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2018年4月

『AI VS 教科書が読めない子どもたち』の与えた衝撃!(3)

  新井先生の「教科書が読めない子どもたち」について、もう1回だけ書いておかなければならない。

 アクティブ・ラーニングについてである。

 これから学校現場は、導入をしなければならない。
 学習指導要領の内容であるので、公立の学校は無視できるわけではない。実践しなければならない。
 問題は、どのように実践していくかにかかっている。
 ★
 新井紀子先生は、アクティブ・ラーニングについては強烈に批判されている。「アクティブ・ラーニングは絵に描いた餅」である、と。

 ★ ★ ★
(アクティブ・ラーニングの説明をして)なんだかとても魅力的に聞こえます。でも、ちょっと待ってください。教科書に書いてあることが理解できない学生が、どのようにすれば自ら調べることができるのでしょうか。自分の考えを論理的に説明したり、相手の意見を正確に理解したり、推論したりできない学生が、どうすれば友人と議論することができるのでしょうか。「推論」や「イメージ同定」などの高度な読解力の問題の正答率が少なくとも7割ぐらいは超えないと、アクティブ・ラーニングは無理だろうと私は考えています。
 ★ ★ ★

 ★ ★ ★
 意味のあるアクティブ・ラーニングを実施できる中学校は、少なくとも公立には存在しません。高校でも、ごく限られた進学校です。
 このような絵に描いた餅が学校現場に導入された責任は、文部科学省よりもその方針を決定した中央教育審議会、そしてその構成員である有識者にあります。私のような一介の数学者がRSTを発明するまで、なぜ「中高生は教科書を読めているか」という事実を考えようとも、調べようともしなかったのでしょうか。なぜ、数十年前に卒業した中学校の記憶と、自分の半径5メートル以内にいる優秀な人たちの印象に基づいて、こんな「餅」の絵を描いてしまったのでしょうか。 ★ ★ ★

 ★ ★ ★
 AIと共存する社会では、多くの人々がAIにはできない仕事に従事できるような能力を身につけるための教育の喫緊の最重要課題は、中学校を卒業するまでに、中学校の教科書を読めるようにすることです。世の中には情報は溢れていますから、読解能力と意欲さえあれば、いつでもどんなことでも大抵自分で勉強できます。
 ★ ★ ★ 

  ★
 「教科書が読める子どもたち」を育てるというのは、最重要な喫緊の課題であると、新井先生は言われる。

 これは、中学校の課題でもあるが、大きく小学校の課題でもある。
 新井先生は、読解の基礎である6つの能力が、小学校教育でうまく育っていないことをRSTの調査で明らかにしている。

 その課題のために、何をやればいいのか。
 これから、この課題の対策を考えていかねばならない。
 これこそ喫緊の課題になる。
 私が考えられることは以下のこと。

 ①新井先生が言われる「教科書が読める」というのは、何を意味しているか、まずそれを明らかにする。
 ②新井先生が言う教科書を読めるというのを、どのようにすれば指導として位置付けることができるか。
 ★
 数人の親しい友人たちに、ぜひともこの本を読んでほしいとメールを出した。
 どの先生も異口同音に「音読」をいかにさせるかが重要だと返ってきた。

 確かに、小学校の現場は、「音読」をほとんど重要視していない。

 現状は、以下のことである。
 ①国語の授業で、教科書を1,2回読ませて済ませてしまっている。
 
 ②音読カードで宿題にしている担任は多い。
  家庭で音読をしてカードにハンコを押してもらってくるというやり方。教室ではいい加減な音読指導をしておきながら、こんな宿題で間に合わせている。このハンコが 「めくらばん」になっていることが分かっていない。
 
 ③算数の授業で、例題の1問を読ませるのに、単に1,2回読ませるだけで式を書かせている。
   内容をつかめないままに、音読を済ませている。
  他の教科についても、同じような傾向になる。
  ★
 音読指導の重要性は分かる。
 でも、それだけで事足りるわけではないだろう。
 おそらく、今までの国語教育を含めて、根本的に考え直していかなければならないのではないだろうか。

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ゲーミフィケーションの発想

  知り合いの友田真先生が、2冊目の単著を出された。

『授業や学級づくりを「ゲーム化」して子どもを上手に乗せてしまう方法』(黎明書房)。
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  子供たちがどうしてあんなにゲームにのめり込んでいくのか?
 その魅力を授業や学級づくりに生かすというのは、実におもしろい発想になる。
 「ゲーミフィケーション」というらしい。

