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みごとな回答だった!

 相談者がいて、回答者がいる。
 たまたま覗いた回答欄だったが、みごとな回答だった。
 こんな回答を、今まで見たことがないほどのものだった。
 それを紹介しておきたい。

 朝日新聞の「be」(2019.7.6)の「悩みのるつぼ」に載っていたものである。

 相談者は、女性40代。回答は、評論家の岡田斗司夫さん。
 「少年野球の監督の指導がパワハラ」という相談

 ★ ★ ★
 40代の母親です。子どもの野球に悩まされています。
 小学校区には2つ野球チームがあり、うちの子は強い方に所属しています。本人の強い希望で入団しました。
 監督は、勝つことのみに重きを置き、罵声、パワハラがひどいです。お気に入りの子、試合で活躍した子以外には目もくれず、子どもたちはチームを勝たせるための駒のよう。週に5~6日、炎天下でも長時間の練習があります。
 指導されている内容も親もよく見聞きするよう言われ、練習を毎回見に行くのが当たり前になっています。私は仕事もあって、それをしないので、親子ともにハブられています。中には問題を感じている保護者もいますが、監督は王様状態で、子どもに返ってくるので誰も何も言えない状態です。
 うちの子は、野球や友だちが好きなので絶対にやめたくないし、他のチームに移るのも嫌だと言います。ですが、野球ばかりに時間と体力が取られ、子どもの他の可能性も潰されるのが気がかりです。家族との時間もありません。また、チームの人間関係を見ていると、私自身が厭世的になって、このチームの野球をやっているうちの子どもまで嫌になることがあります。
 子どものために自己犠牲を払えない自分がダメなのかと責めたりもします。どう乗り越えていけば良いのでしょうか?
 ★ ★ ★

 きわめて真っ当な相談である。
 この種の悩みは、よく聞いたことがある。

 回答者の岡田さんは、次のように回答する。

 ★ ★ ★
 最初にお断りしますが、私はスポーツ嫌いです。野球もサッカーも見ませんし、五輪も興味ゼロ。来年の今頃は退屈していると思います。たぶんあなと同様に「体育会的な指導が苦手」です。
 でも、そんな私から見てもパワハラ的な指導には一定の効果があると思います。
 パワハラとは、人間関係や仕事関係の上下差を利用して、相手をいじめることのようです。その意味で少年野球監督のやっていることは「パワハラ的」に見えるかも知れません。しかし息子が自分で選んだチームで、いまも「やめたくない」と言っているのなら、その監督の指導はパワハラそのもの、つまり「いじめが目的」ではないようです。
 「強いチーム」には、だいたいパワハラっぽい指導者がいます。いっけんお気に入りやエコヒイキに見えるのも、すべて「試合に勝つ」ための実力主義という場合もあります。
 最近の教育現場では「競争」よりも「仲良し」が強調されるそうです。チームスポーツのような実力主義は、その意味でタテマエの多い学校よりも早い段階で「大人の社会」を息子に体験させているのでしょう。
 と、ここまで書きましたが、「親も参加を強制」は別問題です。それは子供の弱みにつけ込んで、家庭まで操ろうとする、まさにパワハラだからです。あなたが、自分の好みを超えて、そこまで付き合う必要はありません。
 もし息子が「ママが来てくれないとレギュラーに選んでもらえない」と泣きついてきたら、こう返してください。
「それはあなたの実力が足りないから。同じ実力ならゴマすり親のいる子を優先するかもしれない。でもあなたの実力が抜きんでていれば、本当に勝ちたい監督ならば絶対にあなたを選ぶはず。親のチカラではなく、自分の実力で勝負しなさい」
 たぶん、同世代の子供の大部分は「実力主義」という恐ろしい荒波を経験せずに、いずれ社会に参加します。それに比べてスポーツを真剣にやる子供たちは、いやがおうでも早めに「大人の社会」を経験せざるを得ません。ひょっとしたら息子はこの後、うちひしがれて帰ってくるかも知れない。その時まで、あなたは「息子の趣味・生きがいに無関心なダメ母」を演じてみてはいかかがでしょうか?
 長いスパンで見れば、そういう無関心な態度のほうが「今は野球にすべてを賭けたい息子」のタメになる気がします。
 ★ ★ ★

 この回答に賛否はある。
 しかし、このような冷静な判断はなかなかできないであろう。
おそらく、この保護者も、こういう判断があったのかと違う目をもたらされたことであろう。
 

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