どうすれば授業はうまくなるのか(4)
どうすれば授業はうまくなるのか(4)
さて、教師の授業技量の向上を問題にしていたのである。
★
普通の教師は、毎日5,6時間の授業をしている。
初任者の8割の先生たちが「毎日、これだけの授業をしているので、いずれ授業をうまくこなすことができる」と思っている。
私は、初任者たちに「それは幻想です」と伝える(笑)。
「えっ~~~」という顔をされる。
あらゆる仕事は、経験を積めば、それだけの仕事ができるようになる。それは常識。
だから、初任者が授業も経験を積めばそのうちにうまくなると考えるのは当然である。
だが、そうならない。
それは、周りを見渡してみればすぐに答えが見つかる。
毎日5,6時間授業をしている中堅やベテランの教師たちが、うまい授業をこなしているのか。
そんなことはない。
相変わらず、初任者と同じような授業をしている先生もいる。
授業に関してだけは、どんなに経験を積んでも、うまくならない。
それは、はっきりしている。
どうしてこうなるのか。
多くの先生たちは、どのような授業をしているのか。
これは何度も書いたことがある。
「ぶっつけ本番」授業をしている。
何の準備をしないままに、教室へ行き、「今日はどこからだった?」と子供へ問いかける。「先生、23ページです」という答えに、「はい、じゃあそこを読んでもらいます」と言って、何人かに読ませる。子供が読んでいるうちに、赤刷りの指導書を斜め読みして、今日の予定を確認する。
これに抵抗がある人は、職員室で指導書を同じように確認している。
こんな授業をしている。
最初はこんな試みに抵抗があるが、慣れてくるとこれが普通になる。
子供はどんなつまらない授業でも文句を言わないので、授業はそのようなものだと、思い込む。
ただ、研究授業だけは、他の先生が見に来るので、真剣に教材研究をして臨む。
だけども、たいした研究授業にはならない。
日頃をイイカゲンにしているので、研究授業だけそんなにうまくいくはずはない。
私は、ここ5年間で1000人程度の先生たちの授業を見てきたが、多くの先生方がこのような授業をしていると思われた。
★
「こんな授業だっていいじゃないか!クラスがちゃんと成立してうまくやっているからいいじゃないか!こんな忙しいのに、これ以上何をせよと言うのか」と反論する先生がいるかと思われる。
たしかにクラスが何とかなっていれば、これ以上何をせよというのかということになる。
ただ、子供たちは、せっせと学習塾に通い、学力保障をしている。
学校の授業をほとんどあてにしていない。
ただ、それだけのことである。
だが、限界がくる。
指導書の斜め読みで過ごしていく授業で、これから乗り切っていけるはずはない。
はっきりしているのは、子供たちに学力保障ができないのである。
ただ、流れていくだけの授業。
★
大変厳しいことを言っている。
先生たちが抱えている「現実」がどれほど過酷で、忙しさに紛れていることは分かっている。
多くの抱えている仕事の中で、「授業」が一番手を抜かれている「現実」も分かっている。
どうすればいいのか。
この「現実」を踏まえて、せめて「70点の授業」をしようと訴えている。
「味噌汁・ご飯」授業の提案である。
授業がうまくなるためには、意図的、計画的、継続的に何かを試みなければならない。
そうしないと、絶対に授業はうまくならない。
「70点の授業」をやれば、子供たちに学力保障ができるようになる。
普通の教師では、「日常授業」は、80点以上の授業などできない。
そんな授業準備(私たち「味噌汁・ご飯」授業では教材研究と言わない)の時間がないからである。
では、「70点の授業」は、どうようにして作れるのか、ということになる。(続く)
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