 この「ゲーミフィケーション」というのは、岸本好弘氏の『ゲームはこうしてできている』(ソフトバンク株式会社)の定義によるもの。
 
 この本を読みながら、私が各学校で授業をする詩の授業はまさにゲーミフィケーションの授業ではないかと思ったものである。
 ★
 先日中津小学校で行った授業でも、(   )の中の言葉を当てる際に、正解だったら、「やったー」と叫び、外れたら「涙ボロボロ!」というポーズを入れるのである(これは福山憲市先生の講座で学んだ)。

 たったこれだけのポーズである。
 しかし、これは子供たちを詩の授業に引き込んでいく手法なのである。
 ゲーミフィケーションで言えば、「称賛演出」ということになる。
 
 また、詩の授業では、「小刻み活動法」で授業を組み立てている。指導言ー活動を小刻みに繰り返すわけである。
 これは、ゲーミフィケーションによれば、「達成可能な目標設定」になる。
 ★
 そうなのである。
 「つまらない授業」も(毎日そんなにおもしろく、楽しい授業などできるはずはない)、このゲーミフィケーションの発想を入れれば、子供たちは乗ってくるではないか!

 

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再び福山憲市先生のこと

  私が先日書いたブログで、福山憲市先生から以下のコメントをもらった。

 ★ ★ ★
野中先生
残り3年、担任を続けるつもりでした。ただ、残り3年計画を立てていて、自宅近くの学校で最後を締めくくるという思いがありました。転勤し、新しい地で担任をと思っていたのですが、教育委員会から学力向上の一役にと。今までも同じ立場の依頼をいただいたこともあったのですが、その当時は担任道しか見えていなかった頃。断ることができたのですが、間もなく58才。育ててもらった山口県、下関に恩返しをする時なんだなあと思い、自分を優先せずに、二つ返事でOKしました。1週間経ち、多くの学校に行き、担任の先生方の姿をいつもうらやましく見ています。でも、その裏方になることも自分の年齢の役目なのかなあとしみじみ感じている日々です。先生に、学級をお見せすることができなかったことが心残りです。でも、先生の背中を追って、日常授業の改善の一役になれるよう、多くの学校で頑張っていきます。
投稿: 福山憲市 | 2018年4月15日 (日)
★ ★ ★

 福山先生がこれからどんな仕事をされるのか、とても興味があることである。
フェイスブックには、興味があることが書かれている。
 
 ★ ★ ★
市販テストの平均点が必ず95点以上になるシステム

昨年度5年生、一昨年度6年生担任。
久しぶりに担任にもどった2年間でしたが、市販テストだと、全て平均点は95点以上。
正確に言うと、97点以上でした。全て、学級通信に載せて、保護者に知らせていました。
それは、低位の子をつくらないという自分の信念のもと、公表していました。
市販テストは、80点以上取るように作られています。
もう一歩の努力をすれば、必ず90点以上。
更に、もう一声の努力で95点になることを子ども達に体感させ続けました。
昨年度は、2学期からは、徹底的に「問題集の問題」が宿題でした。
宿題以外に自学もあったのですが、全員の基礎・基本を培う場は、2学期から「問題集」。
教科書を越える問題を解く。
それが、〈学びに向かう力〉を高めて行ったと思っています。
今、4校兼務という立場。
多くの学校で、まずは「市販テスト」でしっかりと点を取れ、「学欲」を高め、「学力向上」へと促す役をしたいと思っています。
そのために、少しずつ、そのシステムの「レポート」を書きためていこうとしています。(*^_^*)
 ★ ★ ★

