授業をきちんと成立させていく 基礎・基本10ヶ条
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│1 指導言を整えよ~発問・指示・説明を区別して~
│2 指示ー確認を徹底せよ
│3 フォローの技術を磨こう
│4 子供への視線を鍛えよ
│5 授業は、本時目標を徹底的に意識せよ
│6 机間巡視は1つのことをきちんとマークせよ
│7 話を聞かせるルールを整えよ
│8 テンポのある授業を心得よ
│9 授業はノート指導と心得よ
│10 無駄な言葉を排除せよ
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1 指導言をきちんと整えよ ~発問・指示・説明を区別して~
授業の中で、今子供に向けられている言葉が、問いかけの「発問」なのか、作業などを「指示」することなのか、事柄の内容や意味を分かりやすく「説明」することなのかを明確にすることである。
この3つを意識しながら、授業を成立させていくことが最も大切なことである。
2 指示ー確認を徹底せよ
◎「一時に一事の技術」を使いながら、一つ一つ確認して進めていく
新卒教師は、なかなかこの技法を身に付けられない。
子どもへ話す場合、最初にまとめて話そうとしてしまうためである。
だから、さまざまな指示をまとめて出してしまう。
「今日は、図工の単元の○○○○○をします。どんな勉強をするのか、図工の本の24ページを開きます。そして、はさみとのりが必要なので出しておきます。あとで色画用紙を使うので、今取りに来ます。」
これでは子どもたちを混乱させるだけである。
一時に一事の技法では、次のように指示を出していく。
①図工の本を出します。
②24ページを開きます。
③今日勉強することを確認します。
④図工の本をしまいます。作業しながら必要になったら、出して確認します。
⑤はさみとのりを出します。
⑥色画用紙を配ります。
一つ一つ全体に徹底しているか確認して先へ進むことである。
3 フォローの技術を磨こう
「ふり おち フォロー」は一連の指導である。
ふり…教師の指導
おち…子供たちの活動
フォロー…活動の評価
子供たちの活動(書いたこと、発言したこと、読んだことなど)に対して、フォロー加えてやることは子どもたち自身が望んでいることである。
ねらいに照らせば、事実がきちんと出ているのに、「みんな上手だね」と曖昧にごましてきたのである。
良いものは良いと評定し、悪いものは良い方向に努力させていく手立てをとること。これが教師の力量である。
4 子どもへの視線を鍛えよ
◎全体に視線を向ける
教師が指示したことが、どの程度きちんと徹底しているかを見ることは大切なことである。授業でも、集団活動でも大切なことである。特に、初任教師は、この見る技法が甘くなる。ただ、漠然と見てしまうのである。
指示したことを子供たちがきちんと守っているか、まず確認することである。
この確認の仕方を工夫しなくてはならない。
子供へ向ける視線をいつもZ型にする、右左真ん中にするなどの練習を常にし続けなくてはならない。
5 授業は、本時目標を徹底的に意識せよ
1時間の授業を作り上げるとき、次のような手順で行う。
①この授業で、「何が分かってほしいのか」「どんなことができるようになって
ほしいのか」
②ねらいを達成するために、どんな学習活動をするのか。どのような順番に構成するのか。
③ねらいを達成するために、どんな教材や教具を準備するのか。
④ねらいを達成するために、どんな発問や指示や説明をするのか。
6 机間巡視は1つのことをきちんとマークせよ
◎発問や指示に従っているかの確認でいい
教師が発問や指示を出して、机間巡視(机間指導ではない)をしていく場合、さまざまな指導をしていく必要はない。
ア、指示に従って作業をしているか
イ、まちがった作業をしていないか
ウ、できていない子どもの指導
エ、分かっていない子どもの指導
オ、作業内容の把握
これらのチェックは、どれも必要なことであるが、さしずめ初任教師は、アとイの2つに絞ってチェックしていけばいい。それ以上は、まだまだ力量をつけなくてはできない指導である。
7 話を聞かせるルールを整えよ
①おへそをこちらへ向けなさい
子どもたちにきちんと話を聞かせるためには、「体をこちらへ向けなさい」というより「おへそをこちらへ向けなさい」と指示した方がいい。
それができない子どもには、「○○さん、こちらへおへそを向けなさい」と名前を上げて呼んで上げればいい。
②話の聞き方
「膝の上に手を置きなさい」という指示が一般的である。この指示の欠点は、膝の上に追いた手で、机の中のものを手いたずらする場合が往々にしてあるのである。
その欠点を克服するには、机の上に右腕と左腕を重ねて置かせるようにすれば解決できる。
③ストップ
それでも大切なことを突然指示しなくてはならない場合が出てくる。
どうすればいいか。
「ストップ」と声かけて、行動を制止させ、その間に話をすればいい。
④手をあげなさい
教師の話の途中で、おしゃべりをがまんできなくてぺらぺら話し始める子どもが、必ずクラスに何名かいる。男の子に多い。これをそのまま許しておけば、クラスが崩れていく。どうするか。「どうしても話の間に聞きたいことや言いたいことがある場合は、手をあげなさい」と説明しておくことである。
そういう子どもは、無意識におしゃべりをしている場合があるので、その子に対して「手をあげなさい」と指示をすればいい。
8 テンポのある授業を心得よ
ゆっくり、噛んで含める授業をまだ極上のものだと考えている教師がいる。
子供たちは、そのテンポの鈍さに飽き飽きしているのである。
コマーシャルのテンポに慣れ親しんでいる子供たちは、テンポのある授業を好む。
少し速いと思っていても、子供たちは、すぐそれについてくるようになる。
テンポがあり、リズムがある授業を心得なくてはならない。
9 授業はノート指導と心得よ
学力が高い子供は、ノートがきちんとしている。これは、子供に毎日接している教師ならば、当たり前の事実である。ほぼ90%の確率でそう言える。
初任の先生が、最も手が抜ける指導である。ノート指導まで手が回らないためである。
しかし、ノート指導をきちんとしていくことは、ちゃんとした学力をつけていく早道であることを知っておかなくてはならない。
10 無駄な言葉を排除せよ
①机間巡視しながら、指示しない
全体に指示を出して子どもたちが作業を始めている途中に、先生が全体に盛んに指示 を出している場面に遭遇する。子どもたちの集中力を欠かしていく。
どうしても指示を変えなくてはいけないことや言い忘れがある場合は、子どもたちに 作業をやめさせて、もう一度指示を出さなくてはならない。そういうことをめんどくさ がってはならない。
②子どもの発言をくり返さない
子どもの発言を一々くり返している教師は多い。ムダである。それをくり返していけば、子どもたちは友達の発言を聞かなくなる。どうせ教師がくり返してくれるからである。教師がどうしてもくり返す場合は、全体に聞こえない発言だけである。
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