2日間の学級補助(1)~明日も野中先生お願いします~
「助けてほしい!」と連絡が入る。8日の夜のこと。
N小学校で、15人の先生がインフルエンザで休んでしまい、どうにもならなくなっている。とにかく、2日間でいいから、補助に入ってもらえないか、と。
この小学校では、12年前に初任者指導で1年間お世話になっている。
何とかしなくてはと、でかけることにする。
翌日の朝、8時には学校へ到着。歩いて12,3分のところにある学校。
かけつけると実際には22人の先生が休んでおられる。
これは緊急事態。
かけつけた人は、3人。明日はもっとかけつけられる、と。
もう現場から離れて、10年、20年以上離れている方ばかりなのである。
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今日はとりあえず4年生のクラスを見てもらえないかと言われる。
結果的には、この日と次の日も、このクラスで過ごすことになる。
1時間目にクラスに行くと、子供たちは静かに座っている。
誰が来たのだろうという顔。
1時間目は、自己紹介と、お話の時間。
私の得意の自己紹介。
飛び込み授業をするときには、いつも5分ぐらいをかけて行う紹介。
子供たちは、笑って、笑って、…。
そして、お話をしてあげようと次の紙を黒板に貼り出す。
①学校で起こったきょうふの一夜。
②学校で起こったきょうふのできごと。
③火の玉を見た!
④バスにあらわれたゆうれい。
⑤それはむふふふふ。
⑥野中先生の初恋。
⑦野中のば~~~か。
⑧へびとう○○。
⑨べんぴになったこえだめ事件。
⑩まきぐその3条件。
どれも魅力的なテーマ(笑)。
子供たちは目を輝かす。
⑥をやって、やってと言う。
しかし、⑧の「きたない話」をして、笑わせ、①の「怖い話」をしてし~~~とさせる。
どこのクラスでも、同じである。
「3・7・30の法則」の「3」の時間にやること。
とくに今回受けたのは、「野中のば~~~か」という話。
小学校4年生の時、野バラというシューベルトの歌を歌ったときの思い出。この思い出を誇張して物語にしている。
ある年配の人なら、誰でもが「ああ~~あの歌!」と思い出すはずである。
この歌、「わらべはみ~た~り、のなかのば~~ら」という歌で始まる。
このところを、やんちゃな子たちが、「のなかのば~~か」と替えて歌った音楽の授業の場面を再現している話である。
子供たちは、笑って、笑って、笑い転げた。
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2時間目は、国語の授業。
だが、時間割が違っていて、教科書、ノートをを持ってきていない、と。
だから、急きょ、道徳の授業に振り替える。
これもよく飛び込み授業でやるもの。
「プラス思考」の授業。
これは思っていたよりもずっと、子供たちに入っていく。
翌日、一人の女の子が、「先生、昨日出せなかったプリントです!」と言ってもってきたことがあった。
そのプリントの授業の感想には、次のように書いてあった。
「私はふだんマイナス思考で考えていたとおもう。
家でもお母さんに、はんぱつしていたと思う。
私は私なんだからべつに他の人いっしょでなくてもいいし、自分らしさ が自分にとっていいのだからべつにいいと思う。
自分のためにならないマイナスは考えないこと。自分でもふかく思った。 自分のおもったことと反対のことをよくいってしまう。だから、マイナ スになってしまう。
自分の思ったことをやさしくいいながら、自分を新しい自分にいれかえ たい。」
1時間の授業で、これだけの感想を引き出している。
すばらしい授業ではないか(笑)。
4年生の女の子たちは、もうこうして思春期を迎えているのである。
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3,4時間目は、支援級で補助をする。
給食の時間は、また4年生のクラスへ戻り、給食指導をする。
よく担任の先生に指導されていて、配膳の仕方などは手際が良い。
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5時間目は、算数の授業。
学年主任の先生に、「私が授業をしていいですか?」とお願いして、「変わり方調べ」の授業をする。
共同研究で2年間ずっと宿題や復習テストをつくってきたのである。
今では、教科書さえあれば、すぐに授業ができる。70点の授業だが…。
感想の中に、「のなか先生のじゅぎょうはとても楽しくて、にがてな算数もはかどりました」と書いていた子供がいた。
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その日は5時間目で終わる。
「野中先生、明日も来てください!」という声が連呼される。
「明日はどうなるか分からないな。」と。
帰りに女の子たち数人が校長室にいき、「明日も野中先生をお願いします!」と直訴したらしい。
校長からその話を聞く。 (つづく)
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