小学校で深刻な状況が広がっている~平成30年度の文科省の統計から~
文科省から平成30年度の、校内暴力、いじめ、不登校などの統計結果が公表された。
新聞では、いじめの増加を大々的に報道していた。
私は、自分の目で統計を調べてみた。
確かに、いじめの増加はある。
しかし、一番注目したのは、小学校での「校内暴力」(学校管理下)の増加である。
これは、平成27年度から増え続け、3年間ぐんぐんとのびている。
昨年のブログでは、小学校に何かが起こっている、緊急事態であると書いている。
今年はどうか。
やはり、増えている。今回も、大幅に増えている。中高は、ほとんど変化がないのに、小学校だけがこのような変化を見せている。
10609(平26)→15870(平27)→21605(平28)→26864(平29)→34867(平30)
もう間違いなく日本の小学校で何かが起こっている。
そう考えていかなければならない。
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どこでこんなに増えているのか。
都道府県別に見ていく。1000人当たりの発生件数が多い県。
1位 青森県、島根県 13.6
3位 神奈川県 11.5
4位 岐阜県、高知県 10.5
6位 沖縄県 10.0
7位 新潟県 9.7
8位 宮城県 8.5
9位 京都府 8.3
10位 静岡県 8.0
ベスト10はこうなる。
特徴的なことは、都市圏から離れたところで多くなっていることである。
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神奈川県は、つねに上位を占める。
それは、指定都市の状況を見れば分かる。横浜市と相模原市の発生件数の多さがそれを示している。
1位 横浜市 20.5
2位 新潟市 15.0
3位 相模原市 13.4
4位 仙台市 12.8
5位 広島市 10.3
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一方、いじめはどうか。
①いじめの増加も、ほとんど校内暴力と同じ伸び方をしている。
この相関は何か。
11537(平26)→12785(平27)→14334(平28) →15791(平29)→17145(平30)
②いじめの学年別認知件数の順位は、次の通り。
第1位 小2(82360)
第2位 小3(80821)
第3位 小1(76893)
第4位 小4(73980)
第5位 小5(63465)
第6位 中1(50259)
第7位 小6(48738)
いじめの低年齢化が進んでいる。
数年前までは、中1がトップだったのが、小2、小1が多くなっている。
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これらの状況から予測されることは何か。
ア 校内暴力の増加と、いじめの増加は、同じ相関をしていることから
確実に、小学校では、学級崩壊が増えていると考えられる。
学級崩壊が起こると、そのクラスでは、必ず深刻ないじめが起こるからである。
イ しかも、それは、都市圏から地方へ広がっている(決して都市圏が少なくなっているということではない)。
ウ このまま増えていくと、学級崩壊段階から学校崩壊段階へ進んで
いく学校が増えていくと予想される。
エ 10年以上前では、小学校は高学年が学級崩壊の中心であったが、
今では低学年化している。
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こういう流れの中で、神戸の事件が起きている。
神戸の東須磨小学校が、「職員室崩壊」を起こしていたことと、まさに相似形のような形で、校内暴力が増え続けている。
何が問われるのか。
恐らく、今までのやり方が、ほとんど通用しなくなっているということではないか。
どんなことが、どのように通用しなくなっているのか。
本腰になって、取り組んでいくことなのである。
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