 いやいや、恐ろしい実践である。
 全国広しと言えど、すべての市販テストの成績を、平均97点以上というのは考えられないことである。
 
 普通の公立の小学校で、こんなことが行われているのである。
 また、うれしい情報も、フェイスブックに載せられている。
 ★ ★ ★

「割合」の授業に 授業創りの秘密のカギあり

 野中信行先生が下関に来られた時、割合の全授業を公開してほしいという話をしてくださいました。
その当時は、目の前の授業づくりに全力を傾けていたので、書くことがどうしても2番以降になっていた自分がいます。
5月に58歳になる今。
次世代の皆さんに、授業創りの秘密のカギを伝えていくには、話すことも大切ですが、書くことの方がもっと大事と実感する日々です。
4~5枚のレポートをまとめて、毎日のミニ研修会をしていますが、書いた物は、相手に何度も目を通してもらえます。
有難い事実です。
今、1単元、例えば「割合」の授業創りに授業づくりの秘密のカギ有というようなものをまとめてみたいなあと考えています。
昨年度5年担任でも、今まで算数で20点30点だった子が、割合大好きになり、解ける。クラス平均99点を越える。
もちろん、秘密があります。仕掛けがあります。布石があります。微細技術の連続があります。
これを公開することで、授業創りの面白さを味わっていただけるのではないかと思うようになっています。
福山が、どう授業創りを楽しんでいるかが伝わるのではないかと考えるようになっています。
尊敬する大江先生のように、まずは「私家版」でまとめてみようかなあと思っています。
この夏休みは、全て「書くこと」に力を注ぎ、少し「伝えるための書きモノ」をしてみたいと思っています。
もちろん、頼まれている書き物もしっかりとまとめ、次世代へと伝えて行きたいです。(*^_^*)
ちなみに、「割合」の授業一つに〈10の秘密・100の微細技術〉があると思っています。
 ★ ★ ★
 
 私が強く福山先生に願ったことが、こうして実現してもらえるのである。
 いやいやうれしいこと。
  ★
 課題はここである。
 
  「昨年度5年担任でも、今まで算数で20点30点だった子が、割合大好きになり、解ける。クラス平均99点を越える。」
 
 これができるのである。それは、何が必要か。
 
 福山先生はこのように答えられる。
 「もちろん、秘密があります。仕掛けがあります。布石があります。微細技術の連続があります。」
 これを知りたいのである。
 ★
 「味噌汁・ご飯」授業も、低学力児をどのように引き上げていくかが大きな課題であった。
 
 多くの教室では、この課題は投げ捨てられている。
 というより、どうしていいか手立てが分からないからである。
 
 どんな低学力児でも、「自分だってがんばればできるようになるんだ!」という自信と意欲を与えていくことは、教師の役割である。
 
 きっとその子の人生を変えるはずである。
 私たち教師は、そのきっかけをもっている。
 
 福山先生は、担任としてそれを実現されている。

  ぜひとも、多くの先生たちが、福山先生から学んでいくことは多いのである。

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つれづれなるままに~思い込みは怖い~

  ●国語教育5月号が明治図書より届く。

 特集で永久保存版「国語教師のための発問の技術」となっている。
  野口芳宏氏 岩下修氏などのそうそうたるメンバーの中で、私の名前も載っている。
 国語教育に執筆するなんて、初めてで最後(笑)。

 国語教育については、素人なのであるから。
 ★
 私が提案したのは、「『心情語』で全員参加の授業を実現する」というテーマ。
 4ページの提案の最後に、北海道大曲小で更に実践を深められたことを書いている。
 
●三重の中林則孝先生から初任者指導をまとめた分厚い冊子が送られてくる。
 下巻である。
 
 今まで5年間の初任者指導で17人の初任者を指導されている。
 これだけでもすごいことである。
 
 その指導の一日一日を、こうして一枚の新聞のように文書にされている。
  読みながら、感じ入る。
 ★
 京都大学出身の哲学者で教育学者だった森信三先生が言われたことがある。
 
  「人は退職後の生き方こそ、その人の真価だといってよい」

 まさに、中林先生の生き方が、そのことを示されている。

●家の包丁の切れ味が悪い。
 研いではいるのである。「おかしい、おかしい」と思いつつ、スーパーでの研ぎ屋さんに頼んでみた。

「旦那さん、包丁研ぎはされるんですか?これっ、片方だけ研いであるのですが、どうしてですか?」
「えっ、この包丁 買った店で、7割3割で研いでくださいと言われたので、そのように研いでいたのですが……」。

「いや、家庭用の包丁は、両方の刃を均等に研がなければいけないのですよ!」
「えっ~~~、知らなかった。」と。

 だから、切れ味の悪い包丁になっていたのである。
 最初の思い込みが、そうさせていたわけである。

 思い込みとは、怖いものだとつくづく感じる。

●共に、「味噌汁・ご飯」授業研究会をやってきたK先生は、今年も頼まれて初任者指導をされている。
 横浜市から、4月いっぱいついていてほしいという依頼があり、ボランティアで、この仕事をされているわけである。
 
