みみこ先生へ~まずルール作りが急務です~
みみこ先生から以下のようなコメントが入った。
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いつもなるほどと思いながら読ませてもらっています。わたしは、若手とは言えない年で今年、講師から教諭になりました。前勤めていた学校は、のどかなところに建っている小規模校で、子どもたちはやんちゃな子はいても、基本的に先生のいうことは聞くという感じで楽しく勤務していました。今年から勤務している学校は、この辺りでは、「あそこは大変だね。」といわれる学校です。すごく細かいところまで全校の決まりがきめられています。
今年は2年生を受け持っています。なかなか大変な学年で、立ち歩く子や、授業中に取っ組み合いのけんかもしょっちゅうあった学年だったようです。がんばろうと臨んだ4月5月は、話を聞くことが苦手な子を前に騒がしいなあ、と感じながらも、自分自身まだ元気があり、毎日いろいろな手立てを考えつつがんばっていました。
6月に入り、二人の子がたち歩くようになりました。一人の子が人の気にしていることを言い、もう一方が怒ってけんかになり、立ち歩く感じでした。昨年も立ち歩きはあったので、様子を見て声をかけたり、5数える間に座れたらセーフ、など、いろいろ作戦を立てながら過ごしていたのですが、そのうちの一人が、立ち歩いているときに足を怪我してしまいました。思った以上にけがの具合がひどく、プールも入れぬ日々が続きました。その子は基本的にイライラしている子なのですが、さらにひどくなり、常に怒っている状態が続きました。何とか話をしようと休み時間に廊下に連れ出して、二人で話をしようとしたのですが、話し方がまずかったのか、私に対して反抗するようになっていきました。「来ないで。」「話したくない。」思えばたち歩きの状態を何とかしようと焦っていた自分の言動がその子を追い詰めていたのかもしれません。そのうちに、「保健室に行ってきます。」と、理由もないのに保健室に行くことがふえました。そのころから、クラスの中で、今までまじめに取り組んでいた子までが、気がのらないとやらなかったり、いうことを聞かないことがふえてきました。給食の用意もどんどん時間がかかるようになっていきました。
クラスの状態を見て、自分だけでは無理だと思い、管理職や養護教諭にも相談しました。養護教諭は、何かと気ににかけてくれ、様子を見に来てくれたり、放課後話を聞いてくれたりしました。教頭も、廊下で見守ってくれたり、大変な時には子どもたちに話をしてくれています。そうやってみんなに助けてもらいながら、7月まで乗り切りました。6月にその子がけがをしてからは、自分自身の気持ちにもゆとりがなくなり、食欲がなかったり、夜寝られないことがふえていきました。
夏休みに入りましたが、なかなか気が晴れない日々が続いています。先生のブログやいろいろな教育書を読んだり、研修会に行ったりして9月からの作戦を立てようと考えています。まずは、自分自身の元気をしっかり回復させて、元気に9月をスタートできればと考えています。この記事を読ませていただいて、今の自分にできることを考えました。先生が言われる10項目、ほとんどが△な状態で夏休みを迎えました。その一つ一つを見つめなおし、9月からどうすべきかノートに書きだしてみようと考えています。ただ正直不安です。不安でいっぱいです。でもできることから一つずつやってみようと思います。
投稿: みみこさん | 2016年8月 5日 (金)
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みみこ先生は、教諭になって最初の洗礼を受けています。
決して珍しいことではありません。
このような事例は、何度でも見聞きしました。よくある典型的な事態です。
メールなどで相談もされたこともありました。
2年生の担任の先生が多いのです。
「不安でいっぱいである」と書かれています。
よく分かります。
1学期のような事態がまたずっと続いていくと想像するだけで気が滅入るはずですから。
しかし、7月までよく乗り切られました。
今度は、12月まで凌げばいいのです。
周りに協力してもらい、乗り切るのです。
どんな教師も、必ず一度か二度こんな事態に巡り会います。
力量が問われると言えばそれまでですが、今は力量がある先生だってばたばたと倒れていっています。
みみこ先生、がんばらなくていいんです。
テキトウにやるんです。
一日一日を凌いでいくだけでいいのですよ。
だから、夏休みの今は、とりあえずその問題から離れるのですよ。
旅行に行ったりして気分転換をするのです。
研修で忙しいかも知れませんが。
こうなった原因と、これからどうやるか、そして読むべき本を書いておきます。
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みみこ先生のクラスを見ているわけではないので、推測で書きますが、このような事態になる典型的な事例は、担任が「仲良し友達」先生になるか、それとも「叱りっぱなし」先生になるか、そのどちらかの結果です。
もう1つは、2人の子供が大変だったので、その子にかかりっきりになり、真面目にやっていた子供たちの時間が「空白」になる時間が続いたのかもしれません。
担任は「ある怖さ」が必要です。
私は「縦糸を張る」と言っているのですが、周りの友達にひどいことをしたりしたときに、担任は「怖い先生」になるということを知らせておくことは必要です。
体罰とかではもちろんないです。
人間的な迫力です。
多分、みみこ先生のクラスの子供たちは、その迫力を感じていないようです。
やさしい先生か口やかましい先生かのどちらでしょう。
だから、どこかで一度びっくりするような「叱り」(演技でいいです)を披露していくことは大事なことです。
「うわあ、先生はこんなに怖いところがあるのか!」と思わせておくのです。
2年生の子供たちは、そんなに複雑ではありません。
でも、残酷なところがあります。
人間の脳は、三層構造になっていて、一番奥にはは虫類の脳があり、その上には犬猫の脳があり、最後のところに人間の脳が重なっています。しかし、クラスが荒れてくると、一部の子供は、とても人間とは思えない行動を取り始めます。
犬猫のような野生の行動です。第二層の行動です。2人の子供はそうなっているでしょう。
クラスが荒れてくると、弱肉強食の状態になり、そのように変身してしまうのです。だから、しょっちゅうささいなことでもめごとになるのです。
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昨年ですか、あるところに行って初任者のクラスで授業しました。
校長先生は「1学期の5,6月頃には学級崩壊を覚悟しました。しかし、9月になったら持ち直してきました」と言われました。「何が変わったのですか?」と問うと、「彼女は9月になったら真剣にやんちゃたちを叱りだしたんです。それでやんちゃたちも変わり始めました」と言われました。
きっと担任が人間的な迫力で真剣に叱り始めたのでしょう。
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何を9月からやればいいか。
夏休み明け1週間で勝負することですね。
ハカセ方式(個人目標達成法)か目標達成法を実践することを進めます。
クラスにルールが息づいていないのですから。
まず、クラスがルールで息づくような措置を取らなければいけません。
それを真っ先にしなければ、多くの子供たちが安心して過ごせません。
安心できる状態にすることが急務です。
そうすると、真面目な子供たちは、また担任についてきます。
これについては、『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(明治図書)を読んでください。初任者のうまくいった実践を載せています。
また、『必ずクラスを立て直す教師の回復術』(学陽書房)をぜひ読んでください。これからの方向が分かります。
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みみこ先生、大きな試練です。
でも、誰だってあるのですから。
この試練を乗り越えたら(凌いだら)、もう一段階のステージに上がることができます。
教師としての力量が身に付いていきます。
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