●朝日新聞は、1月21日(日)の一面トップで、「小中教員 独自補充1万人」という見出しで報じている。
「国が定める教員定数とは別に、都道府県・政令指定市の教育委員会が計約1万人の教員を配置し、7年前と比べて約3割増えていることが文部科学省のまとめで分かった」という内容である。
国が教員定数を増やさないので、教育委員会独自に教員を増やしているというわけである。
今、学校現場では、発達障害の子供、それに加えて新たに愛着障害の子供の対応が加わり、大変さが増している。
そして、「生徒しない」(学習の姿勢をとれない)子供たちにも悩まされている。
先生たちは、多忙化の状況と合わさり、もうどうにもならないところに追いやられている。
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朝日は、次のようにも書いている。
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18年度の予算要求で、文科省は「働き方改革のため9年で2万2755人増やす」計画を求めたが、財務省との交渉後、「小学校の英語の専科教員を3年で4千人増やす」との方針に止まった。同じ時期、政府与党は幼児教育無償化や高等教育の負担軽減に年間約8千億円ずつ投じることを決めた。自民党の選挙公約を受けての巨額の財政出動に、ある文科省幹部は「規模と優先順位がね……」と言葉少なだった。 ★ ★ ★
文科省は、きちんと現実を認め、教員の増員を求めている。当然のことである。
だが、幼児教育無償化や高等教育の負担軽減に8千億円を投じるということは何なんだろうか。
これは、何だろう?
そんなことより、保育所の増設や保育士の増員が、もっと緊急のことだというのは、誰でもが分かること。
目に見えるところだけで、こうしてばらまきをしている。
教員の増員をすることなんて、目に見えない。だから、金を投じない。
一番びっくりしたのは、政府が、トランプ大統領の娘イバンカさんがきたときにイバンカ基金として60億近くの金を寄付したときであった。
こんな金がどこにあるのだろうか。
もし、この金を教員の増員に投じてくれたら、どれほど助かるかも知れない。
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続いて、当日の朝日の記事の3面に、北海道北部のある市立小学校の事例が出ていた。
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市立小学校は毎日、深夜まで校舎の明かりがともる。女性教諭(35)は、学校の隣に住む保護者に会うたびに言われる。「先生の車、昨日も学校に止まっていたね」。地域の住民は学校を「不夜城」と呼ぶ。
全校生徒は200人余り。女性は3年生約35人の担任として、国語や算数など9教科を担当。日中の自由時間はほとんどなく、放課後も子どもが公園でけんかをすれば、学校に連絡が来る。宿題の丸付けをしていると、帰宅が午前0時過ぎになることもある。
授業準備を十分にする余裕はなく、教科書通りに進めるので精いっぱい。「レベルの低い授業をしている」と自己嫌悪になる。
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これを読んでため息が出る。
この女性の先生は、大変さを強調するために、このような答え方をしたのだろうが、問題は2つある。
1つは、宿題の丸付けで、帰宅が午前0時過ぎになるという記事。
多分、こんなことはめったにないのだろうが、こういう仕事を絶対にしてはならない。
仕事だけに時間を使ってはいけない。
家族の時間があり、結婚していれば夫婦の時間がある。
子供ができれば、子供との時間もある。
そして、自分の時間も大切である。
これらがバランス良く組み立てなければならない。
教師の仕事は、やろうと思えば無数に出てくる。
しかし、どうしてもやらなければならない仕事に絞ると、そんなにあるわけはない。
自分なりに効率の良い仕事術を工夫すれば、やっていけるのである。
もう1つ問題だと思ったのは、「授業準備を十分にする余裕はなく、教科書通りに進めるので精いっぱい。『レベルの低い授業をしている』と自己嫌悪になる。」という記事。
教科書通り進めることが、レベルの低い授業と考えられている。
考え違いをしている。
教科書をきちんと教えることができるのは、1000人に1人と言われている。それほどに、教科書で教えることはむずかしいのである。
時間がないはず。
それならば、子供たち全員が持っている教科書を教えていくことが一番の効率的な指導になる。
「教科書で教える」のではない。「日常授業」は、「教科書を教える」ことで十分。
●カリフォルニアの三育サンタクララ校(補習校)には、2回行ったことがある。
現地校に行った子供たちが、4時頃からこの学校へ登校してくる。幼児から中3までの生徒。3時間の授業がある。
そこの教頭先生から連絡がある。
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数年前、作文の相談を受けたときに、参考になる本を紹介したことがあった。
その後、作文のシステムを小学部で作られたということ。
次のように書かれてあった。
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それは、
週末の宿題プリントで、
例に従って、枠内に自分の体験、考えなどを
書くと、繰り返すうちに、いつのまにか書く力が付く
というのを狙ったものです。
プリントは、10-20前後/年間ですが、おかげさまで、確実に力が付いてきたのが、年度末の学校文集を編集していて、わかります。
まだ、ブラッシュアップしている段階ですが、
子どもたちの作文に対する苦手意識が低くなり、
楽しんでいる子も出てきていると思います。
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うれしいこと。
でも、この作文システムというのは、おもしろい発想。
こんなシステムをいくつも考えて、授業に組み入れていけば、しっかりと子供たちは力がついてくるはずである。
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