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2019年1月

脳科学研究が私たちの研究を証明している(3) ~算数の共同研究から~

   
  脳科学研究が私たちの研究を証明している(3)
                                 ~算数の共同研究から~

 共同研究も、あと2ヶ月で第2次の取り組みが終わる。
 まだ、3学期の実践は残っているが、とりあえずここらでひとくくりをする。
 第1次、第2次の共同研究をやってきて出てきた成果は大きい。
┌────────────────────────────┐      
│ 算数の学力向上メソッド(今後「向上メソッド」と名付ける)              │      
│ を使うと、低学力児が引き上げられる。                                      │      
│ 支援級の子供たちにも効果がある。                                          │      
└────────────────────────────┘      

 このことがはっきりしてきた。
 先生たちの、多大な協力を得て、こうした成果を上げている。
 
  「向上メソッド」とは何か。
┌────────────────────────────┐      
│ ア 「授業」で例題の解き方をきちんと教え(インプット)、              │      
│   類題、練習問題で練習させ、理解させる(アウトプット)。           │      
│  イ 練習問題を「宿題」として出し、さらに理解を深める。              │      
│  ウ 翌日、授業の最初に「復習テスト」をして、昨日のアウト          │      
│     プットの理解(授業、宿題)が確実かどうか確かめる。              │      
└────────────────────────────┘      
 共同研究では、私が宿題と復習テストを作成し、担任の先生が「授業―宿題―復習テスト」(向上メソッド)を実践される。これだけのことなのである。
 2単元だけ私が作成し、あとは担任の先生が作成されている。

 気をつけておかなくてはならないのは、この「向上メソッド」は1つの方法だということ。問題解決学習も1つの方法だが、これも1つの方法である。
 
 方法というのは、使い方によってうまくいったり、いかなかったりする。
 それを決めるのは、目の前の子供たちである。
 この「向上メソッド」も、使い方を誤ると成果は出てこない。
 それを知っておくことである。
 また、大変困難な学級では、この方法は、すぐには浸透していかない。
 これは当たり前のことである。目の前の子供たちが、学習そのものを拒否すればどんな方法を用いても、うまくいかない。
 共同研でも、そういう結果が出ている。
 しかし、そんなクラスでも継続して使っていけば、そのうちに効果をあげていくと考えている。
 ★
 「向上メソッド」が、なぜこんなに効果を上げるのか。
 ここでしっかりと整理しておきたい。そんな気持ちになった。
 今まで繰り返し強調してきたのは、次のことだった。

┌───────────────────┐                         
アウトプットが何よりも大切だ!                  │                        
└───────────────────┘                         
 
 インプットは、授業の最初の例題指導だけ。あとは、授業後半のアウトプット(類題、練習問題)指導、宿題、そして翌日の復習テスト。
 全部「アウトプット」なのである。 
  「アウトプット」だらけと言っていい。

 『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版 樺沢紫苑著)の精神科医樺沢さんは、次のように指摘される。

 ★ ★ ★
 インプットをしたら、その知識をアウトプットする。実際に、知識を「使う」ことで脳は「重要な情報」ととらえ、初めて長期記憶として保存し、現実にいかすことができます。これが脳科学の法則です。
 ★ ★ ★

 インプットした知識を、実際に「問題を解く」というアウトプットを行うことで長期記憶として保存するわけである。 

「長期記憶」をもう少し引用する。

 ★ ★ ★
 人間の脳は、「重要な情報」を長期記憶として残し、「重要でない情報」は忘れるようにつくられています。「重要な情報」とは、インプットしたあとに何度も「使われる情報」です。
 つまり、インプットしても、その情報を何度も使わないと、すぐに忘れてしまうのです。
 脳に入力された情報は、「海馬」というところに仮保存されます。その期間は、2~4週間です。海馬の仮保存期間中に、その情報が何度も使われると、脳はその情報を「重要な情報」と判断し、「側頭葉」の長期記憶に移動します。
 ……
 だいたいの目安として、情報の入力から2週間で3回以上アウトプットすると、長期記憶として残りやすくなるといいます。
 ★ ★ ★

  脳科学の研究成果を踏まえて、樺島先生は書かれている。
 これを読むと、「向上メソッド」が何をやっているかということを理解してもらえるであろう。
 私は、この本を読む前にすでに「向上メソッド」を使っていたことになる。

 私たちが行っている「向上メソッド」に引き寄せて言えば、次のようになる。
┌─────────────────────────────┐    
│ 授業ー宿題ー復習テストの3回のアウトプット、しかも同じ                 │   
│ 問題でのアウトプットで、重要な情報として記憶される。                   │   
│ そして、単元テストでもう一度問題を解くことで長期記憶と                │   
│ して残っていく。                                                                         │   
└─────────────────────────────┘    
 
