「学級をきちんと成立させる10ヶ条」
かつて中村健一先生の編集で、『野中信行が答える 若手教師のよくある悩み24』(黎明書房)という本を出したことがある。
その本の中で、「学級をきちんと成立させる10ヶ条」「授業をきちんと成立させる10ヶ条」がほしい方は連絡をしてほしいと書いている。
2011年に出した本だが、いまだに読んだ方から連絡がくる。
ありがたいことである。
この10ヶ条は、今では少し修正をしなくてはならなくなっているが、基本的にはこれで良いと思われる。
コピーしたので罫線がめちゃくちゃである。
まず、「学級づくり」について載せておきたい。
学級をきちんと成立させていく10ヶ条
野中 信行
│ │
│1 子供たちが「生徒」する学級づくりを意識しよう │
│2 縦糸と横糸を意識した学級づくりをしよう │
│3 友達先生にならずに、適度な距離をとろう │
│4 子供たちとの通じ合いを豊かに │
│5 学級づくりは1ヶ月 ~3・7・30の法則~ │
│6 まず学級の子供たち8割を味方にしよう │
│7 学級を「群れ」から「集団」へと変えていこう │
│8 学級がきちんと成立しているかどうかの決め手は、「朝会」「朝自習」 │
│ 「靴箱」にある │
│9 当番活動は、清掃と給食をマークせよ │
│10 教室は、いつも小綺麗に │
│ │
1 子供たちが「生徒」する学級づくりを意識しよう
「生徒 」するというのは、私の造語である。学校は、「教師」する先生と「生徒」する子供たちで成り立つ。「生徒」するというのは、学ぶ姿勢を持つということである。その姿勢がなくては、学習は成立しない。
だから、私たちが「教師」すると同時に、子供たちを「生徒」させるような学級作りを意識しなくてはならない。
「生徒する」というのは、次のことである。
│ │
│ ①学校のルールに従って行動する。 │
│ ②教室のルールに従い、先生や友達の話をきちんと聞くことができる。 │
│ │
2 縦糸と横糸を意識した学級づくりをしよう
子供たちが「生徒」する学級づくりをするためには、「縦糸」を張ること、「横糸」を張ることを意識することである。この縦糸、横糸は、「教育を織物モデルで語る」で提起した横藤雅人先生の命名である。これは分かりやすい。
縦糸とは、「教師と生徒との上下関係を基礎とするしつけや返事、敬語、学級内ルールなどの関係づくり」である。横糸とは、「教師と子供がフラットな関係性をもち、心を通わせる関係づくり」である。
縦糸は、強いか。また強すぎないか。横糸を乗せることに耐えられる本数と強さか。つまり、一方的な指示や方針が出されるばかりだったり、弱気な、一貫性のない指示だったり、子供の実態から見て無理な指示や方針だったりしていないか。
横糸は、豊かか。笑い(嗤いではない)や子供の発想がきらめいているか。教師と子供がフラットな関係性を築いているか。どこかに冷たい頑なな教師の態度が残っていないか。模様に合わせて臨機応変に紡いでいるか。
このように、学級づくりを反省していくことである。
3 友達先生にならずに、適度な距離をとろう
まず、学級作りの始まりは、「縦糸」を張ることから始めなくてはいけない。最初は、「横糸」を張ることではないことを肝に銘じよう。
初任の先生は、これが分かっていない。すぐ子供たちと「横糸」を張ろうとする。いわゆる「友達先生」になろうとする。
その結果、子供たちから甘く見られ、学級が崩壊するパターンを作り出していく。子供たちとは、適度の距離を取り、「縦糸」を張ることに邁進しなくてはならない。
「縦糸」を張ることとは、次のことである。
│ │
│①教室でのルール作り、システム作り │
│②挨拶、返事などの言葉づくり │
│③言葉づかい(敬語など)をきちんとさせる │
│ │
4 子供たちとの「通じ合い」を豊かに
「縦糸」が適度に張られたら、次は、「横糸」を張ることに取り組んでいこう。
若い先生たちは、どんどん子供たちと遊んで、フラットな関係作りをしていくことだ。 私は、子供たちと「通じ合い」を積極的に図るためには、さまざまな手法を使う。
①包み込み法
子供たち一人一人をまるごとに包み込んでいく。そして、その子の良さを見つけ
出していく。その一方で、子供たちが引き立つ事実を作り出していく。(種まきをする)
③伝達法
その子の良さやうまく出てきた事実をどんどん知らせていく。
ハガキ作戦など
5 学級づくりは1ヶ月 ~3・7・30の法則~
学級が1つのまとまりとして作り上げられるためには、1ヶ月の時間が必要である。
私は、この1ヶ月を「3・7・30の法則」で作り上げようと実践してきた。
「3」は、出会いの3日間。「7」は、学級の仕組み作りの1週間。「30」は、作り上げた仕組みを定着させる1ヶ月である。
この1ヶ月で学級の器がほぼできあがる。この時間がすぎてしまえば、この器作りは困難になる。
この器作りは、学級がスムーズに動いていくシステム作りである。
このシステムは、子供たちに学級での居場所を作り上げるためのものでもある。
6 まず子供たちの8割を味方にしよう
受け持ったままの学級は、「2対6対2の法則」が存在する。
2割が担任に味方してくれる子供たち、6割がどちらでもない子供たち、2割がやんちゃな子供たちである。
まず、大切なのは、この6割を担任の味方にしていくことである。そして、8割の多数派を作り上げなくてはいけない。
そのためには、2割のやんちゃたちにばかり目を向けてはいけない。
やんちゃたちは、「先生、これどうするのですか」などと「先生」コールをぶつけてくる。一々丁寧に対応する必要はない。
大切なのは、まず8割の子供たちを味方にするために、きちんと授業をし、きちんと学級を機能させていくことである。
7 学級を「群れ」から「集団」へと変えていこう
受けもったままの学級は、「群れ」のままである。
この「群れ」を「集団」へと変えていくのが、学級経営である。
担任が2,3日いなくても、学級が自主的に動いていくことができる状態を「集団」と考えている。
私の学級経営法では、目標達成法が「集団」づくりのための手法である。
8 学級がきちんと成立しているかどうかの決め手は、「朝会」「朝自 習」「靴箱」である。
その学級がきちんと機能しているかどうかの判定方法は、この3つである。
│ │
│ ①朝会できちんと並んで、校長先生の話をきちんと聞いているか。 │
│ ②決められた朝自習をおしゃべりなく、静かに行っているか。 │
│ ③靴が投げ入れられていなくて、きちんと整頓されているか。 │
│ │
つまり、学級の最初からこの3つに焦点をおいた指導を繰り返しておけば、学級は、落ち着いてくることになる。
9 当番活動は、清掃と給食をマークせよ
さまざまな当番活動があるが、その中でマークしておくのは、この2つである。
学級が荒れてくると、必ずこの2つが荒れてくる。いい加減になるのである。
なぜかというと、この2つは、子供たちの自由裁量が生かされてくる活動だからである。 その気にならなければ、いつでもいい加減にすることもできるのである。
だから、学級が荒れてくると、真っ先にこの2つが荒れてくる。
10 教室は、いつも小綺麗に
教室は、担任の力量が発揮されてくるところである。
どんなに授業や学級経営に力を注いでいると思っていても、教室環境がいい加減だと力は半減される。
子供たちは、身近な環境に多く影響を受けるからである。
荒れている学級は、ほとんど教室もまた荒れているというのは、私が今まで見てきた事実でもあった。
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