どうすれば授業はうまくなるのか(5)
どうすれば授業はうまくなるのか(5)
多くの先生たちの授業は、子供たちの学力保障はできないと書いた。
「70点の授業」の提案をする前に、この授業について書いておきたい。
私は、この5年間で、1000人近くの先生たちの授業を見てきた。
授業を見ながら、共通の傾向を示す授業に出会った。
どんな授業なのか?
1つは、「おしゃべり授業」。
2つ目は、「学力定着不足授業」。
3つ目は、「挙手発言型授業」。
私たちがネーミングした授業である。
この3つの授業は、それぞれ共通するところがある。だから、1つだけということではなく、複合的になされている傾向が強かった。
★
「おしゃべり授業」とは何か。
まず第1の特徴は、授業の8,9割ずっとしゃべりまくっていること。
第2の特徴は、時々思い出したように発問を出し、いつもの4,5人の子供たちが答えていくこと。
それで、次に進んでいく。
第3の特徴は、ほとんどが傍観者であること。
「学力定着不足授業」とは何か。
その特徴は、授業が完結しないことである。
授業のインプットばかりに時間をかけて、中途半端に終わってしまう。45分(あるいは50分)の授業が完結しない。
だから、算数などはいつも練習問題が宿題に回されてしまう。
本時の目標が達成されないわけである。
「挙手発言型授業」とは何か。
その特徴は、授業の大半を子供たちの挙手で済ませていく授業である。
この授業をしている教師は、多い。
工夫をしている教師もいる。
ぐー、ちょき、ぱーで、挙手の意思を表明するという方法である。
この授業のメリットはある。
発言できない子供たちを、挙手して発言できるようにすることは、積極性を生み出す。確かに、人が変わったように活動的な子供に変身することもある。
だが、デメリットもある。
この授業は、外向的子供に向けたものである。
挙手をして、みんなの前で発言することが平気な子供は、盛んに発言する。
そのかげで、みんなの前で発言できない内向的な子供が必ずいる。
これらの子供には、劣等感を与えることになる。
「ぼくは、発言できないのでダメな子供だ!」と。
しかし、内向的な子供だって、じっくりと課題を考え、人の意見をきちんと聞けることができるのである。いや、この内向的な子供の方が、外向的な子供よりその傾向が強い。
子供によって、タイプが違う。
だから、挙手発言も授業の中では、必要なものであるが、それだけに偏るとおかしくなる。
★
しかし、授業についての考え方において、以上に上げた傾向も、否定的に捉えられない場合もある。
それは、授業観の違いになる。
私たちは、授業というのを以下のように押さえている。
「味噌汁・ご飯」授業の場合の考え方である。
授業は、インプットとアウトプットによって成り立つ。
インプットで、授業の導入をする。「教える」わけである。
そして、アウトプットで、教えたことを練習し、定着させていくという試みになる。
これで、本時の目標を達成させる。
簡単に言うと、こういうことになる。
★
学力保障ができない授業の特徴は、いくつかにまとめることができる。
1つは、授業がインプットばかりに偏っていくこと。
2つ目は、全員参加の授業にはなりにくいこと。
3つ目は、低学力児を引き上げていく授業にならないこと。
(つづく)
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