 昨年も、4月の1ヶ月間だけ、この仕事をされた。
 1ヶ月間だけの指導で、授業指導はどうされたか。

  とにかく45分で終わること。

 これだけを強調されたらしい。
 私は、それを聞いて、すごい指導だと感動したものである。 ★
 特に、初任者指導をする場合、指導者の先生が失敗するのは、数多く「あれは…」「これは…」…と指導しがちである。善意であるが、指導される初任者はたまったものではない。 
 指導されても、すぐにそれを自分の実践として生かすことは、うまくできないのである。

 ああの、こうの、と指導してはダメである。
 必要なことをシンプルに指導する。
 これだけでいい。
 ★
 たまたま斎藤一人さんの本(『自分さがしの旅』KKロングセラーズ)を読んでいたら、一人さんが、みっちゃん先生に車の運転を教えるところが出てくる(みっちゃん先生はペーパードライバー)。
 ★ ★ ★
 それと、みんなはね、運転の教え方が下手なんだよ。
 オレの場合は、東北縦貫とか、連れてっちゃうの。
 「はい、まっすぐ運転」
 指示はこれだけ。
 いろいろさせちゃダメなの。
 まっすぐ運転することだけさせると、青森なら青森まで行って帰ってくると、たいがいは乗れるようになっちゃう。

 その間ね、うるさいこと、いっちゃダメなの。
 ともかく、隣に乗る人間はね、死ぬ気で乗ってりゃ、いいの。それを、あーしろ、こーしろ、ごちゃごちゃいうと、頭がパニクっちゃうからダメなんだよ。
 ★ ★ ★
 私のブログを読んでいる初任者指導の先生もいるので、ぜひとも考えてほしいところである。

 初任の先生も、読んでいる。
 初任者指導の先生から、ああの、こうの、と指導されたら、「指導ありがとうございます。すぐには指導されたことを実際に生かすことができないことがありますが、だんだん生かすようにがんばります!」ぐらい言っておくこと。
 関係を悪くしたら、今後大変になってしまうからである。

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『AI VS 教科書が読めない子どもたち』の与えた衝撃!(2)

  新井先生によれば、全国2万5000人を対象に実施した読解力調査でわかったことが以下のことである。

  ★ ★ ★
・中学校を卒業する段階で、約3割が(内容理解を伴わない)表層的な読解もできない。

・学力中位の高校でも、半数以上が内容理解を要する読解はできない。

・進学率100%の進学校でも、内容理解を要する読解問題の正答率は50%強程度である。

・読解能力値と進学できる高校の偏差値との相関は極めて高い。

・読解能力値は中学生の間は平均的に向上する。

・読解能力値は高校では向上しない。

・読解能力値と家庭の経済状況には負の相関がある。

・通塾の有無と読解能力値は無関係。

・読書の好き嫌い、科目の得意不得意、1日のスマートフォンの利用時間や学習時間などの自己申告結果と基礎的読解力には相関はない。
 ★ ★ ★
 愕然とする内容である。

  このことで改めて、この結果をどのように判断したらいいかと考えてみる。

 ①このような大変な事態が、日本の中高生の中で進んでいたことについて、今回初めて気づかされたわけである。
  なぜ、今までこのことが問題視されなかったのか。
 
 ②この事態を招いている原因は何か。
 
 ③これからこの事態は何を起こしていくのか。

 ④これからどのような対策をとらなければならないか。
 
 少し説明が必要である。
 
 ①についてである。
 私は、新井先生が指摘されていることについて、まだどこか半信半疑なところがある。
 
 全国学力テストで、これだけ調査をしながら、この事態に気づいていない。これは何なんだ、何を調査しているのかということである。
 
 今回この調査に使われたテストは、新井紀子先生が、独自に開発した基礎的読解力判定のリーディングスキルテスト(RST)である。
 
 生活体験や知識を動員して、文章の意味を理解する「推論」、文章と、図形やグラフを比べて一致しているかどうかを認識する「イメージ同定」、国語辞典的、あるいは数学的な定義と具体例を認識する「具体例同定」など、読解力を6分野に分け、その能力を問うテストである。

  新井さんと協力して研究を進めてきた埼玉県戸田市教育委員会の実績がある。
 
 戸田第二小学校の小高美恵子校長は言う。
 「本校は学力調査では全国平均を上回っていたので、RSTも高い点数を出すと思っていたのですが、思った以上に低かった。特に推論とイメージ同定が弱かったですね」と。(AERAによる)
 
 続いて小高校長は、このようにも言っている。
「昔から読解力の重要性は認識され、読書や作文が推奨されてきましたが、そもそも読解力とは何かという視点で分析されたことはなかった。RSTで6分野の視点を得たことは、授業改善のきっかけになる。分かった以上、逃げられないですね。」と(AERAによる)。

