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コロナ後の学級運営をどうするか?(3)~子供たちとの関係づくりを考える~

1 学級崩壊になる担任の先生の特徴2つ

 子供たちとの関係をどのようにつくっていけばいいか。

 学級崩壊の事例をブログで応募して、多くの先生から事例が集まった。
 分かったことがいくつかあるのだが、大半の先生たちが共通に行っていたことがある。2つある。

 1つは、前回にもあげた「スピード・テンポ」が無くなること。
 空白の時間をしばしばつくってしまうこと。

 2つ目は、ずっと叱り続けていることである。

 この2つとも、やっている先生たちにとっては、自然な行為なのである。
 もめごとなどが起こるから立ち止まってしまうし、問題が続いて起こるから叱らなければならない。その連続である。
 自覚症状もなくなる。

 とくに、ベテランの先生たちに多い。
 力量がある先生たちも、同じようにやっている。
 
 もし学級崩壊に会いたくなかったら、絶対にこの2つはやってはいけない。
 
 今、学級担任をしている先生たちの鉄則は、「子供や親を反発の対象にしてはいけない」ということになる。絶対の鉄則である。

 どんなに力量がある先生でも、この鉄則は必要。
 今、力量があるというのは、ほとんど子供たちや親たちには通じなくなっている。

2 見事な担任の先生の対応
 
 つい先日、地方のある先生から相談を受けた。

 転勤された先生。
 担任したのは、6年生。問題のある子供がいるクラス。
 最初の日から、その児童が学級を飛び出したりしているわけである。

 まず、異動して6年担任は最も危険なことを伝える。
 自分が力量があると思っている先生ほど危ない。
 自分で何とかすると身構えるからである。

そして、問題のある児童への対応を伝えたわけである。

 その先生は、「しばらくの間は、その子のことはおいといて、(もちろん悪いことをしたら指導はしますが)、その子以外の児童をしっかりと指導しながら周りから固めていこうと考えているところです。」と書かれていた。

 極めて適切で、原則的な対応をされようとしている。

 さて、問題のその子供はどうなったのか。
 その先生の連絡によれば、次のようである。

「学校が再開してから2週間が経過しました。あれから、気になる児童とは、何とか問題も起きずに過ごしている状況です。クラスのほうも落ち着き、ほかの児童からは気になる児童の行動が落ち着いていることに信じられないといったことを聞くことがあります。
 先生からのアドバイスである『そ』で始まる言葉を使いながら指導した結果かなと考えているところです。」と。

 その先生は、問題のある児童に対して、叱りつけることをしないで「そ」のつく言葉で対応されたらしい。
 今のところ、うまく行っている。
 
 最適な出発をされている。
 
 重要なので繰り返し書いておきたいが、クラスにいる問題のある子供たちに対して、最初からがんがん叱ったりしてはいけない。絶対である。

 見逃しておいて(どうしても問題あることだけを叱る)、その間に学級を軌道に乗せることを着々と進めるのである。これが「学級づくり」。
 この「学級づくり」で、子供たちが自分たちで学級を動かしていくように早く(1週間で)するのである。

 ここが勝負。
 学級が子供たちの手で動き出せば、超やんちゃな子たちは、簡単に勝手な行動が取れなくなるからである。 

3 脳科学から見た「適切な言葉」の使い方

 「そ」のつく言葉である。

 これは、脳科学者平山諭先生の『満足脳にしてあげればだれもが育つ』(ほうずき書籍)に学んだことである。もともと発達障害のある子供たちへの支援をどうしていくかについて書かれたものである。

 「満足脳」とは、次のこと。

「脳には『報酬系神経ネットワーク』と『不安系神経ネットワーク』が存在するが、競い合ってどちらかのネットワークが勝つ。報酬とは給料のようなもので、もらうとうれしくなる。不安とは給料をもらわないようなもので、不快や嫌悪を感じる。《叱って》《怒って》《怒鳴って》授業をすれば不安系が勝ち、悲観的なマイナス思考を生み出す脳を作る。《ほめて》《かまって》あげれば報酬系が勝ち、楽観的なプラス思考を生み出す脳を作る。」

