「研究」ではなく、「研修」である!
先のブログで、以下のような指摘をした。
これには、かなりの反発があるのだと思われる。
特に、学校の研究分野を背負っている先生たちにとって、とても譲れない分野になるのかもしれない。
中でも、「そうすると、これはもう『研究』ではなく、『研修』になっていく。
一学校で、「研究」なんかどだい無理な試みである」というところなどはとんでもないということになる。
私も、37年間の教師生活の中で、研究を提案し、実践してきた。だから、自己批判として提起しているので勘弁してほしい。
★ ★ ★
私たちは、学校で行う研究授業は、「ごちそう授業」の追求ではなく、先生たちが毎日行っている「日常授業」の改善として追求すべきだと考えている。
テーマは、「日常授業」の改善。
これでいいのである。
日頃やっている授業に、少し工夫を凝らして提案し合う。
そして、互いに検討し、明日の授業につながる話し合いにしていく。
日頃できないことをしない。
べたべたと貼り紙をする授業。
教室中に張り巡らした模造紙。
こんなことは日頃しないし、できない。
そうすると、これはもう「研究」ではなく、「研修」になっていく。
一学校で、「研究」なんかどだい無理な試みである。
私たちは、そういう原点に戻っていくべきだと、考えている。
★ ★ ★
「研究」を否定しているのではない。
それは大学の附属の学校とか私立の学校において成り立つのかもしれない。
ただし、研究テーマは限定して、研究成果をきちんと上げていく試みでなければならない。
日本を背負っていくようなテーマでは所詮同じである。
★
私は、この5年間の間に千人近くの先生たちの授業を見てきた。授業参観を繰り返すうちに、「これは大変だ!」「先生たちは、何をしてきたんだろう?」という授業に数多く巡り合った。
正確に言うと、初任の段階で身に付けなくてはならない、基本的教育技術を身に付けないままに、中堅やベテラン教師になっているのである。
だが、一体どこでその教育技術を身に付けるんだろうと考えてみると、その場所や機会がない。
もちろん、大学では教えない。教えられる教師があまりにも少ないし、そういうカリキュラムもない。
現場に入っても、そのことを身に付けるところはない。
かろうじて初任者指導の段階で身に付けなければならないが、指導者が基本的な教育技術を分かっていなければどうにもならない。
★
もう一つ痛切に感じられたのは、研究授業のことである。
あまりにも大きな研究テーマを掲げていて、その追求に汲々としている。
真面目な学校ほど、先生たちはその追求に追われている。
その結果、どうなっているのか。
授業力は、さほど向上していない。
授業が空回りしているのである。
先生たちの授業力の向上はなく、たいそうな研究テーマだけが聳えているという光景なのである。
★
私は、これではダメだと痛切に感じた。
「日常授業」を支える先生たちの授業力の向上がないのである。
一学校では、「研究」では、もうダメであると言い切りたい。
「研究」とは、未知のことがらに、理論を打ち立てることである。
「研修」とは、効果のある方法を身に付けることになる。
野口芳宏先生は、次のように言われている。
★ ★ ★
「研究」は、子供を変える方法や考え方を一から追究すること。「研修」は、教師自身を変えることを目指すこと。
★ ★ ★
一学校が、今問われていることが、「研究」なのか、「研修」なのか、一目瞭然ではないだろうか。
研究を支えている先生たちに言いたいのだが、いまやられている学校の研究活動は、習慣的に、今まで学んできた方法を駆使してやっているだけではないだろうか(私がそうだったからだが…)。
一度、ほんとうに今それが必要であるかどうか、それが先生たちの授業力の向上につながるのか、ぜひ問いかけてほしい。
★
北海道の北広島市立大曲小学校は、「研究」から「研修」に大きく舵を切って、大成功を収めた学校である。
本来は「大成功」などというのは、学校の活動にとっては無縁の言葉なのだが、そう言い切りたいのである。
何が変わったのか。
さまざまな変化がある。
先日、この学校から他の学校に異動した1人の先生の授業を見た。
その学校全体の先生の中で、格段の授業力の違いを見せていた。
抜きんでているのである。
大曲小は、こうした教師たちを育ててきたのだと、しみじみと感じた。
要するに、教師たちの授業力を向上させなくてはならないのである。
その課題ははっきりしている。
何をこの学校はやってきたのか。
それは『学力向上プロジェクト』(大曲小学校著 明治図書)を読んでいただきたい。
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