また、現場は新しい課題を抱え込む(1)
教育現場は、また大変な課題を背負ったものである。
暗然とした気持ちで座り込んでいる。
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緊急出版として諸富祥彦先生(明治大学教授・教育カウンセラー)が『スマホ依存の親が子どもを壊す』(宝島社)を出された。
帯の表には、次のような言葉が並ぶ。
ママ、スマホよりボクを見て!
”手に負えない子”の背景に親のスマホ依存があった!
●かんしゃくが止まらない
●感情がコントロールできない
●先生や友だちを攻撃する
●学力が低下する
帯の裏にも、次のような言葉が並ぶ。
保育、教育、小児医療の現場ではすでに多くの人が気づいているー
「心の壊れた子」が大量に現れた!
●ちょっとしたことでパニックになり、泣き叫ぶ
●モノを投げる、壊す
●小児科の待合室で異様な泣き方をする
●学校で、友だちとしょっちゅうトラブルになる
●小1なのに3歳児のように暴れる
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今まで学校現場は、「発達障害」の子供たちに手を焼いてきた。この子供たちを制御できなくて、教師を辞めていった先生は数限りなくいる。
また、現場は、新しく「愛着障害」の子供を抱え込むことになっている。
「発達障害」と「愛着障害」はどこが違うのか。
ほとんど絡み合っているので区別は付けがたいということ。
ただ、「発達障害」が先天的であるのに対して、「愛着障害」は後天的である。
どちらにしても、現場はダブルパンチを浴びることになる。 ★
この本に耳を傾けてみる。
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最近、先生方からの相談を受けていて、気づかされたことがあります。それは、「子どもの心が壊れつつある」ということです。
具体的に言うと、幼稚園・保育園(こども園)、小学校低学年の子どもたちに「かんしゃくが止まらない子」が増えているのです。
ちょっと不愉快なこと、たとえば、友だちにからかわれた、先生に注意された、水が少しかかった、といったようなことをきっかけに、
「イヤダ!!イヤダ!!イヤダ!!」
と、その場に倒れ込んで、手足をバタバタさせて地団駄を踏んで泣き叫び続けるのです。先生が、「大丈夫?」「そろそろ起きようか」と声をかけると、ますますかんしゃくが激しくなるばかり。もう「どうにも止まらない」状態になってしまいます。
モノにあたってモノを投げたり壊したりする子もいれば、友だちを傷つけてしまう子もいます。それは、虐待を受けた子どもの反応に似ています。小学校1年生なのに、まるで2~3歳の子のようです。
ある小学校では、今年の1年生のあるクラス30人中、10人近くに、多少の差はあれ、こうした傾向が見られたのです。
★ ★ ★
8月1日福井県の講演を終えて、小松空港から羽田空港へ向かっていた。
もう夜の8時を過ぎている。
座席でうとうとと居眠りをしていると、後ろの座席から男の子の泣き叫ぶ声と金属音の叫び声がしてくる。
2歳、3歳頃の2人の子供。
夫婦での旅行。
しばしの時かなと我慢をしていると、ずっと続く。
私の方がくたくたになる。
両親のあやす声も、叱る声も聞こえない。
ただひたすらに叫び続ける。
私は異常な空間に追い込まれてしまったと思ったものである。
最近、こんな経験をされたことがないだろうか。
コンビニで、デパートで、駅の構内で、金属音の金切り声を発し続ける子供の声を。
子供たちの中に、何かが起こっているとしか思えない。
この本を読みながら、「これだ!これだ!」と。
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いつ頃から急にこうした子供が増えているのか。
スマホが普及し始めた頃からだと諸富さんは書いている。
スマホのように個人用携帯機器が一般的になって、10年弱の歳月が過ぎている。
このスマホの副作用が、どのように人間に影響を及ぼしていくのか、まだまだこれからである。
最近は、ラインが普及して、さらに副作用は倍加するであろう。
いや、もう「愛着障害」というカタチで出始めている。
そのように考えた方がいい。
アップルのスティーブ・ジョブズは、「私たちは、子供たちのテクノロジー機器の利用を制限しています」と語っていた。ビル・ゲイツは、娘のパソコン利用時間を平日40分以内、週末でも1時間以内に制限していたと伝えられている。
創始者たちは、この機器がいかに子供たちに危害を与えるものであるかを知っていたのである。
それにしても、世の親たちはあまりにも無頓着ではないか。
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