 この楽観的なプラス思考を生み出す脳を「満足脳」と言われている。

 子供たちとの「関係づくり」には、さまざまなことがあるようであるが、要するに、「言葉と表情」しかないことを自覚しておかなくてはならない。

 先ほど学級崩壊になる先生が、「叱ってばかりいる」ことを原因にあげたが、「叱っていく言葉」が、悲観的なマイナス思考を生み出す。

 超やんちゃな子供たちから、反発を受け、その範囲が広がっていく。
 これは脳科学では、不安系な不満足脳になる言葉を数多く子供たちに投げかけているからである。

 平山先生は、次のように言われている。

 ★ ★ ★
 端的に言って、人間関係を築くスキルは「言葉と表情」しかない。《やさしく感じる言葉》《楽しく感じる言葉》、逆に《不快に感じる言葉》がある。
表情も同じだ。一般に、人は不快に感じる人には近づかない。脳が心地よくならないからである。怒ったり、怒鳴ったり、嫌みを言ったり…、目が据わっていたり、口先で話したり、笑顔がなかったり、こういう人たちは相手の脳に好印象を与えない。つまり、《やさしい心地よさ》と《楽しい心地よさ》を与えない。そのために、人を元気にさせてくれないのだ。子どもたちの心を《暗く》している言葉や表情があるということだ。
 ★ ★ ★

 そこで、「そ」のつく言葉である。
 これも、平山先生が書かれていることから引用したい。

 ★ ★ ★
 《そ》が付く言葉は有効である。「そーなの」「そうなんだ」「そうか」「そうだよね」などは、相手の心を傷つけない。事実を認める言葉だからだ。《ど》が付く言葉もいい。導入段階で使える。「どうですか」「どうしたの」「どれどれ(話してごらん)」「どうぞ」「どういたしまして」などだ。
 ほめることは、『成功体験』の積み重ねにつながる。ほめられたことは一般に繰り返そうとするからだ。
 ほめ方には5種類ある。
 1 短いフレーズで元気よくほめる。
  「すてき」「ばっちり」「すごい」など。
 2 名前を付けて特定化してあげる。
  「すてきですね、菜々子さん」「ばっちりだよ、一郎君」など。
 3 成長や達成「おしゃべり授業」を実感できるようにほめる。
  「できるようになってきたね」「やったじゃない」など。
 4 にっこりほほ笑んで事実を話題にする。
  「(ノートに)書いている、書いている」「(ノートに)消している、消  している」「いい顔、いい顔」など。かまってもらっている感じが出て  満足度は高まる。2回繰り返すとリズミカル(音楽)になるので脳は喜  び効果的だ。
 5 期待効果を狙ってほめる。
  「(集団から離脱している場合)中に入ってくれたらうれしいな」「(教科書を出していない場合)出してくれたら、先生、チョーうれしい」など。
 ★ ★ ★

 子供たちへの「関係づくり」の基本になるのは、織物モデルの縦糸・横糸張りである。これは、このブログでも繰り返し書いているので繰り返さない。

 以上に上げた平山先生の言葉は、私たちが今まで「横糸」を張る(心のつながり)ということで位置付けてきたことである。

 ここまで書いてきて、「叱ってはいけないのだ!」と思われるかも知れない。
 平山先生は、発達障害のある子供たちへの対応として提起されていることである。
 この提言は、問題のある子供たちへ向けてのこととして受け取る。

 私たちの「関係づくり」から言えば、縦糸張りがあるからこそ、横糸張りが生きてくるのである。
 「叱ること」が必要なときには、真剣に叱らなければならない。
 これをいい加減にしてはならない。

 子供たちは、決して叱られることを拒否しているわけではない。
 問題は、しょっちゅう叱られることへの拒否感である。
 ★
 4月の始業式のときと比べて、さらに困難は増しているはずである。
 いつもなら、2,3人の超やんちゃな子供を、素速くクラスに包み込んでいく処方箋でうまくいったはずである。

 ところが、これからはそうはいかない。
 超やんちゃな子供が、2,3人どころか、5,6人に増えていることを想定しなければならない。
 また、その超やんちゃな子供も、これまでの怠惰な生活とゲーム・スマホ生活で、すぐに規則正しい生活(学校は規則正しい生活)に順応しない。 
これが大変である。

いかに、その問題がある子供たちを反発させないように「関係づくり」をしていくかが、コロナ後の最大の課題だと考えていい。

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