つれづれなるままに~夏休み明け1週間の法則~
●ブログでの「ある保護者」の方のコメントから始まった、さまざまなやりとりは、実におもしろかった。
保護者の方の真摯なコメントが、とても印象に残った。
これにからんでもらった、TOSS末端教師の先生、ある教師の先生、スイちゃん先生、普通の教師のうちの1人の先生、ありがとうございます。
保護者の方は、塾の関係者の方なのか、実に具体的に学校のことを知られていて、公立の教師たちは「このように見られているのか」と分かったと思う。
★
同じ考えの人なんかいない。
当たり前である。
だからこそ、相手との違いを認める。
違いがあることを認め合って、率直に伝え合う。
こういう当たり前と思うことでも、なかなかうまくできないのである(これが一番難しいのかも知れないが)。
しかし、ここでのコメントの交わし合いは、良かった。
感謝している。
●8月1日、朝5時起きで羽田へ急ぐ。
小松空港へ。
この日、福井県の坂井市での教育研究会全体研修会に呼ばれていたのである。
ハートピア春江の大ホール。坂井市の先生たち500人近くが集まる。
テーマは、「今、学校で起こっていることを考える」~学校づくり、学級づくりで大切にすること~。
2時間。
★
福井県からの講演の依頼は、これで2回目。
今回はお断りしようと思った。
何せ「天下の福井県」である。
何を話していいか迷ってしまう。
私は、今まで「困難な現場」での学級経営、授業づくりなどを考えてきたのである。
福井県には合わない。
しかしである。
福井の先生たちにも、関東圏、関西圏の都市圏で起こっている事態を知らせることも必要だ。
そしてまた、この機会に福井の教育について考えてみることもあっていい、そう思い直して引き受けた次第である。
★
福井の教育について、3点考えたことを話した。
1つは、県民全体が「福井らしさ」を徹底追求していること。
2つ目は、不易の大切さがあること。
3つ目は、「生活」指導へのこだわり。
とくに、「生活」指導へのこだわりはとても印象に残った。
学校は、「学習」と「生活」から成り立っている。
知識重視派の人たちは、学校はほとんど「学習」で成り立っていて、「生活」は付随的なものだという認識がある。
学校の一日は大半授業で成り立っているからである。
ところが、福井の教育は、「生活」をとても重視している。
あいさつ、整理整頓、生活時間の設定、服装の整え、無言清掃など、規律を徹底している。
子供たちも、それに慣れきっていて、そういうものだと思い込んでいる。
福井の教育者は、伝統的に「生活」指導が「学び」の知的体力を育てるものだと知り抜いていたのだと思える。
ここが徹底した「福井らしさ」である。
「当たり前を積み重ねると特別になる」
この言葉が福井の教育にはよく似合う。
★
その日、羽田には夜の9:00頃に帰ってきた。
明日、また講座があるためである。
●8月2日、東京練馬区の学校教育支援センターへ急ぐ。
新宿まで行き、それから都営大江戸線で光が丘まで行く。
大江戸線には、初めて乗る。
自宅から2時間ほどかかる。
練馬区の夏期集中講座「学級経営の基礎基本」。
若い先生たち中心に40名ほどが集まられている。
この講座も3時間ほど。
講座を受ける方も大変である。
だから、テーマを設けてグループで話し合い、発表し、そして私の考えを述べていくという演習方式で進める。
ぴったり10分前に終わる。
先生たちの反応は上々で、2学期からの方向がはっきりしたと言われている先生たち。
うれしいことである。
●教育新聞連載記事8月号が出る。
★ ★ ★
夏休み明け1週間の法則
「夏休み明け1週間の法則」がある。
私が名付けた法則である。せっかく夏休みの最中だと言うのに、もう夏休み明けを考えようというわけである。だが、どうしても夏休みの間にやっておかなくてはならない課題。特に、クラスが荒れていた学級は必須の課題になる。
1年間の「学級づくり」には、「金の時間」と「銀の時間」がある。もうこれ以降の「銅の時間」はない。「金の時間」は4月の1ヶ月。「勝負の1ヶ月」と名付けて取り組んできたはずである。もうとっくに終わっている。だから、学級がうまくいっているかどうかは、この「金の時間」の結果である。だが、もう一度チャンスが巡ってくる。「銀の時間」。1学期の間にうまく行かなかった「学級づくり」を、この時間にやり直すことができる。ただ、まとまった時間はない。1週間。この時間で、問題点を修正し、一気に2学期の授業へと突き進んでいかなくてはならない。
だから、夏休みの間に1学期の問題点を検討し、具体的な方向を考える。これが1週間の課題。
何を検討するのか。以下の10項目を振り返ってほしい。
<縦糸張り>
①指示―確認がきちんとできているか。
②朝の会、終わりの会は短時間にすばやく行っているか。
③給食は、時間通りにすばやくできているか。
④掃除は、時間内にすばやく終わっているか。
⑤特別教室への移動や朝会時の整列は静かにできているか。
<横糸張り>
⑥子供たちとよく遊んでいるか。
⑦子供は親しげにいろんなことを話しかけてくるか。
⑧子供たちの良い点を毎日伝えたり、ほめたりしているか。
⑨教室で笑いが起こることがよくあるか。
⑩教師の話に、ほとんどの子供が明るい表情で耳を傾けているか。
1学期の間に、<縦糸張り>と<横糸張り>がバランス良く行えたかどうかが問われる。
1つずつ検討し、吟味し、うまくできていないとなると何が問題になるのかを絞り出し、どうするかを考える。
そして、「夏休み明け1週間」の間にやり直しをする。夏休みが明けて、子供たちはまた新たな気持ちになっている。「今までのやり方を2学期はこう変えます!」と宣言して、すばやくテンポ良く進める。だらだらとやったのでは効き目はない。
これが「夏休み明け1週間の法則」になる。
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親しい知り合いの先生から、その学校の教頭先生が、この記事を全校の先生に配布されていたと連絡があった。
読んでもらっている。
ありがたいことである。
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