« つれづれなるままに~しゃべるロボットみたい~ | トップページ | 日常授業の改善ということ »

甲子園白山高校の快挙から算数教育を考える!

 今年の夏の甲子園は、2校の県立高校が大会を盛り上げた。
秋田の金足農業と三重の白山高校である。
 金足農業高校は、吉田君という豪腕ピッチャーで勝ち抜いていったことは皆さんが知るところ。
 ところが、三重の白山高校は、そんな特出した選手はいない。
 こんなチームが、どうして予選を勝ち抜いたのか。
 
 三重県は、高校野球で特別に弱いところでない。
 三重高校は、春の選抜でベスト4に進んでいる。
 ここには、松阪商業という強豪校もいる。
 この松阪が、今年は1回戦で三重を破っている。

 こんな中で、白山高校が登場してきている。
 甲子園では、1回戦で敗れたのであるが、そんなことは問題ではない。
 この登場に、報道ステーションは、12分をさいて異例の報道をしたほどなのだ。

 プロ並みの甲子園常連校の中で、部員数人という白山高校に赴任した東先生が成し遂げたことはすばらしいという一事。
 
 誰も予想しなかった快挙。
 きっと選手たちも信じられなかったに違いない。

 東先生は、何をしたのか、ということになる。
 高校野球は、ほとんど監督の技量が、すべてを決定していくのである。
 ★
 実は、このことをくわしく教えてくれたのは、いつも愛読している中林則孝先生の「教室はドラマ30」。
 初任者向けに出されている通信である。
 中林先生は、三重の白山高校の近く。
 
 中林先生の通信に、とても興味深い記事が出ている。
 「なぜ白山は強いのか」という記事。

 ★ ★ ★
 テレビ報道で知ったことですが、年間の試合数が160とのこと。この数字は常識的にはあり得ないことです。1年間は52週ですから、毎週土日に試合をしても100ちょっとです。160という数字は全国の高校野球の関係者を驚かせたはずです。
 1日に2試合をすることで160という試合数が可能になったようです。この試合数をこなすだけでもパワーやスタミナをつけることができるはずです。三重県大会で決勝を戦った松阪商の監督は「うちの選手は疲れ果てていたけど、白山の選手はピンピンしていた。練習試合の回数の違いだろう」とコメントしていました。
 ★ ★ ★
 160という試合をこなすことに賛否はあろう。
 しかし、これで普通の弱小の高校チームが、強豪校を破ったのである。
 それについて、中林先生は、次のようにその秘密を書いている。
 ★ ★ ★
 私はもう一つ思うことがあります。
 それは「練習」と「試合」は質が異なることです。練習はインプットといえます。対して試合はアウトプットです。
 脳科学者は「インプットだけではなくアウトプットをも取り入れる方が学習効果が高いこと」を実証しています。
 ……略……
 つまり練習ばかりするのではなく、試合を多くすることで強くなるということです。試合が多いというと、マラソンの川内選手を思い起こします。川内選手は常識外のレースを経験しています。レースそのものが質の高い練習になると川内選手はいいます。
 ★ ★ ★
 ここには、大事なことが言われている。
  公務員ランナーの川内選手が、プロのアスリートたちをなぎ倒して勝っていった秘密も、書かれている。

 このことは十分に考える必要がある。
 ★
 ここからまったく違う話題に引き寄せて語らせてもらう(笑)。
 「味噌汁・ご飯」授業の算数授業についてである。
  「味噌汁・ご飯」授業の算数について、この授業は子供たちに「思考力」を身に付けさせることができないという批判を受けることがある。
 
 「だって、どこにも思考させるところがない。ただ、教え込んでいるだけではないですか!」と。
 「じゃあ、反対に聞きますが、あなたの授業はどこで思考力をつけているのですか?」
 「私の授業では、最初の問題で自力解決として十分に時間をとって子供たちに考える時間をとっています」と。
 「それで思考力はついているのですか?ついていると何で評価しているのですか?」
 「……だって思考する時間は十分取っているのですから!」
というようなやり取りになる。

 ここには、「思考する授業」と「思考力をつける授業」の混乱がある。
 この2つを取り違えている。
 「思考する場面」を設定すれば、子供たちに「思考力」がつくという短絡化した発想がある。
 
 考えていただきたい。
 水泳のクロールの泳ぎ方についていろいろ考え、話し合いをして練り上げていけば、クロールが泳げるようになるのか。
そんなことはありえない。誰だってそれは分かる。
 
 クロールが泳げるようになるには、泳ぎ方の技術を教えてもらい(「インプット」)、水の中で何度も繰り返し練習(「アウトプット」)をしなければ泳げるようにならない。
 
 これは、スポーツ、音楽、料理、演劇、芸事などすべての技能を習得するものには共通なこと。
 技術を与え、その技術を使いこなす技能を高めさせていくアウトプットが大事になる。

 算数学習でもそうなる。
 子供たちに問題の解き方をきちんと教え(「インプット」)、その解き方を使って数多く練習問題に当たって、解いていく(「アウトプット」)。そのプロセスの中で算数の「思考力」は身に付いていくはずである。

 それを「味噌汁・ご飯」授業の算数はめざしている。
 ★
 要するに、1問だけの自力解決の授業は、インプットばかりで迫ろうとしている。

 算数の「味噌汁・ご飯」授業は、「インプット」から「アウトプット」へのつなぎをきちんとなして、勝負は「アウトプット」の練習問題を解くことだと考えている。
 そして、そのための布石を打っている。

 クラスにいる算数の低学力児を、確実に引き上げていく手立ては、この「アウトプット」にあるのだということではないか。

 今までの算数教育は、このことをほとんど問題にしていない。
 「インプット」ばかりを云々してきたのである。
 ★
 最初の中林先生の指摘に戻りたい。
 白山高校の快挙や川内選手の試みは、「アウトプット」への取り組みにその秘密があったのである。

 同じように、全ての学習も、ここにポイントがあることを知るべきである。
 
 

|
|

« つれづれなるままに~しゃべるロボットみたい~ | トップページ | 日常授業の改善ということ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/520860/67130802

この記事へのトラックバック一覧です: 甲子園白山高校の快挙から算数教育を考える!:

« つれづれなるままに~しゃべるロボットみたい~ | トップページ | 日常授業の改善ということ »