座間の事件を考える(1)~SNSが問題の中心にある~
帯広空港からの帰り道、ふとJALの機内で「SKYWARD」11月号をめくる。
浅田次郎さんの「考える葦」に目がとまる。
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……
ところで、このごろ私たちが急激に想像力を喪失していることにお気づきだろうか。
実に急激に、である。
ぼんやりと物思うことがなくなった。書物や新聞がSNSやゲームに入れ替わっただけでなく、多くの人が物思う時間を掌(てのひら)の小さなロボットに奪われてしまった。
…略…
想像する時間を奪われ、急激に想像力を喪失した人類は、やがてごく特定の分野を除いて、おそらく正当な創造を停止すると思われる。
そう言えば、このごろはぼんやり物思うどころか、切実に考える時間も少なくなった。
…略…
人間は考える葦である。
すなわち考えてこその人間である。
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神奈川県の座間市で起こった9人の猟奇殺人で驚くことは、2ヶ月の間に「死にたい!」とツイッターに書き込みをしていた若い女性たちが巻き込まれていることである。
こんなに自殺願望があるのか、と。そのことに驚く。
新聞では、「15歳~34歳世代の死因の1位は自殺だった。
先進国では日本だけの傾向で、17年版自殺対策白書は『国際的にみても深刻』と指摘した」(朝日新聞11月5日)と書かれている。
朝日は、11月12日の朝刊にも、以下のようなことも書いている。
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若者にとって、SNSはなくてはならない存在だ。LINEが昨年、神奈川県の全県立高校の生徒ら約6万4千人に実施したアンケートでは約97%が自分専用のスマホを持ち、約98%がLINE、約82%がツイッターを利用していた。
SNSを通じて、子どもたちのつながりは広がっている。「ネットがきっかけで知り合った友人」の数を尋ねたところ、「いない」という生徒は約48%だったが、約13%が「51人以上」と答え、1割近くは「101人以上」だった。
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また、NHKのニュースでは、「死にたい」とツイッターに書き込む件数が一日平均57件、自殺募集の書き込みが37件あると報道していた。
日本の若者たちが、決して幸せに暮らしていない状況が見て取れるのではないだろうか。
浅田次郎さんは、スマホを「掌の小さなロボット」と称しているが、神奈川県座間での、今回の事件には、このSNSが中心にあるのだと、私は考えている。
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