クラスの荒れをどうするか(2)
小島先生の「初任指導訪問記」を読んでもらうと、明らかになることが1つある。
ほとんどの初任者指導の先生たちが、担当する初任者を指導するのは最初から授業についてのことである。
初任者は、2日目か3日目に授業を始める。
彼らは、授業を何とかしなくてはならないと思っている。だから、早々に始める。
初任者指導の先生たちも、授業の指導を始める。
ここは、初任者も、指導の先生も思惑は一致する。
ひどい指導者は、指導案まで書かせる。
両者とも、最初は、「学級づくり」なのだということは、想定にない。
ところが、小島先生は、「学級づくり」から入られている。 最初に指導されている指導技術は、「指示ー確認」の原則である。
これは、授業でも大切なものだが、子供たちを動かしていく技術として最重要なものと言ってよい。
★
「授業づくり」を通して学級づくりをするという主張がある。
昔は、そういう主張をする実践家は数多くいた。
今でも、そういう主張をされる。
たとえば、このような言い方になる。
「学級づくりと授業づくりを分けて考えたのでは効果はでません。授業の中でこそ、学級づくりをするという意識が大切です。」
「学級づくり」の考え方が、私とは違う。
第一、この考え方は、中学校では通用しない。
授業は、教科によって違うのであるから。
また、初任の先生たちにも、なかなかこの考え方は通じない。
上越教育大学の赤坂先生の考え方がある。
★ ★ ★
学級づくりの目的は子どもたちを群れから集団、つまりチームに育てることだと私(赤坂真二)は思います。子どもたちは、一日に5人くらいの子どもとしか会話していなことが調査でわかっています。今、学級は放っておくとバラバラで学級がその体を為さなくなってしまいます。
学級のチームづくりは、4月の最初の7日以内に学級の生活や学習ルールを一通り指導し、30日間で定着するよう繰り返し指導するようにします。
30日間で一斉指導の体制を定着させたら、そこから、徐々に子どもの自由度を増やしていきます。2か月くらいかかります。
★ ★ ★
明快である。
赤坂先生は、「学級づくり」の目的は、子供たちを群れから集団、つまりチームを育てることだと定義されている。
私も同じである。
第1の目的は、クラスの子供たちが一番望んでいる「安心 感」を確保するため。
第2の目的は、子供たちが自分たちでクラスを動かしていく「集団」を育てるため。
そのために、「学級づくり」3原則(関係づくり、仕組みづくり、集団づくり)を設定する。
そして、その「学級づくり」は、1ヶ月が勝負となる。
「3・7・30の法則」で勝負する。
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初任の先生は、授業から始めて行く。
初任者指導の先生も、授業の指導から始めて行く。
ここには、授業さえうまくいけば大丈夫なのだという考え方がある。
しかし、初任の先生は、そんなにすぐに授業はうまくいかない。当たり前である。
子供たちが荒れてくる。
そうすると、指導の先生は、「あなたの授業がおもしろくないから、子供たちが退屈し、荒れてくるのだ」と指摘する。
初任の先生は、確かにそうだと納得し、必死に教材研究をしようとする。
でも、何をやればいいか分からない。
指導書を何度も読み直し、指導案を作ろうとする。
余裕があれば、ネット検索をする。
夜の8時、9時まで。
それでもクラスはなんともならない。
つくづく嫌になってしまう。
「自分は、教師に向いていないのだ!」と。
こんなことが展開されていないだろうか。
★
ここには、大きな間違いがある。
クラスが荒れてくるのは、授業がおもしろくないということではない。
「授業、授業だ」という視点からしか見ないから、こういう結論になる。
授業ではない。やり方(「学級づくり」)がまずいから、そうなっているのである。
授業は、いまできることを精一杯やればいいのである。
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