« つれづれなるままに~初任者指導の先生へ向けての本を書いています~ | トップページ | 初任の先生はどこで授業につまずくのか(2)~一人研究授業を実現する~ »

初任の先生はどこで授業につまずくのか(1)~考えているよりも課題はずっと手前にある~

 兵庫県三木市に初任者授業研究会に出かける。
 もうここには、10年ばかり毎年出かけている。
 3時間かけて新幹線で行き、新神戸に、指導主事の先生に車で迎えにきてもらって、それから三木市まで40分ばかり。

 

 今日は、初任の中学の先生が、国語の授業をされる。
 指導案を見ると、アクティブ・ラーニングに挑戦される授業であるらしい。楽しみにして出かける。
 
 参加する先生は、初任者の先生たちが5人ほど。あとの先生たちは、臨任の先生が数多いということ。23名。ほどよい人数である。
 ★
 中学の先生の授業(2年生)は、平家物語を教材として使われていて、今日は、討論の授業。
 「那須与一の行動に賛成か、反対か?」という課題。
 
 これは難題である。
 先生は、ネームプレートを使って賛成・反対を表示させ、すべての子供たちに積極的に学習に参加させようと意図されているが、なかなか盛り上がらなかった。
 
 授業をした初任の先生(女性)は、大学出たてで2年生の担任をされている。これだけでも大変なことである。
 それでも、堂々とした振る舞いで、みごとに学級運営をされているという感じを受けた。
 ★
 今日の講座のテーマは、「授業を成立させるための基礎・基本」。
 
 私は、初任者指導をここ20年以上勤めてきたことになる。
 そこで初任者が授業のどこでつまずくのか。まとめると、3つある。

 

 次のような相談になる。
 
 相談1 毎日の授業では、ついつい教えることに夢中になって、1時間の授業が終わっても、「まとめ」までいかないことがたびたびあります。だから、残りを宿題にしたりしています。1時間できっちり終わる手立てがありますか。

 

 相談2 いつも、ついついしゃべりすぎてしまい、時々ふっと子供たちの顔を見ると、つまんない顔をしていることに気づきます。なんとか「しゃべりすぎてしまう」くせを直したいのですが、どんな手立てがありますか。

 

 相談3 いつもは、挙手する子供を指名して授業をすることが多いです。でも、多くの子供たちに手を挙げるように何度も励ますのですが、どうしても4,5人の挙手になってしまいます。どうしたらいいでしょうか。
 この相談に、自分たちはどのように克服する手立てを考えていくのかを相談してもらい、発表してもらうという形で、講座を進める。

 初任者指導の先生たちは、ここに多くの初任者がつまずいているのに(初任者は、つまずいているとは思っていない。意識さえしていない。)、この段階をすっとばして、もう少しレベルの高いことを教えようとする。
 だけど、うまくいかない。

 

 課題はずっと手前にあるのである。
 実は、私も、現役の頃は、こんなところに課題があるとは思っていなかった。
 初任者の数多くの授業を見てきて、「ああっ、考えているよりもずっと手前に課題があったのだ!」と気づいたわけである。

 

 こんな段階なのに、どうしてアクティブ・ラーニングの授業ができるのであろうかと、私は思ってしまう。
 ここに大きな勘違いがある。

 

 アクティブ・ラーニングの授業を実践しようとして、ワークショップ型の授業をしようとする。それを続けていけばできるようになると思っている。
 エセ授業(それに似たような授業)ならばできる。
 
 一斉授業がきちんとできなければ、アクティブ・ラーニングの授業などできるはずはない。
 このように私は考えている。
 討論の授業は、高段の技術が必要なのである。
 それはそうであろう。たとえば、クラス全員の子供たちを、討論の授業に巻き込んでいくことなんてよほどの力量がないとできない。
大切なのは、全員参加の授業なのである。

 

 クラスの10人程度の討論(これでもむずかしいのだが)ならば、努力すればできていく。しかし、全員を巻き込んでいくとなると、これは簡単なことではない。

 

 丁寧に小集団活動を積み重ねていってできていく段階なのである。
                        (つづく)
  
 

|

« つれづれなるままに~初任者指導の先生へ向けての本を書いています~ | トップページ | 初任の先生はどこで授業につまずくのか(2)~一人研究授業を実現する~ »

コメント

佐世保の山中です。

一斉授業がまともにできない教師に,アクティブラーニングなどできるわけがないというご意見に大賛成です。
班学習にしても,一部の生徒の意見で進んでいき,他の生徒は意見を言う場面もない,そして班の意見としてミニホワイトボードに書かせて,黒板にはる。一部の生徒の立派な意見で授業が進んでいく。
形や見栄だけで中身がない授業を良しとする空気があると思います。
初任者には,一斉授業の技を1つでも多く身につけていってほしいと思います。
そういった考えで,今年度は研究主任として,研究の柱として,「全員参加の授業づくり」を立てました。今度行う初任者の研究授業では,この視点で協議をしようと考えています。

投稿: 山中太 | 2019年10月 6日 (日) 20時21分

山中先生、いつもコメントありがとうございます。指摘されている通りで、さまざまな授業で見られる班学習や討論が、きわめて表層的なところでなされていることに、がっかりしています。見栄えを良くするだけで行われているのですよ。
 「全員参加の授業づくり」というのは、実に考えられたテーマです。今、研究授業で、このテーマで取り組んでいくことの必要性を強く感じます。先生、がんばってくださいよ。

投稿: 野中信行 | 2019年10月15日 (火) 10時56分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« つれづれなるままに~初任者指導の先生へ向けての本を書いています~ | トップページ | 初任の先生はどこで授業につまずくのか(2)~一人研究授業を実現する~ »