 ここまでで分かることがある。

  ○教科書で1回問題を解くだけでは子供たちの記憶に残ら
   ない(特に低学力児には残らない)。
     だから、授業だけで何とかしようとしても限界がある。
   
  ○問題解決学習のように、1問の例題を時間をかけて自力解決
   させ、そして、問題を解かせるアウトプットの時間を限りなく
   少なくする算数学習がうまくいくはずがない。
   ほとんどがインプットだけであるから。
   だから、私たちが、問題解決学習では、低学力児を引き上げ
   られないと主張していたことは、脳科学で証明されていること
   になる。
                                             
 


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つれづれなるままに~今年の目標の1つがけん玉への挑戦

●2019年の目標の1つが、けん玉の飛行機、ふりけんができることを上げている。
 家内からは、「ほんとによほど暇ね!」と言われる(笑)。

 こんなことが目標になるのかと思われるだろうが、りっぱな目標である(笑)。
 けん玉のおもしろさを見つけたのが、昨年のこと。
 「認知症に良い!」「スクワットになるから健康に良い!」と言われて始めてみたのである。
 いやいや、おもしろい。
 家内もやりだした。娘をやり始め、娘の旦那も始め出した。
 周りで、ちょっとしたブームになったわけである。
  
 順調にできるようになったのだが、飛行機(5級らしい)で壁にぶつかってしまった。
 どうしてもうまくいかない。
 娘の旦那が、飛行機がうまく行きだしたと聞いて、「むっ!」としたわけである(笑)。
 どうしてできないんだろう、と。
  これだけはどんなに試行錯誤を繰り返しても、なかなかできない。
 ★
 ここでやむなくいろいろな動画を探す。
 でも、ぴったりする動画がなかなかない。
 うまくいかないのである。

 ところが、「初心者以外は絶対に見ないでください」のてるさんの動画を見て唸ってしまった。
「これだよ~~~~~」という感じ。
 てるさんは、飛行機ができるようになるまでの一連の動作を4つに分解して、そこでのコツを丁寧に教えている。
 最初から全部やろうとするからできないのだ、ということを忘れてしまっていたのである。
 飛行機は、次の動作を1つ1つ練習をすればいいと教えている。

 ①玉をもってケンをはなす。この時、ぶれないこと。
 ②ケンを引く。引くタイミングに注意する。
 ③ケンを上に引きながら、角度を調節する。
 ④ケンと一緒に膝を曲げながら玉を受ける。

 けん玉をやったことがない人にとっては、さっぱり分からないことだが、これを1つひとつやっていけばできそうだと分かってくる。

 なにごとも、いかに細分化できるかどうか、なのである。

●久しぶりに単著の本を出す。
 『新卒時代を乗り切る!教師1年目の教科書』(学陽書房)。
 3月6日発売に決定した。
 
 初任者へ向けての本は何冊も出してきた。
 今回は、その集大成のような本になる。
 もうこの分野での本はおしまいである。

 ただ、この本は、初任者に向けたものであるが、書いているときには、常に多くの先生へ向けてのことを意識した。
 ぜひとも読んでほしいと願っている。

●北海道へ行く準備をしている。
 室蘭へ行く。学校訪問である。
 寒波がやってきていて雪が降っている。

 一昨年は、雪のため新千歳空港で飛行機が欠航になり、大変な目に会った。 あの経験があるので、今回は存分に準備している。
 今回は、何もないことを祈るばかりである。 

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特別支援級で、これほどの実践ができている(2)

 
    特別支援級で、これほどの実践ができている(2)
           ~算数の共同研究から~

 特別支援級の先生にも、この共同研究に参加してもらった。
 情緒クラス。1年生の4人。

 新しいことへの抵抗感が非常に強く、同じ問題でも印刷が違うだけで(たとえば、カラーと白黒)パニック状態になり、泣き叫んだり暴れ出したり、そして教室を飛びだしたりする子供ばかりの学級。
 授業自体も成立しないことも多々あるということ。

 そこで、今までは、まずはテストというもののやり方を学ぶ、慣れるという意味で、テストをそのままコピーして何度も練習して本番に臨むという形を取ってきたという経過。
  当然、自力でテストを解く自信がない子にはやり方のヒントを与えたり、問題文を読めない子には、テスト問題を読んであげたりする。
 だから、これまでの成績は、正規にやった成績ではない。
 ★
 今回の共同研の単元は、初めてテストのコピーを使わず、子供たちが自力でテストに向かうようにした、と。

