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相談を受けて~とにかく凌ぐのです~

  初任のみかん先生から相談を受けました。

 他の職業をされている期間があり、またお子さんもあるということでの初任者ということ。
  次のような内容です。
 ★ ★ ★
 野中先生、初めまして。いつもブログを拝見し、勉強させていただいています。初任者のみかんと申します。尊敬する野中先生に、相談させていただきたいことがあり、コメントさせていただきました。
 
 今、一番悩んでいることは、「今からクラスを立て直すにはどうしたらよいか」ということです。
 野中先生が「クラスが荒れてしまったら、凌ぐしかない。」とおっしゃっていることはわかっています。8月に野中先生の本に出会い、4月から「その日暮らしの学級経営」をしてきた自分を悔やみました。そして夏休み明け、クラスを立て直そうと「目標達成法」や「「一人一当番制」に取り組みましたが、私の指導が悪かったのでしょう。子どもたちのやる気を引き出すことができず、失敗しました。今はもう行っていません。
 教育県で県独自の行事、学習も多く、忙しさ、気持ちの余裕のなさから学習規律や学級規律を整えることが十分にできないまま目の前のことを必死にこなす毎日でここまできてしまいました。
 しかし今、私にはクラスを立て直すという結果が求められています。
 なぜなら、12月中旬からいじめが原因で不登校になったA君がいて、その保護者と毎日電話をしているのですが、「過ごしやすいクラスにしてほしい。」、「荒れていたようだが、今はどうか。」と言われるからです。
 A君は悪口、からかい、物をかくされたり、時には暴力も振るわれていました。いじめの主犯格は5人ですが、クラスのほとんどの子がそのいじめをはやしたてたり、見て見ぬふりといった同調していたようで、我慢できなくなってしまったのです。2年生の時に保健室登校していたことがあり、精神面でも自己肯定感が低く、傷つきやすいから注意するように、と引継ぎを受けていた子でした。
 A君は今精神科にかかっていて、医師からはまず心の回復をすることを優先し、登校刺激はしないように、と言われています。A君は自殺願望があり、学校の建物を見るだけで吐き気がする、ということで私にも友達にも会うことができません。しかし、また教室に戻りたいという意思があるとのことです。
 学校ではいじめサポート班を結成し、A君には医師の言うとおりに心が回復できるまでゆっくり過ごしてもらい、学校側はA君の戻ってきやすい学級づくりを頑張ろう、ということになりました。
  昨日、A君のいじめサポート班を学校で結成し、今後の学級指導について話し合いました。冬休み前にQUを取った結果、私のクラスは非承認、不満足軍がクラスの半分いる「荒れ始め型」だったため、SSTで「自分の自信の持ち方」、「友達との関わり方」等の項目を道徳の時間を使って2月までプログラムしてやっていこうということになりました。(技術を要することなので外部の専門の先生に依頼中です)
 恥ずかしながら未だに毎日をこなすことでいっぱいいっぱいになっている私がクラスを立て直すにはどうすればよいか途方に暮れています。
 日記へのコメントをして当日返すこと(学校の決まりです)、宿題の丸付け、実験準備等次の授業の準備、教材研究(家に持ち帰っても終わらないことが多い)で学校での空き時間は埋まり、子どもと一人一人と関わる余裕がありません。
 放課後もいじめの件での会議や対応、6送会の主任の仕事、初任研のレポート、雑務に追われ、教材研究、丸付けは持ち帰り仕事です。味噌汁・ご飯授業の本も参考にさせていただいていますが、5年で内容も難しく、まだ教材研究に多くの時間がかかります。休日は普段できない家事、自分の子どもの相手をします。子どもを夫に任せて土曜日の午後は学校に仕事に行かせてもらいますが、終わりません。
 今、私のクラスの状態は、全体的に学習意欲がある子が多いので下手な私の授業でも成立しますが、友達同士の関係が希薄で群れの状態、叱ることが多く、面白いことを言ったり、楽しい授業ができない私に不満を持っていることが子どもたちの顔から伝わります。
 私はA君はもちろん、クラスの子どもたちを傷つけてしまいました。居心地のよいクラスにしたい、楽しい授業をしたい、子どもたちをたくさんほめたい、一人一人と関わってあげたい、と思うのですが、余裕がない中、どうすればいいのでしょうか。クラスの子どもたちのために、今私が一番しなければならないことは何なのでしょうか。このままでは、私の家庭も、クラスも崩壊しそうです。助けてください。お願いします。
 ★ ★ ★

