私は長いこと過去の失敗や挫折や間違いなどに苦しめられてきた経験がある。
調子が悪くなると、とたんに過去のさまざまな問題が思い出されて、またさらにその問題に苦しめられる。
そんなことをずっと繰り返してきた。
最近は、そんな過去が出てきたら、さっと忘れていく訓練ができているので、悩まされることは少なくなったのだが…。
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自分のことが嫌いだという人がいる。
びっくりするのは、意外とこんな人が多いということ。
「自分が好きになれない!」と。
そんな人を見ると、やはり過去に苦しんでいるんだなと思ってしまう。
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ところが、最近以下のような言葉に出会って驚いた。
「過去は変えられますよ」と。
「えっ~~、そんなわけはないだろう!未来は変えられるが、過ぎてしまった過去は変えられるわけはないだろう!」と思っていたからである。
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この本に出会って、しみじみと思った。
もう少し若い頃にこの本に出会っていたなら、私の人生も変わっていたのではないか、と。
でも、いやいや反対にこうも思った。
「今だからこそ、この本の価値が自分の中にすとんと落ちてきたのであろう」と。
その本とは、『自分さがしの旅』(斎藤一人著KKロングセラーズ)。
この一人さんの本は今までも読んできていた。
しかし、どうにも馴染めない考えがあり、真面目に読んでこなかったものである。
この本も最初は読むのを迷った。
「自分さがし」という言葉は、大嫌いな言葉だったから。
しかし、読んで見て「ほんとに良かった!」と思った。
私の人生(といっても残り少ないのだが)は、これで変わるよと思ってしまう。
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過去を変えられるという話の続きである。
斎藤一人さんは語る。
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過去は変えられないけど、未来はどうにでもなる―という話、聞いたことあるだろ?
でも、どうにもならないよ(笑)。
あなたの、その嫌な過去を変えないで、未来はしあわせ、って無理。なぜなら、あなたは子どものときから、ずぅっーと否定漬、貧乏漬にされてきて、不幸グセがついちゃってるから。そういう人は、今日も、明日も明後日も、ずぅーっと不幸なんだよ。
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一人さんは、周りにいる人に話している、こういう口調スタイルで話は進んでいく。
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オレは「過去はどうにでもなる」っていうんだよ。
過去って、自分の頭のなかにある思い出だからな。
思い出ってのは、どうとでも、自分の好きなように書き変えられるんだよ。
オレたち、歴史上の人物じゃないんだから、そんな、歴史の教科書に載っかってるわけないからね(笑)。
変えちゃっても全然問題ないの。
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さてさて、どうやって変えるんだろうということになる。
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だから、自分が否定的になっちゃったときね、消極的になったり、落ち込んだり、悲しくなっちゃったときに、
「この思いは、どこからきてるんだろう」
一回、過去にもどって考えてみる。
だから、一人さんの“自分さがしの旅”とは、自分の記憶のなかを旅するの。自信を失う前の自分、否定漬にされる前の自分、こわがりだとか、心配性だとか、そういう性質をもつ前の自分に会いに行く。
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ふんふん、それで……。
話は続く。
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それと同時に、過去に自分が失敗したこと、恥ずかしく思ったできごと、自信を失ったことや傷ついたこととか、思い出すといい気持ちがしないような過去を一個一個、“いいこと”にひっくり返しちゃうの。
オセロで黒いコマを白に変えるみたいに、変えちゃうんだよ。
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こう言われたら、「えっ~、思い出すと良い気持ちがしない過去を“良いこと”に変えちゃうというけど、そんなに簡単にできるの?」と反論したくなる。
今までさんざんこの忌まわしい過去に悩まされてきたのだから。
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斎藤一人さんは、どうやってひっくり返していくのか。
それが問題である。
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だから、必ずね、悪いことの反面には、“いいこと”があるの。そしたら、“いいこと”を強調するの、自分の人生で。悪い方へ目が行っちゃうとよくないから、“いいこと”を強調する。
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確かに、物事には「いいこと」と「悪いこと」がある。
忌まわしい過去は、この「悪いこと」が前面に出て、忌まわしくなったのである。
だが、一人さんみたいに、その過去を今から振り返って、「ふりかえってみれば、いいことはなかったのか?」と考えれば、「あるのだ、あるのだ!」。
「あの事件は思い出しても冷や汗が出てくるけど、あの事件がなければ、人間関係の大変さに気づけなかったなあ!」
「あんな失敗をしてしまったけど、今度は身構えるようになっているじゃないか!」
と考えていくのである。
………………
このように、今からは、その「いいこと」として処理していけばいいのである。
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過去にもどって、このマイナスの出来事は、これこれ、こうだから、よかったんだ。
そうやって、どんどん、どんどん、マイナスの過去を“いいこと”に解釈ができるようになると、この先、起きることについても、“いいこと”に、“いいこと”に解釈できていく、と。
そしたら、これからはゼッタイ不幸になんかなれない。
ずっと、ハッピーにしか、なりえないんだよ。
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感心した。なるほど、なるほど、こうやって考えていけば、過去に悩まされることはなくなってくるのである。
私たちの人生に起こってくることは、自分にとって「必要、必然」なのである。
それをマイナスとしての出来事ではなく、「いいこと」として引き受ける。
できそうである。
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斎藤一人さんに、マイナスの出来事は起きないのか?
その時にはどうするんだろうと、思ってしまう。
書いてある、書いてある。
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ちなみに、一人さんは「自分の人生は喜劇」と決めてるの。
だから、オレの人生、おもしろくてしようがない。
何が起きてもおもしろいんだよ。
だって、オレは、喜劇なんだよ。
だけど、なかには「悲劇」と決めている人もいる。
そういう人の人生って、何でも悲しくて、何しても泣くんだよ。だけど、その悲しいドラマ、本当は、いとも簡単に変えられるの。
脚本変えればいいんだよ。
それで、オレたちはね、主役で脚本家なんだよ。
だから、一人さんは、たとえ、ものすっごい苦労がきたって、「笑い」なんだよ。
ふつうの人なら自殺しちゃうようなことでも、オレだったら大笑いなんだよ。
なぜかというと、「喜劇だ」って決めてるから。
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大変な世界だなと、思う。
これほど価値観をひっくり返すというのは、簡単ではない。
こんな生き方に初めて出会っている。
斎藤一人というのは、何者であるのだ、と思われるだろう。
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ダイエット食品「スリムドカン」などの商品で知られる化粧品・健康食品会社「銀座まるかん」の創設者。1993年以来、全国高額納税者番付12年連続6位以内にランクインし、2003年には日本一になる。土地売買や株式公開などによる高額納税者が多い中、事業所得だけで多額の納税をしている人物として注目を集める。
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私はすでに過去に悩まされることはなくなっている。
すっきりしたものである。
まだ、一人さんみたいに自分の人生を「喜劇」だと考えていくことはできない。
だが、これから起こる困難や失敗や不幸なことなどに、こうして立ち向かっていくことはできるはずである。それをこの本で教えてもらった。
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