 このようなことから考えると、全国学力テストの問題そのものを考え直さなければならないことになるはずである。
 一体何を調査しているのか、ということになる。

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『AI VS 教科書が読めない子どもたち』の与えた衝撃!(1)

  読んで衝撃を受けた。

 『AI VS 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子著 東洋経済新報社)の本である。
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この本の内容をどのように受け止めたらいいか、まだ自分の中で消化できていない。
 
 ★
 雑誌の『AERA』(18.4.16 NO19)が、この本を受けて大特集を組んでいる。
 テーマは、「なんで話が通じない」。
 ★ ★ ★
 「どーしてそうなるのかな…?!」話が通じなくて、頭を抱えること、増えていませんか。「背景が違うので、“共通語”がない」から?
 否、いくら時間をかけても「わかりあえない」自信がある。
 それがもし、「読解力」の低下が原因だとしたら-。
 ★ ★ ★
 この読解力の低下が、新井紀子さんが提起した問題である。
 
 しかし、単なる国語力の中の読解力の低下ではない。
 そんなことは今まででも言われてきたことである。
 
 だが、この問題が、今日本人全体を覆っている「通じない」ことの問題だとしたら、大変なことになる。
 だから、AERAは、そこを問題にしようとしたのであろう。
 ★
 新井さんは、数学者である。
 「東ロボくん」と名付けた人工知能で、東大合格へ向けてチャレンジを試みてきた人である。
 新井さんは、書かれている。
 ★ ★ ★
 「東ロボくん」のチャレンジと並行して、私は日本人の読解力についての大がかりな調査と分析を実施しました。そこで分かったのは驚嘆すべき実態です。日本の中高生の多くは、詰め込み教育の成果で英語の単語や世界史の年表、数学の計算などの表層的な知識は豊富かもしれませんが、中学校の歴史の教科書程度の文章を正確に理解できないということがわかったのです。これは、とてもとても深刻な事態です。
 ★ ★ ★
 何が深刻なのだろうか。
 ★ ★ ★
 高校生の半数以上が、教科書の記述の意味が理解できていません。これでは、8割の高校生が東ロボくんに敗れたこともうなずけます。記憶力(正確には記録力ですが)や計算力、そして統計に基づくおおまかな判断力は、東ロボくんは多くの人より遙かに優れています。このような状況の中で、AIが今ある仕事の半分を代替する時代が間近に迫っているのです。これが何を意味するのか、社会全体で考えないと大変なことになります。
 ★ ★ ★
 また、新井先生は、次のようにも訴えられている。
 ★ ★ ★
 中高生の読解力があまりに低い実態を訴えている理由は、この子たちが中学校を卒業するまでに、なんとしてでも教科書が読めるようにしないと、少子化に突き進んでいるのに移民は頑なに受け入れたくないという日本は、とんでもないことになるからです。日本は欧米に羨まれる画期的に低い失業率を達成しています。それを維持するには、最低限、作業マニュアルや安全マニュアルを読んで、その内容を理解する必要があります。そのためには、教科書が読める読解力がぜひとも必要なのです。
 ★ ★ ★
 しかし、基礎的読解力の不足は、作業マニュアルなどの問題だけではなく、相手の言っていること、書いていることなどを理解するという最低限のコミュニケーションが図れないという、深刻は事態を招いていくことにもなるわけである。
 きっと他にもいろいろな影響を与えていくと思われる。
 
  なぜ、こんなことが起こったのであろうか。(つづく)

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「目標達成法」さしあげます!

   「学級づくり」の1つの、大きなテーマは、学級にルールがきちんと作られているかどうかである。

 学校のルールはある。
 学期の最初に、学校のルールについては確認したはずである。
 
 学級にもルールがある。
 これをきちんと作れるかどうかは、大きな決め手になる。
 ★
 学級の多数派の子供たちは、担任の先生に対して密かに、強く願っていることがある。
 どんなことだと考えられるだろうか。
 
 「教室で安心していられるように」という願い。
 決して口にすることはない。
 
 でも、これを強く願っている。
 この願いをきちんと実現してくれる担任かどうかを見ている。
 
 この願いを実現してくれそうな担任には、ついていくのである。
 ★
 「安心できる教室」とは何か。
 それはどんなことをやれば実現できるか。
 
 結論から言うと、学級でルールが作られ、それが機能しているかどうかにかかっている。
 ルールが機能していて、しっかり子供たちが自分たちでルールを守っている学級である。