 相談を受けて、ため息が出ました。
 みかん先生は、もう十分にがんばっているのです。精一杯やれているのです。
 これ以上がんばる必要があるのか、と思ってしまいます。

 まず、校長の担任人事の失敗ははっきりしています。
 臨任経験もまったくない、初任の女性を(しかも2人のお子さんがいる)、5年生の担任にするという暴挙はとんでもないことです。
 
 みかん先生が力量がないということではなくて、初任の先生ではやっていけなくなっているのです。
 
 今、5,6年の担任は、それまでの4年生までの担任とは、隔絶したものになっています。高学年の女子たちが思春期を迎えるようになっています。反対に、男子はかつての1,2年生ぐらいの幼さを持っています。男女のバランスがあまりにも悪いのです。
 
 そういう状況の中で、突然初任の先生が担任をして、うまくいくはずはないのです。

 それでも、みかん先生は、ここまでよくぞがんばってこれたものだと、感心してしまいます。
  ★
 これから何ができるか。
 クラスを立て直すためにはどうしたらいいか、と問われています。
 これは正直に答えなければなりません。
 今のこの時期からクラスを立て直すのはむずかしいのです。
 
 それは、もはやみかん先生と子供たちとの関係の糸が固定し、こじれてしまっていて、その糸を短期間に正常に戻すことがむずかしいためです。

 クラスの回復は、1学期の間なら可能です。
 でも、それでもよほどの頑張りが必要。
 2学期からは一月ごとに大変になっていきます。
 それは関係の糸がこじれるから。その修復がむずかしくなるからです。

 ほんとの勝負は、4月の1ヶ月間なのです。
 ★
 先生は言われています。
「私はA君はもちろん、クラスの子どもたちを傷つけてしまいました。居心地のよいクラスにしたい、楽しい授業をしたい、子どもたちをたくさんほめたい、一人一人と関わってあげたい、と思うのですが、余裕がない中、どうすればいいのでしょうか。」
 A君が不登校になっています。
 クラスが荒れてくると、必ずいじめが始まることを覚悟し
なければいけません。
 クラスの子供たちを傷つけてしまったと、先生は言われていますが、みかん先生は精一杯やったのです。過度に自分を責める必要はありません。
 良い先生ばかりが子供たちにとっていいとは限りません。
 子供たちは、いろんな先生から学んでいけばいいのです。

 居心地のよいクラスにしたい、楽しい授業をしたい、子どもたちをたくさんほめたい、一人一人と関わってあげたい、と言われています。先生の思いは素晴らしいです。
 でも、初任の先生にとっては、その1つ1つがとてつもなくむずかしいのです。
 それでも、みかん先生は精一杯やった、のです。
 ★  
  これからどうするか。
 3学期は、はやい。
 あっという間に、終わりを迎えます。
 
 その間、とにかく「凌いでいく」以外にないです。
 3学期の間はとにかく凌いで、6年生で他の先生に子供たちを託せばいいのです(もう絶対に持ち上がりの6年担任なんかを引き受けてはいけませんよ。責任をとって、もう1年がんばりますと言いがちになります。でも絶対にやってはいけません。それで失敗した先生はいっぱいいるのです)。
 
 教師の仕事で、何よりも良いのは、3月まで凌げば、また新しい気持ちで4月から新しい子供たちと出会えることです。
 
 やることは1つだけ。
 子供たちのそばにいてあげること。
 教室にいつもいてあげればいいのです。
 
 そして、自分が今できることをやっていけばいいのです。
 それだけで十分。
 
 凌ぎ方のために、この詩をもう一度載せておきます。
 このようにやればいいのです。
 

  君ならできる           葉祥明

 今どんなに苦しくても
 今日 いち日
 がまんできれば
 それでいい
 次の日は次の日で
 また我慢すればいい
 そうやって一日一日
 我慢していけば
 いつか もう
 我慢しなくていい日が
 必ず来る。
 その日まで
 大丈夫 君なら
 きっと耐えていける!