 単元は、「3つのかずのたしざん、ひきざん」。
  私との共同研究の第1単元である。

 結果は、表が75/100 裏(数学的考え方)が37.5/50。

 通常学級の結果は、表が87.5 裏が39.6。

 この時に驚くべきことに、知的に遅れのあるB児が、70/100、50/50を取ったことである。

 ちなみに、通常学級では、B児より点数が取れなかった児童が3人、同じ点数が3人ということである。
 支援級のB児の成績は、快挙ということになる。
 ★
 授業は、「味噌汁・ご飯」授業で行われている。
 引き続き、共同研究の第2単元を行う。
 
 この方法で学習することで、徐々に子どもたちに変化が表れてくる。

 ①教室飛び出しや離席が少なくなりました。学習に取り組もうという姿勢
  が見られるようになりました。
 ②テストに慣れてきました。パニックを起こさなくなってきました。
 ③自力解決ができるようになってきました。
 ④できるという実感をもつと、何事にも前向きに取り組めるようになりま
  した。

 子供たちに合わせて、授業の仕方やプリントのやらせ方を工夫されている。
  そして、共同研のあとの単元では、以下のような成績をあげるようになっていくのである(担任の先生が、資料は作成されている)。

                       技能   考え方    知識・理解

A児
 ひきざん           50    50     50
 くらべかた                 100
 B児
 ひきざん      50        40     40
 くらべかた                                 90
 C児
 ひきざん      50    40     40
 くらべかた                  80

 D児         未実施

 あれほどにできなかった子供たちが、これほどにできるようになっている。
  何が起こったのか、ということになる。
   

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すごい結果が出る!~算数の共同研究から~(1)

    
    想定以上のすごい結果が出る
         ~算数の共同研究から~(1)

 
 算数の共同研究をやっていることは、このブログで何回もお知らせしてきた。
 第1次、第2次の研究が終わろうとしている。
 その結果は、想定していた以上の、多大な成果であった。
 参加してもらった先生たちは、日本全国からの13人ほど。
 臨任の先生、初任の先生、特別支援の先生、ベテランの先生など多彩な陣容。
  ★
 研究の目標は、2つ。
 
 1つ目は、クラスの低学力児を引き上げること。
 10,20,30点を取っている子供を、60点、70点、80点に引き上げていくこと。
 
 2つ目は、クラスの平均点を90点以上にすること。
  しかし、これはクラスの実態によってかなり違ってくる場合があり、無理をしないこと。

 1つ目の目標が、最大のねらいである。 
 ★
 目標があれば、目的もある。
 これらの目標の達成を通した目的がある。

  クラスにいる低学力児たちに、「自分でもやればできるんだ!」
  「勉強が楽しくなってきた!」という意欲と自信を持たせること。

 私は、教師生活37年間の中で、ずっと志してきたことがこのことであった。
 だが、ほとんどできなかった。
 ところが、現役を終えて、「味噌汁・ご飯」授業を提唱することになる。
 そこで、「こうすればいいんだ!」という構想が出てくる。
 その構想を、共同研究という形で、先生たちに手伝ってもらったわけである。
 ★
 結果は、繰り返しになるが、想定していた以上の、多大な成果であった。 
 

 〇臨任の先生のクラス(1年生)。
 たし算の単元が、技能50 考え方50 知識理解50。
 ひき算の単元で、技能49 考え方47。
 だから、このクラスは、低学力児がいなくなっている。

 〇初任の先生のクラス(3年生)。
 わり算の単元が、技能49、考え方48、知識・理解49。
 計算の仕方の工夫、暗算が、技能48、考え方45、暗算技能48。
 低学力児は、最低の子供で、テストの表が70点(わり算)、80点(計算の工夫)となっている。

 こういう結果を上げている。
 
 

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現状の学校制度は破綻します?

  正月にフェイスブックで、以下のように上越教育大学の西川純先生が書かれているのを読んで、「ああっ~~」というため息がでました。
 
  ★ ★ ★
 私は苛つき、怒り、吠えます。

 私が100年のスパンで物事考えられたら、いや、20年ぐらいのスパンで物事を考えられたらゆったりと構えていられます。数十年に現状の学校教育制度は破綻します。もし、そうなっていなければ日本が破綻します。

 日本は工業化社会では生きていけません。それで生きようとするならば、現在の発展途上国並みの生活に戻るしかありません。先進国として生き続けようとしたならば、「個性化」「総合化」「非同時化」「分散化」「適正規模化」「地方分権化」した教育で個別最適化した製品・サービスを生み出さなければならない。その脱工業化社会を文部科学省は工業化社会のコードである、「規格化」「分業化」「同時化」「集中化」「極大化」「中央集権化」でやろうとしている。無理です。

