コロナ後の学級づくりをどうするか?(2)
コロナ後の学級づくりをどうするか?
これはきわめて大切で、重要な課題である。
4月の1ヶ月間を失っているのである。
子供たちの新しい気構えが萎えている。
それを踏まえての「学級づくり」になる。
きっと困難さがつきまとう。
ただでさえ、学級崩壊が問題になっているのに、ましてや最初の1ヶ月を失っているのである。
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私は現役の頃、自分に与えてきた課題は「学級づくり」であった。
この研究過程で、さまざまな課題を積み重ねてきた。
やはり、「学級づくり」にとって大きなポイントは、学級始めなのである。
それも、最初の1ヶ月が大きなポイントであることが分かってきた。
しかし、それは先生たちの課題となっていなかった。
その1ヶ月を、どう過ごしていくかというのは、どこにも、誰も、明らかにしていなかったのである。
自分なりに発想したのは、「3・7・30の法則」である。
4月の1ヶ月を、どう過ごしていくか。
3日で印象的な出会いをし、7日で、学級の仕組みをつくり、30日でその仕組みを徹底して繰り返し定着させるとシステムである。
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今、初任者指導を20年以上経験してきて、「学級づくり」について最低限必要なものが自分なりに絞られてきている。
あくまでも最低限な課題である。
これがなくては、学級として成り立たない課題となる。
大きなテーマは、「安心のある学級づくり」。
そのために3条件が必要。
①学級の仕組みをつくる。
②スピード・テンポ。
③学級のルールづくり。
①については、当たり前の課題である。
学級という組織をつくるのであるから、そのための仕組みが必要なことは当然である。
そのために、まず「教室の一日」をつくる。
1週間でつくる。必須である。
朝教室へきて、朝自習から終わりの会までの、一連の流れ。
初任の先生には、まずこれをつくらせるのである。
(その流れについては、『初任者指導の教科書』(拙著 明治図書)のp50~に明らかにしている。また、詳しくは、「1週間のシナリオ」として明らかにしている。このシナリオは、ブログのコメント欄で申し込めば、誰にもお渡ししている)
②については、学級崩壊の事例を研究していて、明らかになった課題の1つである。
学級崩壊に陥る先生たちに共通しているのは、教室の活動や授業にスピード・テンポがなく、「空白の時間」があまりに多くなることである。
要するに、学級崩壊のクラスは、決まって「スピード感」がなくなるのである。100%。
もめごとなどがあり、しばしば授業や活動がストップして、その仲裁にあたり、教室に空白の時間ができること。
子供たちは、無意識的に、スピード感が肌になじんでいる。
ゲームの影響。
子供たちは、教室が、スムーズに流れていなくて、ゴトゴト立ち止まっていれば、そのことで不快を感じ、逆にだらだらしてスムーズさを打ち消していく行動をする。
昔は、授業でも活動でも、「ゆっくり丁寧に」が合い言葉であった。
でも、今は「スピード・テンポ」なのである。
これは心しておかなくてはならない。
③のルールづくりは、組織の大原則と言ってよいことである。
平和で、より良い国は、きちんとした法律がある。
その法律を国民それぞれがきちんと守ることで、平和で民主的な国ができあがる。
それと同じように、どんな小さな組織でも、その組織を守っていくためのルールが必要なのである。
これが、教室では実に曖昧になっている。
学校での大きなルール(約束ごと)は存在しているが、教室では、前年度の踏襲としてのルールが曖昧なままに子供たちに息づいているだけである。
教室にも、子供たち相互に守っていく、きちんとしたルールが必要である。
子供たちが自分たちで守っていくルールにならなければならない。
私は、それを目標達成法として提起している。
簡単にできるルールづくりなのである。
(『初任者指導の教科書』のp68~に掲載している。)
この3つの課題がきちんと息づいていけば、まず「学級づくり」の最初はできあがったことになる。
初任の先生たちは、まずこれをつくりあげることなのである。
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勉強が終わっていない。
そんな「学級づくり」にもたもたしている場合ではない。
簡単にさっと必要なものだけつくって、あとは授業、授業でいかなければならない、と先生たちは身構えそうである。
しかし、これは絶対に失敗する。
勝負の1ヶ月がなくなっているのである。
子供たちは新学期の新しい気持ちもなくなっている。
ゲームとスマホに明け暮れる時間をずっともってきたはずである。
怠惰な時間と、怠惰な気持ちにまみれている。
まず、ゆっくり出発する。
3条件をきちんと実践する。
普通の4月よりも、慎重に、粘り強く、出発する。
あせる気持ちもあろうが、まず「学級づくり」をしなくては何事も始まらないことを胆に銘じるべきである。
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