  ★
 私は、みかん先生のこれからの教師としての可能性を信じます。
 5年生というクラスで、これほどにがんばってやれてきたがんばりと、ねばり強さは、みかん先生が持っている天分と言えるものです。
 だから、3月までがんばっていけると信じています。

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コメント

野中先生、お忙しい中、長々とした私の相談にご回答下さりありがとうございました。野中先生の温かい言葉に励まされました。
学校に行きたくなくて、なかなか起きられない日が続いていますが、きっと我慢しなくてもよくなる日がくると信じて3月まで凌いでいきたいと思います。
私の初任者指導の先生が野中先生だったら。。と本当に思います。これからも初任者の先生方に最初の1カ月の学級経営の大切さをご指導下さい。
ありがとうございました。

投稿: みかん | 2018年1月16日 (火) 20時23分

みかん先生
はじめまして。小学校講師の通りすがりです。

私も30代後半、2人の小学校低学年の子持ち、生まれて初めてで、5年生を担任しました。荒れさせてしまいました。その後も続けていますが、担任はしていません。

当時、色々な方に助けられて「凌ぎ」ました。一日サボってしまったこともあります。毎日下痢していました。
私は、代わりに授業をしてもらったこともあります。周りの先生に呆れられたこともあります。職員会議で泣いたこともあります。

でも、どんなに嫌でも、どんなに頼りなくても、「ここは私が担任だ。文句あるか」くらいの気持ちが私の中に出てきた時、少しだけクラスが変わったような気がします。3学期、6年生への意識の高まりもあったと思いますが。

職場ではちょっと申し訳ないと言っていても、心の中では落ち着かないクラスがあれば、学校全体で助け合うのは当たり前と思ってください。守ってもらえない職場なんて、子どもが育つわけないですくらいに思ってください。

子どもたちは、先生の頑張りを見ています。
自分たちがこんなに悪さしても、最後まで教壇に立ってくれたんだって感じると思います。

私は、クラスを荒らしてしまって、子ども達を苦しめたなって今も思っています。でも、最後はクラスのみんなにありがとうを伝えてお別れできました。今も思い出して眠れなくなることもありますが。

みかん先生、きっと数年後には後輩達にこの経験を伝えて助けることができます。教壇に立ち続けるご自分をいっぱい褒めてあげてください。

私は歳だけベテラン講師ですが、応援しています。だらだらとすみませんでした。

投稿: 通りすがり | 2018年1月17日 (水) 20時02分

以前にも相談させていただいたことのある、20代男性教師です。
今年度5、6年生の理科専科を担当しています。

専科という性質上なのか、私自身がなめられているのか、
その両方だと私は考えますが、6年生の授業はやりにくいと感じていました。
子どもたちは、理科の授業で息抜きのような態度を見せます。担任の先生にも相談し、時々担任の先生が理科の授業のときにも後ろにいてくださることもありました。また、もし何か起こり、私自身で対応できない場合、すぐ担任を呼んだこともありました。

そうした中で、6年生のある1クラスは、そのクラスの3人の男子児童に授業をかき乱され、正直苦労しています。ノートを書くように言ってもその子たちはほとんど書かず、奇声をあげることもよくあります。注意してもほとんど指導が入らず、「なぜ僕だけに言うのか。他の子には言わないのか。」などの反発が返ってきます。その言葉に、何と返せばよいのかわからなくなったりします。

幸い、その3人以外はきちんと授業を受けているので、その点はありがたいので、そういったまじめに授業を受けている子たちをしっかり見て、授業をするように心がけてきました。

ただ、その3人は、明らかに授業の妨げとなるような言動を取るため、
注意しないわけにもいきません。しかし、私自身の指導が入らないため、最近はその3人への注意をあきらめているところがあります。
担任の先生が後ろにいてくれることもありますが、理科の授業は私が主で行う時間なので、本来は私がその3人への注意をすべきなのです。しかし、私はその3人への注意をあきらめ、それを心の中で担任任せにしているところがあります。
その3人には、担任の先生の指導は入るのですが、私自身の行動は目の前の子どもたちのことを考えた行動とは言えません。そして、その罪悪感も感じています。

卒業まであと2ヶ月と、心の中で、指折り数えている自分がいます。
私はどうすればよいのでしょうか。

投稿: 20代男性教師 | 2018年1月17日 (水) 20時28分

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