 学校は就職予備校ではないと思っている教師には、経済・産業界が求める人材は育てられません。ここ20年の中央教育審議会の答申にある「社会」とは経済・産業界という言葉に置き代えれば、答申の真意が分かります。現在の学校制度はことごとく形骸化しました。

 経済・産業界は日本の学校教育が育てられない人材を海外に求めました。これからどんどん外国籍の子どもが学校に入ってくる。その多様性を日本の学校は受け止めることは出来ないでしょう。

 だから、現状の学校教育制度は破綻すること、そうなっていなければ日本が破綻することを確信しています。しかし、日本が破綻する前に為政者は学校制度を変えるでしょう。たとえ100万人弱の教師が反対しても、国鉄をJRにしたように。

 だから、頭も心も研究者だったらゆったりと構えればいいかもしれませんが、私には出来ません。私は教師ですから。頭は研究者ですが心は教師です。

 バブル崩壊してから学校教育を卒業し社会出たが非正規雇用になった人たちは五十代に突入しようとします。その人たちの中には独身で、生活保護での老後に突入する人たちが多いのです。目の前にいる子どもたちの半数はそういう未来に繋がっている。これは私の妄想ではなく、政府統計に基づいています。

 私は教育を現象とみていない、子どもたちという言葉を使うとき、リアルな一人一人の子どもを想定しています。ぽつんとしている子どもが『学び合い』で救われるとき涙を流して喜びます。しかし、同時に孤独の中にいる子どもを想像し涙します。

 日本の子どもの2割はちんぷんかんぷんな授業を週30時間聞かなければならないという拷問を12年間受けなければならないのです。

 余裕を失い、教育力が低下した職員室は、多くの教師の心を蝕み、退職に追い込みます。

 ということを知っている私は数十年レベル、ましてや百年レベルでゆったりと構えることは出来ません。だから、私は苛つき、怒り、「なんで、視野が数年レベルを超えず、面白い授業、分かりやすい授業レベルを超えられないんだ!」と吠えます。そして、「リアルな子どもたちは現在も不幸だし、今後、悲惨な未来に誘っているのは自分たちと自覚せよ!」と。
 ★ ★ ★
 西川先生は、言っています。
「数十年に現状の学校教育制度は破綻します。もし、そうなっていなければ日本が破綻します。」と。

 私もまた、5,6年前から「このままいけば、学校は崩壊する」と、このブログで書いてきました。
 「ハコモノは残っても収容所状態になる。そこで、子供たちへの教育ができなくなる」と言ってきました。

 私の場合は、各地の情報に基づいた実感で言っていたわけですが、西川先生はその根拠を明らかにされています。
 
 西川先生が学陽書房から出された『2030年 教師の仕事はこう変わる!』という本を読めば、その根拠もはっきりします。

 賛成するにしろ、反対するにしろ、こういう現実に置かれていることだけははっきりすることでしょう。

 実に暗い話ですが、ここから何ができるのか、私たちに突きつけられています。教師としての生き方が違ってくるのかもしれません。
  

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あけましておめでとうございます。

  あけましておめでとうございます。
 2019年が始まりました。
 関東は、正月より天気が良くて、平穏に過ぎています。
 それでもあっという間に、もう10日になりました。
 ジェットコースターみたいに月日は流れていきます。
 
 一部の方を除いて、昨年をもって年賀状を終わりにいたしました。
 今年いただいた方は、ほんとに申し訳ありません。失礼をいたします。
  ★
 「人生の午前中と午後では、生き方が違ってくる。人生の午後にさしかか った時に、午前とは違う、より豊かに成熟した生き方にシフトしていける かどうかが、中年期の大きな課題の1つだ」
 心理学者のカール・ユングは、こう言いました。
 人生の午前と午後という「ものさし」を、ユングは提起しています。
 
 「人生の午後」というものさしで見ると、人生の午前中に、勢いをもって生きていた人が、午後になって、その生き方を変えきれずに、不幸になっている人がいます。

 反対に、人生の午前中には、さして勢いがなかったのに、午後になって、午前中の経験を活かして、しなやかに凜々しく生きている人もいます。

 「人生の午前から午後へシフトする」とは、どうすることでしょうか。
 ★
 もう私は、とっくに人生の午後になっています。
 午前中にやっていたことを、同じようにやれるはずはありません。
 やろうとすれば、大きな間違いをすることでしょう。

 「午前とは違う、より豊かな成熟した生き方」とは何か?
 今年1年は、このことをじっくり考えて過ごしていきたいと願っています。
 


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