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算数の授業ということ(4)~数学への橋渡し~

 

「ときかたハカセ」は、最後の勤務校での実践が原点である。

 算数授業をどんなにうまく、素晴らしいものに作り上げようと思っても、「日常授業」に耐えられなかったら、絵に描いた餅にしか過ぎない。
 大切なのは、日常に耐えられるかどうかなのだ。
 
 そこで「味噌汁・ご飯」授業の算数は、以下の観点を打ち出すことになる。
 
 ①簡単な授業準備で教材研究は済ませること(私たちは教  材研究と言わないで、授業準備の時間と言う)
   ほんの10分間ぐらいの準備。
 
 ②授業は、教科書を教える。
  教科書に書かれている通りに順番に教えていく。
 
 ③いつもは、復習タイム(前時)―本時―スキルタイム(本  時の復習)という3分割で行う。
 
 この3つの観点だけである。
 
 課題の本時は、教科書を教えるのである。
 しかし、ほんとうに教科書を教えられるのは、1000人に1人ぐらいであると言われ続けてきた。
 
 多くの教師たちは、指導書を見て教えている。
 教科書がどうなっているか、ほとんど見ていない。
 
 だから、効果的に教科書を使えないのである。
 教科書は、例題―類題―練習問題の構造で作成されている。
 
 でも、実際には、この通りになっていない場合も多い。
 また、教科書によっては、問題解決学習を意識して、この構造を無視した作成をしているところもある。
 
 だが、この構造を意識して指導すれば、とても効果的な指導が行われていく。
 ポイントはここだったわけである。
  ★
 もう一歩踏み込む。
 私たちは、授業を、インプットからアウトプットで成り立っていると位置づけてきている。
 
 1時間の授業で、インプットを設定し、アウトプットで完結させていく。
 
 算数の授業では、インプットが例題指導であり、アウトプットが類題、練習問題である。
 だから、教科書によって、類題、練習問題が不足していれば、それを先生問題として補っていく必要がある。
 
 ここでの大きな課題は、インプットからアウトプットへつなげていくものは何かということであった。
 
 ここは考え込んだわけである。
  ★
 私たちが考えたのは、「ときかたハカセ」であった。
 
 例題指導で、1問の解き方をまとめ、マニュアル化する(この順番に解いていけば類題や練習問題が解ける)。
 これがインプット。
 
 そして、このマニュアル化した「ときかたハカセ」で類題、練習問題に挑戦する。
 これがアウトプット。
 
 これで1時間を完結させようと。
 だから、教科書を教えるための課題は1つ。
 「ときかたハカセ」を例題指導の中間まとめとする。
 これだけ。
 
 「日常授業」に多くを求めない。
 70点の授業でいい。
 
 80点以上の「ごちそう授業」を作ろうとしたら、もちろんこれだけでは成り立たない。
  でも、これだけでいい。
 「味噌汁・ご飯」授業なのである。
 
 ただ、「ときかたハカセ」の作成には、ちょっと時間がかかる。これが10分ぐらい。
 あとは教科書通り。
 
 「ときかたハカセ」はABCという設定にした。
 8割方は、教科書の例題のところに書いてある。
 
 それをそのまま「ときかたハカセ」にすればいい。
 しかし、書いてない場合が必ずある。
 
 そのときが教師の腕のみせどころなのだが、慣れてくるとうまく設定できるようになる。
  ★
 「ときかたハカセ」とは何か。
 もう一度、国語の福嶋隆史さんの言葉を引用する。
  ★ ★ ★
 「考える授業」と「考える力を伸ばす授業」は異なります。
世の中の「考える力を伸ばす授業」と呼ばれるもののほとんどは、考える力を伸ばしません。
それは単に(無意識に)「思考する授業」に過ぎません。
大切なのは、「思考技術を体系的に与え、それらを意識的に使えるまで練習させる」ことです。
ただ思考させればいいのではありません。
スポーツでも料理でも音楽でも美術でも演劇でもなんでも、全く同じことです。
技術を与え、その技術を使いこなす能力(=技能)を高めさせること。これが肝心です。
  ★ ★ ★
 ここには大きなヒントがある。
 
 ただ考えさせるだけで思考力がつくと、そんなに簡単なことではない。これははっきりしている。
 「思考技術を体系的に与え、それらを意識的に使えるまで練習させる」と。
 これが「考える力を伸ばす授業」と。
 
 私たちは、「ときかたハカセ」で、問題を解く技術を与え、それを使って類題、練習問題に挑戦させる。
 そのプロセスを積み重ねて、子供たちに思考力が育ってくると考えている。
 
 私は、『「味噌汁・ご飯」授業 算数編』(明治図書)で、以下のように書いた。
 ★ ★ ★
 「算数」でやることは、「数学」への橋渡しです。「数学」では本格的な「数学的思考力」の追究をします。そのための「基礎トレーニング」です。私たちは、学習指導要領に基づいて作成された教科書を教えていきます。その中で、子供たちに、類題・練習問題を自力で解かせながら、その過程で思考力などが養われると考えています。実際に問題を解く過程で、解き方を覚え、考える力を身につけていくのです。
 ★ ★ ★
                        (終わり)
 
 
 
 
 
 

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