 「学級のルールって何ですか?学校のルールがあるし、守ることは朝子供たちに伝えればいいのではないですか?」と言われることがある。
 
 担任そのものが、ルールになっているのである。
 だから、担任が注意し、叱っていることがルールになっている。
 
 しかし、これではいつまでも担任が「ああやれ!こうやれ!」と注意しなければならず、子供たちが自分たちで学級を動かしていく「自立的行動」は出てこない。
 ★
 「学級のルールって言えば、たとえばどんなものがあるですか?」と問われる。
 「チャイムがなったら席につく」というルール。
 
 この当たり前のルールも、ルールとして定着させなければ、いつまでも担任が「はやく座りなさい」「チャイムがなったら座ることになっているでしょう!」と注意しなければならない。
 
 ルールとして定着するとは、子供たちが自覚して座るようになっていることである。そのようにルールとして機能しているということである。
 
 一部のやんちゃが勝手に動いても、誰も注意できないで、放置される状態になっていないことである。
 ★
 私は、このルールづくりを「目標達成法」として提唱してきた。
 私が指導した初任者のクラスでは、この目標達成法を使って、すばらしいクラスを作り上げることができた。
 
 やろうと思えば、初任者でも簡単にできる「ルールづくり」である。
 
 この「目標達成法」についてまとめた文書がある。
 ほしい方は、いつものようにブログのコメントに書いてほしい。ワード文書(ほんとうは一太郎で作ったものをワードに変換しているもの)4枚で送ることになる。
 
 また、すばらしいクラスを作った初任者の実践は、『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(明治図書)に明らかにしている。参考にしてほしい。

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つれづれなるままに~引き算発想で生きる~

●新年度が始まっている。

 2018年度の始まりである。
 
 私は、2017年度で終わったことが3つある。
 1つは、6年間続けてきた道教委の学校力向上のアドバイザーの仕事を卒業したこと。
 
 2つ目は、「味噌汁・ご飯」授業研究会から退いたこと。
 
 3つ目は、一部の人たちを除いて年賀状を辞めたことである。古稀を迎えての決断。

 親しい人たちとの忘年会も、新年会も、ほとんど辞めてしまっている。
 引きこもり状態(笑)。
 ★
 引き算発想である。
 もはやたし算発想で何かをやるということはない。

 人生は、往路と帰路があり、今その帰路を歩いているという自覚である。
 帰路は、当然、引き算発想になる。

●4月4日、福島の郡山に行く。
 ここには初任研として8年目になる。
 昼頃に到着し、いつもの「杜の香り」というカフェでおいしいコーヒーを飲む。

 今年は、桜の満開に立ち会う。
 見事に咲きそろっている。

 17名の初任者。
 ほとんどが大学出たての先生たちになる。
 過激に問題提起をし、どうすべきかも提起する。

●4月6日、横浜のA小学校へ行く。
 メンターの先生たちに呼ばれてのこと。
 
 かつて4年間ぐらい、この学校に4月1日に呼ばれて毎年出かけていたことがあった。
 その先生たちが数人残っておられて、今回また呼んでもらえた。
 もちろん、ボランティアで行く。

 「味噌汁・ご飯」授業について質問があり、「今度私が授業しましょう!」ということになる。

  37年間横浜にお世話になったのである。
 お返しをしなくてはならない。

●仮説実験授業の板倉聖宣さんが亡くなったことは、前回のブログで紹介した。
「たのしい授業」4月号では、板倉先生の講演記録が載っている。
 板倉先生の研究追究の原点が明らかにされている。

 ★ ★ ★
 …「なぜ研究するのか」「なぜ問題なのか」ということをはっきりしなければ研究してはいかんのだ、<それが見えないようではただ流行で研究しているだけだ>という思いがあるからです。
 「ぼくは下町主義だ」と言ったりします。その言葉が適当であるかどうかはわからないけれども、<そのテーマが普通の人たちにどうつながっているか、ということを鮮明にする>ということがぼくの下町主義の一つの表現です。
 ★ ★ ★
  こういう研究者が、日本からいなくなっている。
 残念なことである。
 
 今は、多くの方が、流行に乗って「アクティブ・ラーニング」の研究にいそしんでいる。

  考えてみれば、私もこの下町主義であったなあということ。
 多くの普通の先生たちの課題に通じるテーマを追究してきたことになる。

●算数の坪田耕三先生が亡くなった。
 私と同じ70歳であった。
 くわしい病のことは聞いていない。
 
 親しい付き合いでもなかった。
 一度だけ帯広での授業づくりネットワークの大会で、一緒の講師だったことがある。
 講座のあとの一次会で帰ろうとされたので、「先生、もう一軒行きましょう」と無理矢理二次会に誘っていったことを思い出す。

 この時には、ずっと私より上に見えたのだが、同世代であった。
 算数では名だたる方であり、授業名人でもあった。
  まだ、まだであったはずである。残念!

