのは理由が、はっきりしている。
子供たちは、ワークで「インプット学習」をしたのである。
これだけでは漢字は覚えない。
「アウトプット学習」をちょこちょこと加えないとダメだ。
漢字の場合、アウトプット学習とは、テストのことである。
インプットしたことを覚えたかどうかの確認(テスト)をしなければ覚えたことにならない。
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ワークシート学習などの場合も、長期記憶(これが学力になる)として残るための確認(テスト)をどのように工夫されているかどうかである。
今、算数の共同研究をやっているが、「算数学力向上メソッド」を使って授業ー宿題ー復習テストというシステムを駆使しての研究である。
その場合、必ず授業の最初に5分間だけ復習テストを行う。
この復習テストは、昨日の授業の練習問題そのまま。
3分で行うようになっている。
昨日学習したことを思い出させて、そこから今日の授業に入って行くのである。
算数は系統性が重視されるので、絶対にこれが必要になる。
昨日学習したのは、今日は、もう74%忘れられていると考えねばならないからである。
私もクラス担任の時に、手ひどい結果を経験している。
昨日の算数の授業で、全体にノートをもってこさせて、ひとり一人マルをつけた。
ちょっとむずかしい課題だったので、丁寧にやったのである。
ところが、たまたま昨日の練習問題を解かせてみたことがあった。
結果は、半分しかできなかった。
愕然とした。
「あれほど丁寧に、ひとり一人確認したのに、どうしたことか!」と。
この経験からむずかしい課題のときは、何度か昨日の練習問題を出してみた。
やはり5,6割しかできなかった。
エビングハウスの記憶実験によれば当然のことだが、この時には、このことを知らなかったのである。
それ以来、授業の最初には、必ず5分の復習テストをすることにしたのである。
ワークシート学習やオンライン学習の場合でも、この学習を途中途中でチェック・確認するところがなければ、その学習は生きてこないはずである。
インプットだけの学習になってしまう。
ここが抜け落ちている場合が多いのだ。
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