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教師としての実学とは何か~福沢諭吉に学ぶ~

多賀一郎先生が、フェイスブックで次のように呟かれていた。
★ ★ ★
 苫野さんが「おしゃれ哲学に気をつけろ」と投稿していて「おしゃれ教育」もあるなあと思った。
おしゃれではなくとも、
✳️ イノベーション
✳️ 新しい風
✳️ これからの教育
✳️ 子どもが変わる
✳️ 必ずうまくいく
というような言葉にあざとさを感じられる知性と感性を持たないと不易を見失う。
★ ★ ★
 私も、同じような思いをもっている。
 私の37年間の教師生活で、これらの「おしゃれ教育」を何度も聞いてきた。
 ことごとく失敗した。
 また、同じような失敗をしようとして躍起になっている。

 かつてのかつて(1872年)、福沢諭吉が『学問のすすめ』を出した。
 その中に、次のようなことが書かれている。

 

 ★ ★ ★
 もっぱら勤しむべきは人間普通日用に近き実学なり。譬えば、いろは四十七文字を習い、手紙の文言、帳合いの仕方、算盤の稽古、天秤の取り扱い等を心得、なおまた進んで学ぶべき箇条ははなはだ多し。
 ★ ★ ★

 

 この本が出たのが、今から約150年前。
 東京で蒸気機関車が走り、横浜でガス灯が輝き始めた「文明開化」の時代である。
 常識がどんどん覆されていくテクノロジーが開発され、過去から培ってきた技術的なものが通用しなくなり、自分の未来が見えなくなった時代に、福沢は、生活の糧となる実学を学べと、人々を鼓舞した。

 

 今もまたこの当時と同じ状況が広がっている。
 急激な技術進化を経験する時代にいる。
 10年先だと思っていた人工知能や自動運転技術は、もうすでに日常に入り込み、SFの世界だった宇宙旅行やゲノム編集が、実用段階に突入している。

 こういう状況下で、教育の世界もまた、激変が起こっている。

 

 それは、今のところ、ことごとく崩壊していく状況としてしか現れていない。
 このブログでも、何度もそのことを書いてきている。

 

 こんな中で、教師たちはどのような生き方をしなければならないのか。
 こんな問いかけが突きつけられている。

 

 私は、福沢諭吉がかつて文明開化の時代に、人々に諭した「生活の糧となる実学を学べ」という言葉は、これからを生きる貴重な言葉として受け取る。

 

 時代の流れに乗って、「おしゃれ教育」や「おしゃれ哲学」に身をやつすべきではない。
 そのように考えてきた。

 

 こんな大変な状況だからこそ、「教師としての実学」を身に付けるべきだと考えてきた。
 


 「教師としての実学」とは何か。

 

 教師としての力量をつけることに尽きる。
 毎日を過ごす教室の中で、きちんと子供たちを束ねていく力を蓄えることなのである。
 
 まず「学級づくり」を!
 「日常授業」をこなしていく力を!
 ……
 私が今まで提起してきたのは、ことごとく教師としての「日常」を生きつないでいく実学である。

 

 今提起している「算数の共同研究」も、その実学の1つとして考えられていい。

 

 見栄えのいい実践でもない。
 時代に応える実践でもない。
 そんなことよりも何よりも、今必要になるのは、日々の仕事を生き抜く教師としての力量を蓄えることなのである。
 だからこそ、「守破離」で力量の蓄え方を提起した。
 
今回出した『教師1年目の教科書』(学陽書房)は、初任の先生たちには3年間で身に付けるべき基礎・基本ですよと提起している。
今、身に付けるべき基礎・基本が曖昧になっているためである。
 ★
 福沢諭吉は、幕末の頃、江戸幕府の幕臣(幕府外国奉行翻訳御用)として勤めていた。
 その頃、毎日福沢は、江戸城に登城していた。
「私は時勢を見る必要がある。城中の外国方に翻訳などの用はないけれども、見物半分に毎日のように城中に出ていました」と。
 
 旧幕府軍と薩長軍が激突し、江戸の町が戦火に包まれようと江戸中が大騒ぎをしている中で、福沢は淡々としていた。

 

 そんな状況下で、福沢はちゃっかり芝の新銭座に新しい住まいと塾舎を建てている。今の慶應義塾である。
 
 そして、明治維新になり、「学問のすすめ」を出すのである。
 この本は、当時ベストセラーになり、日本人の10人に1人は読んだというほどなのだ。

 

何のことはない。
 福沢は先を見通していたのである。
 
 私たちは、福沢のしたたかさ、軽やかさを身に付けていくべきなのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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