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福山憲市先生のこと

 福山憲市先生が、また新しい立場で異動されることになった。フェイスブックでは、以下のように紹介されている。

 ★ ★ ★
新しい立場

新聞発表がありました。転勤することになり、担任からも外れます。残り3年の教師生活、学力向上推進教員となり、四校兼務の立場です。多くの先生方、多くの子ども達と出会い、授業や学級経営などについて語り合う立場。教師生活最後の新しい立場に、また多くの学びがあると思い、全力で頑張ります。1年から6年までの担任、特別支援学級の担任、算数専科、教務主任、初任研担当教員など、多くの立場を経験させていただきました。立場立場で見えることが違い、いつも多くの学びがあります。倖せです。管理職の経験はないですが、新しい立場で学べることを、しっかりと探し求めていきたいと思います。(*^_^*)ちなみに、今回の立場は「授業」「学級づくり」を深掘りする自分には幸せな立場です。
 ★ ★ ★

 実は、私は福山先生にお願いしたことがある。
 「福山先生のクラスの授業を見せてもらえないか」と。

 校長の方針があるので、今のところかなわないが、もし校長が替わって、公開が許されるなら、真っ先に私に連絡をしますということであった。
 
 しかし、今回の異動で、福山学級で、福山先生の授業を見せてもらうという願いはかなわなくなった。
 まことに残念なことである。
  ★
 なぜ、福山先生の授業なのか。
 数年前福山先生が、算数専科で5年生の指導をされていたことがあった。
 
 140名の子供たち。4クラスだっただろうか。
 算数の中で最難関と言われている「割合」の単元テストで、全体の平均が99.6(このような記憶)ということ。
 
 これにびっくりしたことがある。
 普通ではありえないこと。

 この授業を、講座で再現するという知らせがあり、早速申し込んだ。山口県の下関まで行ったのである。

 講座を受けて、びっくりした。その講座の迫力。
 その時強調されたことは、「子供を変えなければならない!」と。

 その時、福山先生に「その時の実践を全時、本にしてほしい」と申し込んだ記憶がある。

 おそらく、日本の現場教師の中で授業をさせたら、確実に5本指の1人になる教師に違いないと思えた。
 ★
 その後、異動して担任を持てるようになったと連絡を受けた。
 6年生の担任ということ。
 
 その時の実践が早速フェイスブックに明らかになった。
  社会の歴史の勉強でのこと。
 ★ ★ ★
  ちなみに、1回目の市販テストの平均点は98.5点(33名)。まだまだ、詰めの甘さを感じた平均点です。1.5点は何かを分析し、今の社会の授業に生かしています。算数にしても、線対称等の市販テストは98.6点。文字と式が97.3点。こういう点は、しっかりと保護者に公開し、自分のどこが甘かったかを書いています。55歳になっても、なかなか市販テスト一つとっても全員満点は、この時期難しいです。
  ★ ★ ★
「おい、おい、これは何だ!」ということ。
 
 突然6年生の担任になり、すぐの授業で、このような点数を上げられるとは、一体何なんだろうか。
 普通の公立の小学校なのである。

 当然、5年生までは、そのクラスには低学力児が何人かいたはずである。
 それを一気に引き上げている。
 そうしなければ、このような平均点は出せない。

 こんな教師がいるのである。
 それは、はっきり授業で引き上げられているはずである。 ★
 私は、現場教師の実践を判断する1つの尺度に、どのような「評価」を行っているのか、どのような「事実」を作っているのか、を持っている。

 いわゆる「数字」(点数など)と「事実」。

 これをいい加減にして、とやかく言ってもダメだということである。
 もちろん、納得されない教師も多い。

 しかし、福山先生は、これをきちんと提起されている。
 しかも、ものすごい「数字」と「事実」で。

 私が福山先生の授業を見せてもらいたいという願いがあったことはこれで理解してもらえるだろう。
 ★
 福山先生と私が一致したのは、日常授業の改善というテーマであった。

