『AI VS 教科書が読めない子どもたち』の与えた衝撃!(1)
読んで衝撃を受けた。
『AI VS 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子著 東洋経済新報社)の本である。
この本の内容をどのように受け止めたらいいか、まだ自分の中で消化できていない。
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雑誌の『AERA』(18.4.16 NO19)が、この本を受けて大特集を組んでいる。
テーマは、「なんで話が通じない」。
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「どーしてそうなるのかな…?!」話が通じなくて、頭を抱えること、増えていませんか。「背景が違うので、“共通語”がない」から?
否、いくら時間をかけても「わかりあえない」自信がある。
それがもし、「読解力」の低下が原因だとしたら-。
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この読解力の低下が、新井紀子さんが提起した問題である。
しかし、単なる国語力の中の読解力の低下ではない。
そんなことは今まででも言われてきたことである。
だが、この問題が、今日本人全体を覆っている「通じない」ことの問題だとしたら、大変なことになる。
だから、AERAは、そこを問題にしようとしたのであろう。
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新井さんは、数学者である。
「東ロボくん」と名付けた人工知能で、東大合格へ向けてチャレンジを試みてきた人である。
新井さんは、書かれている。
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「東ロボくん」のチャレンジと並行して、私は日本人の読解力についての大がかりな調査と分析を実施しました。そこで分かったのは驚嘆すべき実態です。日本の中高生の多くは、詰め込み教育の成果で英語の単語や世界史の年表、数学の計算などの表層的な知識は豊富かもしれませんが、中学校の歴史の教科書程度の文章を正確に理解できないということがわかったのです。これは、とてもとても深刻な事態です。
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何が深刻なのだろうか。
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高校生の半数以上が、教科書の記述の意味が理解できていません。これでは、8割の高校生が東ロボくんに敗れたこともうなずけます。記憶力(正確には記録力ですが)や計算力、そして統計に基づくおおまかな判断力は、東ロボくんは多くの人より遙かに優れています。このような状況の中で、AIが今ある仕事の半分を代替する時代が間近に迫っているのです。これが何を意味するのか、社会全体で考えないと大変なことになります。
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また、新井先生は、次のようにも訴えられている。
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中高生の読解力があまりに低い実態を訴えている理由は、この子たちが中学校を卒業するまでに、なんとしてでも教科書が読めるようにしないと、少子化に突き進んでいるのに移民は頑なに受け入れたくないという日本は、とんでもないことになるからです。日本は欧米に羨まれる画期的に低い失業率を達成しています。それを維持するには、最低限、作業マニュアルや安全マニュアルを読んで、その内容を理解する必要があります。そのためには、教科書が読める読解力がぜひとも必要なのです。
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しかし、基礎的読解力の不足は、作業マニュアルなどの問題だけではなく、相手の言っていること、書いていることなどを理解するという最低限のコミュニケーションが図れないという、深刻は事態を招いていくことにもなるわけである。
きっと他にもいろいろな影響を与えていくと思われる。
なぜ、こんなことが起こったのであろうか。(つづく)
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