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つれづれなるままに~「遠くを見よ!」~

●池田清彦という生物学者がいる。私と同じ歳である。
 最近はバラエティー番組なんかにでている。
この生物学者が、最近『本当のことを言ってはいけない』(角川新書)を出した。
 初めて知ることがいろいろ書かれている。言いたいことを池田流で言いたいほどに書かれていることもあるのだが…。
たとえば、次のことは初めて知ったこと。

 ・現在、日本の85歳以上の人口は570万人(男性176万人、女性39 3万人)、90歳以上は219万人(男性54万人、女性165万人)で ある。そのうちの約5割は認知症である。平均寿命が100歳になるとい って喜んでいる場合じゃないと思うんだけどね。

 ほんとに喜んでいる状況ではない。


●先日、この欄で勧めた中央公論の苅谷さんの論について、読んだS先生がこんなことを書かれている。みごとに問題点を読み込まれている。
 ★ ★ ★
 ……
 めあては苅谷剛彦氏の「教育改革神話を解体する」。

なぜ、教育改革は失敗するのか。なぜ、失敗し続けてきたのか。苅谷氏は、その背景にある「エセ演繹型思考」の影をつまびらかにしている。

徹底した演繹型思考でもなければ、徹底した帰納的思考でもない。
過去の教育政策、教育改革はどれ程うまくいったのか、うまくいっていたのか、検証することはなく、実態把握に基づかない新たな政策、改革の(空虚な)前提にされてしまう。
また、「現代」の眼からの分析だけでなく、「当時」の眼にはどう映っていたのか、社会情勢や経済状況の実態から見た政策の価値は度外視されてしまう。
こうして、実態把握、エビデンスの欠如を放置したまま、「改革が必要だ」という言説のみが受容されていく。

結局はこの繰り返しだ、と苅谷氏は言う。
確かに、苅谷氏の著作を振り返ると、個性、詰め込み、ゆとり、受験戦争、教育格差、主体的な学び…と言葉は変わっても、「教育改革」が様々な批判や困惑に晒されながらもまかり通ってしまう構造(=神話)は変わっていない。
氏の『大衆教育社会のゆくえ』(中公新書)や『教育改革の幻想』(ちくま新書)は、その時々の教育政策、教育改革の問題点の根本にある、この構造の批判的分析だが、未だに教育行政のトップにいる為政者たちは、この構造を利用し、あるいは構造に絡めとられているということだ。

 時代は、新指導要領の完全実施の時にある。
日本の教育政策、教育改革が陥っている構造に自覚的でいること。少なくとも、教職にある人間がそうあることが、同じ過ちを断ちきるためには絶対に欠かせない。

苅谷氏の著作も含め、本誌は教職にある人々にとって必読だ。
 ★ ★ ★

●私のブログを読まれて、知り合いの山中太先生が、新井さんの本を読まれたことがフェイスブックに載っていた。

 ★ ★ ★
「AIに負けない子どもを育てる」(新井紀子 東洋経済)を読破しました。新井さんは,読解力をより正確に把握するためにRST(リーディングスキルテスト)という独自のテストを開発して実施しました。その結果を元にして,書かれているので説得力があります。そして,読解力を高めるための授業の実際も紹介されていてわかりやすかったです。
また,現在の学校教育にも疑問を投げかけています。
例えば,アクティブラーニングです。
「準備が不十分だったり,教員の背景知識が不十分で生徒の学ぶ意欲に負けてしまったりすると,アクティブラーニングはすぐに破綻します。みんなで作業をして,なんとなく話合ったけど,何が結論だったのかわからないーそんな授業に陥ります。他の生徒の意見に迎合していれば授業をやり過ごせると覚える生徒も出てきます。」と書かれています。
例えば,電子黒板とワークシートです。
「一人も置き去りにしないために,書く速度が遅い生徒に合わせたプリントやワークシート類,情報化を推進するための電子黒板が,ノートをとれないまま卒業する小学生を大量に生んでいたのです。文章として読まなくても,キーワード検索でプリントを埋められてしまいます。そして,そのキーワード部分を覚えれば,テストでそれなりの点をとれてしまうではありませんか。」
最後には,「意味がわかって読める」子供を育てるために,何をどうすればいいか,幼児期から小学校高学年まで詳しく紹介されていて,これも参考になりました。
★ ★ ★

 新井さんが問いかけられているのは、とても貴重なもの。
 ぜひ、この本は読んでほしいものである。

●1月30日から北海道へ行った。
 伊達市の伊達小学校を訪問した。
 雪が少ない北海道は初めてであった。
 どこも雪不足は深刻である。
 
 伊達小の先生たちの授業を見せてもらったが、授業力のレベルが高い先生たちが多くて、びっくりした。
 なかなかこんな学校を見ることはないので、うれしかった。

 関東圏や関西圏の学校の先生たちは、疲れ切っている先生たちが多いのだが、北海道の先生たちは、元気な先生たちが多い。
 この元気さは、何かだと思ってしまう。
 ある教頭先生から「北海道は疲れたら、すぐに車で海や山に出かけて一休みすることができるんですよ!」と言われた。
 この効果は大きい。
 
 フランスの哲学者アランは、鬱病にならないためには、「遠くを見よ!」と助言している。
近くばかりに目を注ぐのではなく、ぼっ~~として遠くを見ること。
 こんなシンプルなことが、意外と効果があるのである。

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