 福山先生は、研究推進の立場になれば、校内の重点研究のテーマは、常にこのテーマで推進されたという。
 
 ここにこそ、今学校現場が突きつけられている課題があることは明白である。

 また、『AI VS教科書が読めない子どもたち』(新井紀子著 東洋経済新報社)で、数学者新井先生が問うた課題は、恐ろしいものである。
 これについては、改めて書きたい。

 もう悠長に、学校現場で「ごちそう授業」を追究する時代が終わったことを告げる内容である。
 ★
 福山先生が、これからどのような活躍を見せられるのか、注目したい。

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事務連絡です~もう一度連絡してください~

  連絡します。

 今回、「1週間のシナリオ」、「計算や読みが苦手な子供の指導法」、「ときかたハカセ」と3つの申し込みを連絡しました。
 
 申し込みが殺到して、私の方でうっかりもれてしまった場合があります。
 また、連絡してもリターンで返ってきた方がいます。
  メールあるいは封筒がまだ届かないという方がおられるかもしれません。
 
 すみません、もう一度連絡をお願いします。 
  よろしくお願いします。

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つれづれなるままに~ふだんを変える それがいちばん人生を変える~ 

●3月25日、横浜野口塾に行く。

 今回で11回目である。野口先生は、82歳になられて、相変わらず元気である。日本教育界の宝であると、私は思っている。
 
  私も1講座持たせてもらっている。学級経営についてである。よく聞いていただき、反応が良くて、うれしく思う。
 
 この野口塾が、185回だと聞いた。
 200回までもう少しなのだ。

●26日は、横浜市立T小学校へ行く。
 この学校のメンターチームの先生たちから呼んでもらったのである。ボランティアでの参加。
 
  私は横浜市で37年間お世話になったのである。
 学校から呼ばれれば、時間がある限り行くことにしている。
 
 90分の講話であったが、メンターチームの先生によく耳を傾けてもらい、とてもうれしく思えた。

●28日は、神奈川県海老名市教育委員会の初任者事前研修会へ行く。
 海老名市は、これからどんどん開けていく都市で、人数が増え、子供たちもどんどん増えていく。
 
 そんな中で、海老名市は、昨年から初任者の赴任前研修を始められ、私を呼んでもらっている。
 
 教育長の挨拶では、「アンケートでは、野中先生のこの話は最初に聞きたかったというのが多かったので、事前に研修を開くことにした」ということ。
 
 私の話を聞いて(かなり深刻な話になる)、そしてあと1週間で準備をするのである。緊迫した時間。それでも1週間の準備時間がある。それはとても貴重なこと。

●29日、愛知県小牧市の初任者事前研修に行く。
 この小牧市は、今から12年前にこの赴任前研修を始められている。
 
  日本全国で、初めての試みであったはずである。
 今では、さまざまな教育委員会が取り組まれている。
 
 私は、ここに12年も通っている。
 39名の初任者。そして、後ろには、希望参加の先生たち。
会場はびっしり。
 
 2時間30分、精一杯に初任の先生たちに訴える。

●「1週間のシナリオ」は、120名程度の申し込みがあった。
 うれしいことである。野口塾に見えていた先生(鳥取県)は、以前の「1週間のシナリオ」を、教務主任の先生にもらったと言われていた。
 
  このシナリオは、日本全国あらゆるところに広がっている。
「広げてほしい」と願ってきたので、こんなにうれしいことはない。
 
 「ときかたハカセ」の申し込みも続出して、毎日送付に追われた。うれしい悲鳴である。
 160部ぐらいあった残部が、もう少しになっている。
 
 そして、「計算や読みが苦手な子供の指導法」も、申し込みがどんどん来ている。これもうれしいことである。
 
 これらを使って、先生たちが学級を安定させ、クラスにいる低学力児を引き上げていく「事実」を作り上げる。
 
 私は、それを夢見る。
 学校現場は、暗く、疲弊しているが、そういう「現実」に負けてはならないのである。

●『毎日読みたい365日の広告コピー』(ライツ社)を読んでいる。
  その中に、ステキなコピーがある。
 
   ふだんを変える。それがいちばん人生を変える。
 
 私たちが、「味噌汁・ご飯」授業で提起したのも、これである。
  「味噌汁・ご飯」授業で言えば、こうなる。
 

  日常授業を変える。それがいちばん教師人生を変える。
 
 

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