『策略ブラック生徒指導』(中村健一著 明治図書)が提起すること
長いこと中村健一先生が提起されてきたブラックシリーズの意味がつかめずにいた。
とても大事で、大切なことを提起されているとは思っていたが、それがどういう意味があるのか、ということである。
このシリーズは、今まで「教育」に賭けてきた人たちの一部には顰蹙をかったはずである。
教室を「戦場」と考えたり、教師には「武器」が必要などと言われる。
それを「ブラック」という言葉で味付けされる(笑)。
「教育を何だと思っているのだ!」「あまりにも品性がなさ過ぎる!」と。
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神戸の小学校の4人組による「いじめ事件」を受けて、今の学校現場がどのように変化しているのかをまざまざと見せつけられた。
この事件は氷山の一角である。
今の学校現場は、変貌する子供や、一部のモンペに対して、教職員がまとまっていくというようには成り立っていない。
今までの体制を守り抜こうと必死になる守旧派(学校の中心を構成している)が、ともすれば何とか変えなければならないとする少数派の教師を潰そうとする構図がある。
それが、神戸事件に象徴されたはずである。
ただ、断っておきたいのは、何でも改革をすればいいと思っているわけではない。学校が今まで大切にしてきた「当たり前のこと」までなくしていいわけではない。
私が守旧派と名付けているのは、もう当に破産し、意味がなくなっていることにいつまでも拘っていく先生たちのことである。
その守旧派だって必死である。今までの体制を否定されたら、自分のやってきたことがすべて否定されることになる。
だから、必死になる。
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このような学校の構図は、早晩どうにもならなくなるはずである。
これからとめどもなく起こってくる「学級崩壊」の嵐は、学校現場の内部のどたばたを、なぎ倒していく。
今回出された中村健一先生の『策略ブラック生徒指導』(明治図書)は、今学校現場で何が必要かを、明確に語っている。
私なりに大事なことをシンプルにまとめると、次の2つのこと。
子供たちや親たちを絶対に敵に回してはならない!
そのための策略を巡らせ。
良いクラスなんて、つくらなくていい!
何とか1年間を生き抜いていけばそれで十分。
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私は心ある先生たちには、次のように伝えている。
これから学校現場で起こってくるのは、辛い冬の時代である。
これを生き抜かなくてはならない。
生き抜くためには、まず自分の教室を整えること。
子供たちや親たちに対して、確かな「事実」をつきつけて、包み込んで
いく実践をすること。味方にするのである。
もし、余裕があれば、学年の先生たちに広げられたら良い。
守旧派の教師たちとは闘うな。
闘うとこちらが潰される恐れがある。
いずれ彼らはぼろぼろになる。
そのときに、守旧派とも一致できる課題が見つかるかもしれない。
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子供たちや親たちにつきつける確かな「事実」とは何か。
たとえば、私なら次のように例示する。
まず、教室の学級経営を確かなものにして、子供たちが安心できる環境を作り上げること。これはどうしても必要。
学級経営法である。
次に、子供たちの「学力」を上げること。
そのために、単元テストの「点数」を上げること。
とくに、低学力児の点数を引き上げていくことである。
親たちは、テストの点数に敏感。もちろん、子供たちも敏感。
担任の評価は、7割がこの点数にあると思った方がいい。
「先生は、うちの子のテストの点数をこんなに上げている!」という事実をつくりあげるのである。
学級経営からいきなり「点数」をあげるというのは、あまりにも唐突だと思われるかも知れない。
「事実」をつくるためである。
誤解されることを承知で言えば、今授業の最優先の課題は、親や子供に即届いていく「事実」をつくりあげられるかどうかなのである。
「点数」は、それ。
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中村先生のブラックシリーズは、もはや今までのやり方ではだめだということをはっきりと宣言した書である。
今の学校現場を生き抜いていく策略である。
もはや策略なくしては、現場は生き抜いていけなくなっている。
そんなことを教えてくれたのである。
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