つれづれなるままに~桑田佳祐に驚く~
●3月16日、6チャンネルの報道特集を見た。
その中で、いじめ自殺をした女子中学生の事件を取り上げている報道があった。
神戸市教育委員会の指導主事が、学校へ指示を出して、実際にいじめを調べたメモを隠匿した事例が取材されていた。
この教育委員会の事なかれ主義は、目を覆うばかりで、「これが教育を主導している役所なのか!」と呆れかえるばかりであった。
そのテレビを見ている家内は、「どうしてこんなひどいことになっているの?」と呟いていた。きっと見ている人たちも同じ思いになったと思われる。
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私は、今まで多くの教育委員会や指導主事の先生たちと関わりを持ってきている。
その人たちと比べれば、あまりにも落差があって、驚くばかりなのだが、実際にこうして神戸市教育委員会の醜態がある。
何が起こっているのだろうか。
今まで財務省の問題、厚生省の統計不正問題など官僚や公務員の不正が続いている。
はっきり言えるのは、この人たちはサボっているわけではない。
反対に、忙しさに追いまくられている。
普通の先生たちだって、激務なのである。
でも、確実に言えることは、この人たちを支えてきたプライドや誇りが摩滅して、目の前の蠅を追うことしかできなくなっている。
仕事から得られる喜びやうれしさなどの手応えがなくなって、疲弊している。
疲弊している人は、楽な、安易な方向しか選ばない。
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きっと神戸市教育委員会は、トップの人たちが、いじめ自殺を真正面から引き受けるというより、何とか誤魔化して目の前の蠅を追おうとしたのであろう。
それが教育の死につながるとは想像もしなかったのだろうか。
こういう教育委員会の元で仕事をしている多くの先生たちの悲しさを思う。
だが問題は、これが氷山の一角ではないかということになる。
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3月18日に、市教委の第三者委員会は、その調査報告書を提出したと朝日新聞は報じている(2019.3.19)
自殺した母親は、「学校がSOSをきちんと受け止めていれば、娘の命はなくならず、いじめたと認定を受ける子もいなかった」と語っている。
一連のいじめ自殺事件からはっきり分かることは、もはやいじめ自殺は学校は防げないという厳然とした「事実」である。
いじめもまた、学校は対処できないのだという「事実」である。
●T県では、来年度の教員採用試験に向けて、実施要項が改訂されるとの報道があったということ。
年齢制限、撤廃。4月1日現在で定年の60歳未満であればOK。
現在講師として勤務している者は一次試験免除。
講師の一次試験の免除は、当たり前で、もともと現在勤務している先生に、試験勉強まで強いていくのは無理があった。
このT県は、小学校教員では昨年の倍率が2.6倍。
10年前は30倍。
10年で、こんなに変わっている。
採用試験を受ける学生が極端に減っている。
新潟が、1.3倍、北海道も2倍を切ったと聞いている。
深刻な事態になろうとしている。
K県では、3年後には、非常勤講師が各学校へ配置できない事態がくると、県の校長会で報告されたと聞いている。
だから、学校で病気で休職になったりしたとしても、替わりの先生は来ないということになる。
これもまた深刻なことになる。
●20日は全国的に小学校の卒業式。
私も、11年前の退職の年、6年生を担任して卒業させた。
卒業式の前の日、卒業アルバムができてきて、子供たちはわーわーと歓声を上げて、アルバムに見入っていた。
そのうちに、一人ひとりが
「先生、一言書いてください」と余白にサインを求めてきた。
どこの教室でも行われている光景。
「青春しろよ!」と一言。
ところが、おとなしい男の子が、「先生、青春とは何ですか?」と聞いてきた。
『ああ~~、そう言えば青春という言葉はもう死語になっていたんだ!』と思い出して、ふと、
「青春とは、砂浜をみんなで走って、夕日に向かって『ばかやろう』と叫ぶことだよ」と。
その男の子は、「ぼく、~~~そんなことできません!」と走っていってしまった。
こんなことを思い出すのである。
●NHKのニュースを見ていると、いきなり桑田佳祐の「ひとり紅白歌合戦」が始まった。
「なんだ、なんだ!」と思っていると、桑田一人でそれぞれ紅白に分かれて、今まで紅白で唄われてきた歌謡曲を歌おうという企画。
全170曲を一人で歌おうという無謀な企画である。
新聞を見ると、「大衆音楽史 歌謡曲からJポップまでひとりで歌う紅白」と書いてある。
もう寝る時間なのだが、ついつい見入ってしまう。
びっくりしたのは、桑田のうまさ。
1つひとつの曲を自分のものにして、歌い繋げていること。
「桑田って、こんなに歌唱力があったのか!」と思わせてくれた。
30年の12月に収録されたものなので、ダイジェスト版になっている。
それでも、荒井由実(ユーミン)の「ひこう雲」は秀逸。レディーガガも桑田らしくておもしろい。でも、中島みゆきの「時代」は残念……。
桑田佳祐は飄々とした天才だったのだと改めて感じた時間だった。
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